時代は変われど悩みは尽きぬ

記事
コラム
おおよそ50年前の1960年代、高度経済成長期にあった日本に「モーレツ社員」が存在した。
「モーレツ社員」は、自分の家庭やプライベートを犠牲にしてまで、ひたすら会社のために働きまくった。当時はそれが美徳とされ、大きな社会問題にはならなかった。
働けば働いた分だけ報酬が得られ、年功序列で確実に昇進出来たのが、せめてもの救いであった。

そして、あの狂気の「バブル景気」が訪れる。
株や土地の価格が異様に高騰し、日本中に金がバラ撒かれた。高級マンションや、一流のゴルフ場会員権が飛ぶように売れ、ディスコでは、毎晩乱痴気騒ぎが繰り広げられた。

J1.png

一方、就職活動は空前の売り手市場となり、学生は高待遇で迎え入れられた。給与は毎年上昇し、「公務員は負け犬」と揶揄されるほどだった。 

しかしこの「バブル景気」も長続きせず、有効求人倍率が1を下回る「就職氷河期」に突入。さらに「リーマンショック」が追い打ちをかけ、日本の経済は急激に冷え込んだ。
体力のない企業は、大量のリストラを余儀なくされ、賃金が安く、雇用調整に好都合な「非正規社員」の採用が急増した。
どんなに働いても正当な評価が得られず、会社に対する忠誠心が薄れて、転職する社員が相次いだ。

こうした状況を鑑み、労働環境を大幅に見直す取り組みとして、2019年4月に「働き方改革」が施行された。
「働き方改革」は、「長時間労働の是正」「正規・非正規の不合理な格差解消」「テレワークなど柔軟な働き方の実現」の三本柱から成る。

OA機器や通信手段が発達し、「モーレツ社員」時代に比べると、格段に作業効率がアップしているにも拘らず「長時間労働」が無くならないのは、「残業を良し」とする風潮があるのも原因の一つとされている。「残業しない=やる気が無い」という偏見が、定時に帰ることの罪悪感を、増長しているのかも知れない。企業の努力も必要だが、個人の意識改革も大切である。
ただ、時間外労働に上限が設けられたことで、給料が減少するといった切実な問題も見逃せない。

「テレワーク」は、新型コロナウィルス対策の一環としても注目を集めたが、家庭や介護現場に仕事を持ち込むことで、新たなストレスを生み出すことも、浮き彫りになっている。

tere.jpg

かつて、画期的な「働き方改革」として注目された「プレミアムフライデー」も、「早く帰った分だけ他の日にしわ寄せが来そう」とか、「外食や買い物で、お金を浪費してしまいそう」などの理由から、開始早々2年ですっかり熱が冷めてしまった。
「働き方改革」が定着するのは、まだまだ先になりそうだ。

それにしても、新型コロナウィルスによる経済ショック「リーマンショック」以上ともされ、予断を許さない状況にある。

時代が変わっても、サラリーマンやOL諸氏の悩みが尽きることはない。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す