ツイノベ 191-195

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私が彼のことを好きだという噂が立っているらしい。彼とは単なる幼なじみだ。なのに、そんな噂が立つものだからどうしても意識してしまう。彼の顔をじっと眺める。私は彼の顔も、歩き方も、性格も、食べ方も、趣味も、生き方も、寝相も、話し方も、夢も、全部嫌いだ。……嫌いだったのになぁ/№191恋すてふ(百景 41番)
「最後まで面倒みるもん」と約束してくれたのは、いつのことだったでしょう。わたしは今、帰る家がありません。惜しむべきいのちがございません。ダンボールの中、毛布でちいさく丸まります。雨がからだを濡らしていきます。最後まで面倒みると約束してくれたのは、いつのことだったでしょう/№192 落日(百景 42番)
バイト代をほとんど課金してやっとSSRが引けた。今までなかなか引けずにどれほど悲しい思いをしたことか。入手したあともレベル上げの周回やスキルアップの素材集め、絵柄違いに覚醒するための道具集めが待っていた。この苦行に比べれば、キャラクターを入手するなんて全然楽だったんだな/№193 SSRガチャ(百景 43番)
昔は私のことをあんなにも好きだと言ってくれたのに、今では一年に一度しか会いに来てくれなくなりましたね。まるで織姫と彦星みたいねという私の皮肉もあなたには届かないのでしょう。私は冷たいあなたが嫌いです。だからもう、そんな悲しい顔をしながら、私のお墓参りに来なくていいですよ/№194 砂漠の花(百景 44番)
「不要不急の恋をしないでください。失恋病に罹る危険があります」今や恋を自粛しないだけで不謹慎だとSNSに載せられる。国から一律で恋愛感情を配布されるけど、その気持ちも軽くて、薄くて、使い回したくない。誰も悲しんでくれないのはわかってる。それでも、私はあの人に会いたかった/№195 不要不急の恋①(百景 45番)



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