なぜ年末に大掃除をするのか

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コラム
家を綺麗に保つために日々のお掃除も大切ですが、それ以上に大切なのが年末の大掃除ではないでしょうか。

普段の生活の中で、人は知らず知らずのうちに罪や穢れをつくってしまいます。つまり「気が枯れ」てくるから「穢(けが)れ」ということで、神社神道では半年ごとに罪や穢れを払う儀式を執り行っています。

神社に行ったとき、藁(わら)で編んだ大きな輪を見たことがあると思いますが、それが6月の晦日と12月の大晦日に行われる「茅の輪(ちのわ)くぐり行事」です。
この日は「大祓(おおはらへ)」といって、平安時代の昔から宮中で6月と12月に行われていた重要な行事であり、大切な神事です。

日本人が年末に大掃除をするようになったのは、この「知らず知らずのうちに積み重ねた罪や、たまりにたまった穢れ」を祓うためだといわれています。

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さらに、年明けには新しい守り神様がいらっしゃいますから、神年に新しい神様、つまり「歳神様」やご先祖様を家に迎え入れるためにお掃除をして、綺麗な状態で新しい年の神様を迎え入れるということです。


神社で行われる「大祓」では「大祓詞(おおはらへのことば)」を神様に奏上します。大祓詞の祝詞の締めに、「祓い給ひ清め給へ」といいます。お掃除の終わりにこの言葉を唱えると、心身も一緒に清められたような気持ちになります。
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「よし、年末の大掃除するぞ!」というときは「大祓詞(おおはらへのことば)」を唱えながらお掃除するのはどうでしょう。

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しかし、ご覧のように「大祓詞」は長いです。
しかも言葉遣いも古式のため読みづらいので、途中でつまっても気にしないでください。
「形」より大切なのは「心」です。
ただ、声に出すのが恥ずかしいときは黙読してもよいでしょう。

※原文だと意味がわからないかもしれないので、現代語訳も記しておきます。

大祓詞(現代語訳)
天上界の高天原にいらっしゃる天皇陛下の親神である尊貴な男女の神々は、多くの神々を何度もお集めになり、何度も話し合いを重ねられた結果、(天照大御神の子孫である)天皇に「豊かに生い繁った葦原の美しい稲穂の実る我が国を平和で穏やかに、国民が幸せになるようにお治めなさい」と託されました。

このように委託なさったうえで、国内の乱暴な神たちに「なぜ乱暴なことをするのか」とよくよく問うたり、それでも聞かない場合は追い払うものとして一掃されました。その結果、それまでものを言って(抵抗して)いた磐や木の切り株、草の一枚の葉までを黙らせ、国内は平定されました。こうして天皇は、天界の御座所を離れて、天界の幾重にも重なる雲を押し分けに押し分けて天から地上に降りられました。

(そして)四方の国の中心として大和の国を素晴らしい太陽の高く輝く穏やかな安らかな国として定められ、地下の岩盤に届くほどの太くて堅牢な宮柱を立て、高天原に届くように千木をつけ、天皇の若々しく生き生きとした壮大な神殿をお建てになられました。

そして、天皇の神殿としてお籠もりになられ、我が国を安穏な国として平穏にお治めになられました。

しかし、そのような国の中に生まれ出た本来は立派な人々がついうっかりと犯す種々の罪が次々と増えていき、天界の罪と地上の罪といった実に多くの罪が現れることになりました。

このように犯罪が出てきたなら、高天原の神事をもって、金属のような硬い木(高天原で使われるとされる祓串用の細い木)の上下を断ち切り、祭壇を設けてたくさんの供物を供え、高天原にある麻の木(天の管そ)の上下を断ち切り、多くの針で細く引き裂いて高天原伝来の神聖な祝詞【天つ祝詞の太祝詞事】を奏上しなさい。

そのようにして祝詞を奏上すれば、天上界の神さまは頑丈な天の岩戸を押し開き、幾重にも棚引く雲を左右に押し分けて(下界の)声をお聞きになるだろう。

(そして)地上界の神さまは高い山、低い山の頂にお登りになって高い山の雲や霧も低い山の雲や霧も左右に押し分けてお聞きくださるだろう。このように天つ神と国つ神がそれぞれお聞き届けになれば、国中の罪は悉く無くなるだろう。

それはまるで科戸という風が吹き起こるところから吹く風が天空の幾重にも重なる雲を吹き飛ばすように、朝夕の霧を朝風夕風が吹き飛ばすように、大きな港に停泊している船が船首と船尾の網を解き放って大海原に押し出されるように、向こうの繁った木の根元をよく切れる鎌で切り払うように、すべての罪は祓われて後に残る罪が無いように祓い清められることを祈るのです。

高い山、低い山の頂上から直角に落ちる滝の流れの速い川にいらっしゃる瀬織津比売という神がすべての罪を大海原に持ち出してくださるでしょう。

このようにしてすべての罪を持ち出したならば、今度は荒々しい潮の流れがいくつも出遭う地点にいらっしゃる速開都比売という神がその罪を悉く手に持って飲み込んでくださるでしょう。

そして、速開都比売が罪を飲み込まれると、今度は息を吹くところにいらっしゃる気吹戸主という神が息を吹いて(その罪を)根の国、底の国に吹き飛ばしてくださるでしょう。

このように息で吹き飛ばしてくださったならば、根の国底の国にいらっしゃる速佐須良比売という神がすべての罪穢れを持ってさまよい歩きどこともなく消滅させてくださるでしょう。

このようにさまよい歩いてすべての罪穢れを失くしてくださったならば、一切の罪という罪は消滅すると神さまに祈って祓い清めてくださることを、天上界の神さまも、地上界の神さまも、すべての神さまもご一緒にお聞き入れくださいと申し入れる次第でございます。

大祓詞の意味を考えながら作業することで、思いのほか大掃除が捗って、身も心もすっきりすると思いますよ^^


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