耐震診断の方法について解説

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耐震診断について、ネットで検索すると詳しい説明がたくさんあるのですが、建築士の試験においてどのような問題が出て、どこを覚えれば良いのかという記事がなかったのでまとめてみました。

耐震診断には木造の場合と非木造の場合がありますが建築士の試験においては非木造が重要ですので今回は非木造のみ解説します。

非木造の耐震診断には一次診断法、二次診断法、三次診断法という3つの診断法があります。

建築士の試験では各々の診断法がざっくりどんなものなのか問われます。

まず覚えるべきは一次が最も簡易的な方法で、二次、三次になると徐々に詳細に診断されるということです。

一次診断法は柱と壁の断面積とコンクリート強度より診断します。梁は考慮しません

二次診断法は、柱・壁の強度と靱性を考慮して診断します。梁は考慮しません

三次診断法は、柱や壁に加え、梁の強度も考慮して診断する方法です。

各々の診断の耐震性能の評価には構造耐震指標Is値により評価をします。
Is=Eo×Sd×T
Eo:保有性能基本指標
建物が保有している耐震性能を表す指標で、建物の強度×靱性で算出されます。
Sd:形状指標
建築物の形状の複雑さや剛性のアンバランスな分布などが耐震性能に及ぼす影響を評価する指標
T:経年指標
建築年数による劣化や建築物の変形や壁・柱のひび割れ等が耐震性能に及ぼす影響を評価する指標

Isは第一次診断法が0.8以上、第二次、第三次は0.6以上と覚えてください。
Isは大きいほど余裕を見ているので良いことになります。
第一次診断は簡易計算なのでその分余裕を見ているということですね!

ここまでの説明で過去問は全問正解することができます。
実際に問題を見てみましょう!

耐震診断において、柱及び壁の耐力に加え、梁の耐力と変形性能についても考慮する必要があったので、それらを評価できる第1次診断法を採用した
↑二級建築士構造平成24年No.19で出題されています。
これは間違いですね。第一次診断法は梁の耐力は考慮しないですよね。

耐震診断基準における第二次診断法は、柱や壁の変形能力などは考慮せずに、梁の強さと変形能力などをもとに耐震性能を判定する診断手法である
↑二級建築士構造平成28年No.19で出題されています。
これも間違いです。第二次診断法も梁は考慮しません。こういうところが狙われていますね。

耐震診断基準における第二次診断法においては、建築物の形状の複雑さや剛性のアンバランスな分布などが耐震性能に及ぼす影響を評価するための形状指標を算出する
↑二級建築士構造平成30年No.19で出題されています。
これは正解です。形状指標はその名の通り建物の形状によって導かれる数値です。問題文が建物の形状について説明していたら正解であると考えて良いと思います。


第一次診断において、構造耐震指標Isが0.5であったので、建築物は安全と判定した
↑一級建築士構造平成24年No.25で出題されています。
これは間違いです。Isは0.8以上でしたね。

第一次診断において、建築年数のほか、建築物の変形や壁・柱のひび割れ等を考慮して、経年指標Tを決定した
↑一級建築士構造平成24年No.25で出題されています。
これは正解です。経年指標は単純な建築年数だけでなく老朽化も考慮すると覚えておいてください!

第一次診断において、1階がピロティ形式であったので、形状指標Sdを低減した
↑一級建築士構造平成24年No.25で出題されています。
これも正解です。ピロティということは構造的には弱いです。ですので形状指標を低減することにより計算を不利側にみることができます。Is=Eo×Sd×Tは完璧に覚える必要はないですが、全ての数値の積であることは覚えておく必要がありますね!

過去問は以上になります!
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