ツイノベ 416-420

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小説
仕事が辛くて上司に相談する。上司はしばらく悩んだあと「みんながんばってるんだから」と諭す。だからお前もがんばれということなんだろう。すると続けて「だからお前1人くらいがんばらなくてもいいだろう」と笑った。数日の療養期間をもらい、夜は焼肉に連れて行ってもらえることになった/№416 理想の上司

真っ白な部屋だった。ふと気が付くと、床に一本のマジックが置いてあった。どうぞお好きなように。そんな風に囁かれたような気分になって、次の瞬間には壁を塗りたくっていた。どうぞお好きなように、どうぞお好きなように。次から次へと描きたい事が溢れて、何も考えずにひたすら描き続けた/№417 ベストピクチャー

友人の創作活動が世間的に評価されて、今日はお祝いにパーティーを開くことにした。途中、手土産を買うために調味料屋へ寄る。恨味、妬味、僻味。どれも馴染みがないものばかりだ。誰かの成功は素直に喜びたい。味見をすると初めて食べたはずなのに、なぜか、最近味わったことのある気がした/№418 シイハ

「もうすぐ飽き冷め前線がやってきます。心の移り変わりに気を付けてください」とニュースが流れる。この気圧に当たられると、心は否応なく感傷的になってしまう。生きる気力も、誰かを想う気持ちも。飽きて、冷めて、やがて失ってしまう。「今日は家の中にいようか」彼女は眠ったままだった/№419 飽き冷め前線

人間の種というものを買ってきた。興味本位で植えてみると、土から目を覗かせる。僕のことを見つけた途端、歯が剥き出しになって鼻が咲く。このまま育てばやがて人間になるのか。気味が悪くなって庭先に捨てる。あれから数日後、外から「ヨ…ブン……ヨブ…ン」という呻き声が聞こえてきた/№420 人間の種

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