今回はワーキングメモリについてです。
ワーキングメモリとは短期記憶の役割を担う脳の部位です。
これがあるおかげで会話ができたりするのです。
つまり、会話はある一定のことを覚えながらでないと、成り立たなくなってしまうからです。
で、このワーキングメモリってあらゆるところで必要なのですが、大事な時にヘマをしたりするのはこのワーキングメモリに悪影響を与えるからです。
で、これを解消するにはステレオタイプ(固定観念)の脅威をなくせばいいのです。
ワーキングメモリの敵はステレオタイプの脅威!?
ブリティッシュ・コロンビア大学のトニー・シュメーダーたちは、反芻思考が具体的にどのように邪魔をするのか調べ、そのモデルを作った。
(繰り返しになりますが)、ワーキングメモリはすぐに情報を維持したり、操作するために使われるタイプの記憶のこと。
例えば、テストを受けたり、誰かと会話したりする時などに使われる能力。
研究者たちは、難しい数学のテストを受ける理数系の女子学生に、複数の文章に含まれる母音の数を数えてもらうというタスクをテスト前にやってもらった。
この時、文章の間に無関係な単語を入れておいた。
その結果、難しいテストを受けるためにステレオタイプの脅威下にあった女子学生たちは、文章に含まれる母音の数は性格に数えたが、文章の間にどんな単語が挿入されていたかはあまり記憶していなかった。
少なくとも、これといった特徴のないテストを受ける予定(つまりステレオタイプの脅威下にない)女子学生たちよりおぼえている単語の数が少なかった。
理由としては、ステレオタイプの脅威下にあった女子学生たちはあれこれ考えてしまったために、文章の間に挿入されていた余計な単語を記憶する能力、つまりワーキングメモリが低下していた。
それと同時に、ステレオタイプの脅威がワーキングメモリにダメージを与えるほど(ランダムに挿入された単語の記憶が少ないほど)、その後の数学の成績も悪かった。
つまり、ステレオタイプの脅威がワーキングメモリに与えるダメージは、数学の成績にもダメージを与えたということ。
研究者たちは、このような思考がワーキングメモリに悪影響を与えるモデルを作った。
1、ステレオタイプを追認する脅威によって、その脅威が関連する全てのことを警戒し、追認を回避する可能性について思いを巡らせてしまう。
2、それが自己不信とその自己不信が知られてしまうのではないかという反芻思考を引き起こす。
3、こうした懸念が常に自分のパフォーマンスを気にするようになる。そのせいで、極度のプレッシャーによって体がうまく動かなくなったりする恐れがある。
4、脅威となる思考、つまりうまくできないことやステレオタイプを追認するような結果を考えないようにしようとするプレッシャーが生じる。結果的に余裕がほとんどなくなる。
つまりステレオタイプの脅威を感じると、反芻思考がバンバン出て悪い方向にしか考えられなくなって、結果的に余裕がなくなってしまうのです。
ちょっと一言
ステレオタイプの脅威って誰にでもあります。
「自分は本番に弱い」「人と話すのが苦手」とか。
こういうステレオタイプのせいで、ワーキングメモリの能力が低下して、結果的に自分を悪い方向に追い込み余裕がなくなってしまうのです。
でも、感情って捉え方でどうにでもなるのです。
例えば、「自信がない」→「思慮深い」みたいに考えることで、だいぶワーキングメモリに悪影響を与えるのを防いでくれると思います。
参考文献
Converging Evidence That Stereotype Threat Reduces Working Memory Capacity