仮想マシーンには大きなスペースが必要

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仮想マシーンには大きなスペースが必要

既存の PC で仮想マシーンを動かす場合、メモリや CPU のリソースを沢山使うような使い方でない場合、概ね 8GB のメモリの PC でも実用上は余り問題ではない場合が多いと言えます。しかし、ディスクスペースについては結構な場所が必要になります。


OS に必要なディスクスペースは意外に大きい!
PC を利用する場合、複数の OS をインストールするケースは比較的少ないので余り気にしたことがない方が多いと思います。 しかし、複数の OS を起動できるような使い方や、仮想マシーンを利用する場合には OS のスペースは無視できません。

デスクトップ版の Linux の場合は、OS が使うサイズが概ね 10GB 前後必要になりますし、Windows の場合は、もう少し大きなスペースが必要です。これに加えて、追加で利用するアプリやデータが必要になるので、最近の Linux の基本構成では、最低でも 16GB 程度は必要になります。開発用として利用する為の現実的なサイズとしては、32GB~64GB 程度は確保した方が良いと言えます。Windows の場合は、64GB 以上を確保した方が良いようです。

仮想マシーンを利用するのを考慮したディスクスペース
私が利用している Mac は、8GB メモリ・256GB ストレージのモデルを利用しています。 Parallels を利用して仮想マシーンも利用していますが、通常の Web 開発や写真の編集、動画の編集も実用上は問題ありません。 ディスク容量は仮想マシンーを利用すると結構ギリギリに近いです。Windows と Ubuntu の Linux を入れていますが仮想マシーンだけで、約 70GB 程度のスペースを使っています。

開発用のアプリと複数の同時進行の Web 開発のプロジェクトのファイルと合わせると、全体で 200GB 近くを既に消費しています。 100GB 弱の空きスペースがあるので、必要のないプロジェクトのデータをバックアップを作成して削除すれば大きな問題ではありませんが、仮想マシーンが使っているスペースは、利用中の容量の 30%前後を占めていることを考えると大きいと言えます。


そう考えると、仮想マシーンを利用する事を前提で必要なディスクスペースを考えた場合、128GB の SSD のモデルでは少し足りない事になります。昨年末に発売された、M1 チップ搭載の MacBook Air/Pro の場合、ディスクスペースは 256GB からなので取り敢えずは問題ありません。ただ、仮想マシーンを使うのを前提で購入されるのであれば、ディスク容量は 512GB のモデルの方が良いと思います。ここで、256GB モデルと 512GB モデルの価格差は USD $200(日本向けの場合、22,000)の違いがあります。

Raspberry Pi のメリット
前回の記事で紹介した通り、既存の PC をお持ちで仮想マシーンを利用できる場合には、コスト的には仮想マシーンを利用した方が有利という紹介をしました。しかし、複数の違った OS を利用して色々な実験をしたい場合、仮想マシーンも複数必要になってきます。概ね一つの Linux の仮想マシーンに必要なスペースが 16GB~32GB は必要だとすると、複数の仮想マシーンを作成した場合にはかなりのスペースが必要になります。 例えば、Ubuntu のデスクトップ版、Ubuntu のサーバー版、Raspberry Pi OS などを並行して利用したい場合には、三つの仮想マシーンを作成する必要があります。これだけで、約 100GB のスペースが必要になります。

一方で Raspberry Pi 4 の 8GB のスターターキット(ケース、電源付き)で約 2 万円ですが、OS を入れるのはマイクロ SDd カードで 32GB の容量の場合、2021 年 11 月現在の販売価格は Amazon で USD $ 8.15 です。 OS 毎に別々のマイクロ SD カードを用意しても、USD $30 でお釣りがきます。しかも、利用中の PC では仮想マシーンを動かす必要がないので、PC のメモリは全て利用できますし、Raspberry Pi も 8GB のモデルを買えば 8GB 全て利用できます。


仮想マシーンが実験目的で、そのスペースの確保のために払う額とほぼ同じ額で、Raspberry Pi の最新版を購入できます。

性能は仮想マシーンに軍配!
ここで気になる性能ですが、M1 Mac 上で仮想マシーンを動作させた場合、圧倒的に仮想マシーンの方が Raspberry Pi より高性能です。利用できるメモリが仮想マシーンの方が少なくても、仮想マシーンで処理をした方が圧倒的に高速です。

従って、性能を求めるのであれば、仮想マシーンを利用した方が絶対的に有利です。

Raspberry Pi を利用する場合には、性能は一昔前のラップトップ PC 並みと考えた方が無難です。 しかしながら、完全に別のハードウエアになるので、思い切った事がやりやすいというメリットがあります。

失敗したとしても、現在利用中の PC に影響しないので、安心してチャレンジができるのは安心感があります。

まとめ
前回に続いて、仮想マシーンと Raspberry Pi のどちらを使うかを必要なディスクスペースという観点で考えてみました。 OS をインストールするのに必要なスペースは意外に大きく、Linux のデスクトップ OS の場合、OS に必要なサイズでも約 10GB は最低でも必要です。複数の仮想マシーンを切り替えながら利用する場合には、余分なディスクスペースを予め準備する必要があります。

最近の PC は SSD を利用する場合が多くなっていて、スペースを増やす費用も少し高めになっています。Mac の場合には、256GB から 512GB に増やすには、2 万円強の価格差があります。これは、Raspberry Pi 4 のスターターキットの価格とほぼ同じですが、この価格をどう考えるかが選択のポイントになります。

性能を取る場合には、仮想マシーンの方が高性能ですが、完全に別のハードウエアで思い切った実験をするには Raspberry Pi は魅力です。 使用中の PC に殆ど影響を与えずに、Raspberry Pi の中だけで完全に別の状態で実験ができます。

利用の目的をよく考えて仮想マシーンか Raspberry Pi を決める必要があります。
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