法人口座開設を断られる理由はズバリこれ!

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ビジネス・マーケティング
「会社を作ったので銀行で法人口座を作ろうと思ったら断られた」というのは
よくある話です。
融資ならともかく口座開設を断られると出鼻をくじかれたみたいで、
今後の会社の行く末が心配になってしまいます。
一般的に口座開設は誰でも簡単にできるイメージですが、
法人口座開設が断られてしまう理由は何なのでしょうか?

法人口座開設が断られる理由は「審査が厳しいから」

創業したての会社が金融機関に法人口座開設を断られる理由は、
「審査が厳しいから」に尽きます。
個人口座を作る際も一応審査されるのですが、
身分証明さえできればほぼ個人口座開設を断られることはありません。
実際にほとんどの金融機関では「マイナンバーカード」があれば個人口座が作れますし、
申し込んだその日に開設できます。
ところが法人口座開設となると、申込者や代表者の身分証明だけでは当然不十分で、
「ちゃんとした会社なのかどうか」の審査が行われます。
個人口座に比べて法人口座の審査が厳しい最大の理由が、
「法人口座を悪用されると困るから」です。
実際に法人口座が振り込め詐欺などに利用されたり、
反社会的勢力のマネーロンダリング(資金洗浄)に使われたりしています。
金融機関がこうした行為の「片棒を担いでいる」と思われると困りますから、
こうした行為に使われる恐れが無いかを厳しくチェックするわけです。
ごく僅かでも悪用される危険性があると判断されると、
たとえ悪用する気が一切無いとしても法人口座開設を断られてしまうのです。

創業から1年以内に廃業する会社が少なくない

ただでさえ法人口座開設は審査が厳しいですが、とりわけ創業してすぐの会社が
法人口座を作るのはさらにハードルが高くなっています。
その理由として考えられるのが、
「創業1年以内に廃業する会社が少なくない」ということです。
中小企業庁の統計によると、
創業から1年以内に廃業する中小企業は全体の3割近くに上ります。
廃業してお金に困った経営者が反社会的勢力に法人口座を売り渡して悪用される、
といったことが無いとは言えません。
ですから創業してすぐの会社に対する審査は一段と厳しく、
なかなか法人口座を作らせてもらえないというわけです。

法人口座開設の審査で見られるポイント

では法人口座開設の審査では、
どういったところを見て「適格」「不適格」を判断しているのでしょうか?
法人口座開設の審査でチェックされる主なポイントとしては
 ・本社の住所
 ・資本金
 ・事業目的
 ・許認可証(必要な事業の場合のみ)
の4つが挙げられます。
これらに少しでも「怪しい点」があれば、
悪用される恐れアリで法人口座開設は「不適格」と判断されてしまいます。
<h4>本社の住所がバーチャルオフィス</h4>
まず「本社の住所」ですが、
これは「バーチャルオフィスを利用しているか否か」ということです。
バーチャルオフィスは、
実際の建物や部屋ではなく、ビルの「住所のみ」を借りられるサービスのことです。
主にオフィスを必要としない業種の会社が、
法人登記のためや郵便物の送り先などとして利用するケースが多くなっています。
バーチャルオフィス自体はちゃんとしたサービスですし、
初期費用を抑えて起業・独立するのには無くてはならないものです。
しかし金融機関に「本社住所に事業所が無い会社を信用してもらう」というのは
なかなか難しいです。
ですから法人口座開設を申し込む際には、
バーチャルオフィスではなく実際の建物や部屋を本社とした方が良いわけです。

本社が支店の管轄エリア内にあるのかチェックしている

本社の住所が法人口座開設の審査でポイントとなるのにはもう1つ、
「本社が支店の管轄エリア内にあるのか」をチェックしているからです。
各金融機関は支店ごとに「管轄エリア」というものを設けています。
基本的には管轄エリア内に住んでいたり働いていたりしないと、
その支店では口座が作れないようになっているのです。
場合によっては、自宅や勤め先が最寄り店ではなく少し離れた支店の管轄エリアに
入っているといったこともあります。
ですから、本社の住所が金融機関の支店の管轄エリア外だと、
それ以外が完璧でも法人口座開設を断られてしまう可能性が高いわけです。
しかも「不適格と判断された」という事実だけが残ってしまい、
本社が管轄エリア内にある支店に申し込んでも断られてしまう恐れがあります。
法人口座開設を申し込む際には、
事前に最寄りの支店で本社が管轄エリアに入っているかを確認しておくと良いですよ。

資本金が少なすぎると怪しまれる

「資本金」が少なすぎると金融機関の信用が得られず、
法人口座開設を断られる可能性が高いです。
以前は一定程度の資本金が無いと会社を立ち上げることができませんでした。
しかし最近は資本金1円以上で会社を立ち上げることができるようになっており、
起業のハードルが下がっています。
ただ資本金は創業直後の「運転資金」なので、
あまりにも少なすぎるとすぐに債務超過に陥る恐れがあります。
そのため金融機関に「すぐに債務超過に陥って経営が破綻する恐れがある」として、
法人口座を開設するには「不適格」と判断されてしまうわけです。
また資本金が少ないと、
「取引が少なく、手数料収入が見込めない」と金融機関に見なされることもあります。
さらに資本金が1円だったりすると、
「実態の無いペーパーカンパニー」だと疑われる可能性が大きいです。
それぞれの金融機関で審査基準が違いますから、
「資本金が○円あれば十分」とは一概に言えません。
ただ少なくとも50万円以上、
できれば300万円ぐらいは資本金として用意しておいた方が良いのではないでしょうか。

増資には法人口座が必要

「資本金が少なくて法人口座が作れないなら『増資』すれば良い」と思いますよね。
創業後に資本金を増やすことを「増資」と言いますが、
実は基本的に増資には法人口座が必要となっています。
株主総会の特別決議で増資を決定して、出資希望者を募り、
さらに株主総会の特別決議で割り当て先と割当株式数を決めます。
新たな株式を割り当てが決まった者は、
期日までに割当株式数に応じた金額を会社指定口座に払い込みます。
全ての払い込みが完了したら2週間以内に増資登記を行い、
新たに株式を割り当てられた者を株主名簿に記載して増資が完了となります。
新たに株主となる人にお金を払い込んでもらう「会社指定口座」が、
法人口座でないといけないのです。
厳密な規定があるわけではないものの、
法務局が個人名義の口座では増資登記を認めてくれないのが現状です。
ですから現状では、事実上法人口座が無いと増資登記ができないことになっています。
資本金が少なくて法人口座が作れないから増資しようと思っても、
増資には法人口座が必要ですから手詰まりとなるわけです。
法人口座無しで増資する方法はありますが、司法書士の協力が必要で、
なおかつ手続きにかなり手間がかかります。
なので、資本金の少なさを理由に法人口座を作らせてもらないことがないように、
最初から資本金はある程度用意しておいた方が良いですよ。

事業目的が多すぎてハッキリしない

株式会社を作る場合には、「会社のルールブック」とも言うべき「定款」を作って、
公証役場で認証を受けなければなりません。
定款には会社の基本的な情報を全て記載するのですが、その1つが「事業目的」です。
簡単に言うと、「この会社は何で商売しているのか」を定款に記載するわけです。
基本的には定款に記載してある事業しか行うことができませんから、
将来的に行う可能性がある事業は全て定款に記載しておく必要があります。
また定款に記載できる事業目的の数に上限が無いので、
中には60以上の事業目的を定款に記載している会社もあるのです。
ただ法人口座開設の審査では、
定款に記載されている事業目的の数が多すぎると不利になりやすかったりします。
事業目的の数が多すぎると、「この会社は何をしたいのだろう?」「無計画に何にでも
手を出そうとしてるのではないか」と怪しまれてしまう恐れがあります。
多少手間はかかるものの定款は後で変更できますから、
創業時は実際に手掛ける事業を中心に事業目的の数を絞っておいた方が良いです。

「事業目的」を理由に法人口座開設を断られることも

数を絞ってハッキリさせても、
事業目的自体を理由に法人口座開設を断られることもあります。
実際に、都心に事業所を構える会社の事業目的が「農園経営」となっていたことで、
法人口座開設を断られたということがあったそうです。
都心の事業所に居ながら地方の農園の経営管理ができなくはありません。
しかし金融機関に「都心に農園を作って経営する」と思われたのか、
「本当に農園を経営する気があるのか?」となって不適格と判断されたようです。
それ以外にも「占い」や「出会い系サイト運営」、「貸金業」なども、
事業目的自体を理由に法人口座開設を断られる可能性があります。

必要な許認可を受けていない

定款に記載されている事業目的の中に、「届出」や「許認可」が必要なものがある
場合は、法人口座開設の前に申請や受領を済ませておきましょう。
必要な「届出」や「許認可」の申請・受領を済ませていないと、「本当にこの事業を行う
気があるのか?」「申請・受領できない理由があるのでは?」と疑われてしまいます。
反対に言えば、届出や許認可の申請・受領を済ませていれば、
「法人口座を開設するのに適した会社」であることをアピールできます。
届出や許認可の申請・受領にも審査がありますから、
冷やかしや悪用目的では届出が受理されたり許認可を受けることはできません。
ですから届出や許認可の申請・受領を先に済ませることで、
「本気で事業を行う気がある」ことを主張できるわけです。
ちなみに「出会い系サイト」は警察署、「有料駐車場」は市区町村、
「理美容店」や「クリーニング店」などは保健所への「届出」が必要です。
「旅行代理店」「ペットショップ」「貸金業」「電気事業」「解体工事業」などは、
都道府県に「登録」しなければいけません。
「運転代行」は警察署、「保育所」は都道府県、
「自動車解体整備業」は運輸局の「認可」が必要となります。
「リサイクルショップ」は警察署、「介護事業」「建設業」は都道府県、
「飲食店」は保健所、「運送業」は運輸局で「許可」を取らないとできません。
このように届出や許認可が必要な業種は多く、
それぞれ申請先や申請方法が違うので注意してください。
「知らなかった」では済まされないので、新しい事業を始める際には届出や許認可の
要不要を事前にしっかり確認しておきましょう。

法人口座開設を申し込む際に用意しておいた方が良いもの

法人口座開設を申し込む際には、必要な書類とは別に、
「用意しておいた方が良いもの」がいくつかあります。
まず、実態のある会社であることを示すための「名刺」と「会社パンフレット」です。
名刺は会社を始める当たって最初に作っておくべきものの1つで、
実態のある会社の代表や社員が名刺を持っていないことはありえません。
「会社パンフレット」があれば、創業したてでもどういった会社で、
どういった事業を行うのかが明確になります。
それから「事業計画書」を提出することで、
金融機関の審査担当者に今後の事業計画を分かりやすく説明することができます。
事業計画をしっかり立てておけば、「事業を継続して行う意思」が証明できますし、
「将来性がある」と思ってもらえます。
そして実際に会社として動き始めている場合には、
取引先との契約書や請求書、見積書も用意しておくと良いでしょう。
これらは「会社の実態」を示す何よりの証拠ですから、
「ちゃんとした実態のある会社」であることを認めてもらえます。

ホームページは法人口座開設への好材料

最近は中小企業でも自社ホームページを作るのが当たり前となっていますが、
法人口座開設でも自社ホームページがあるのは好材料です。
ホームページには
 ・本社の住所
 ・連絡先
 ・代表者の氏名
 ・事業目的
 ・資本金
などの法人口座開設の審査に必要な会社の基本的な情報が掲載されています。
しっかりとホームページを作り込んでおけば、
それだけで「会社の実態」を示す説得力のある証拠となるわけです。
自社が提供している商品やサービスについての説明が掲載されていると、
事業内容がより分かりやすくなります。
またホームページ上で申し込みを受け付けていたり、商品を販売していたりすれば、
取引が発生していることを示すことができるのです。
ただし、簡素な「とりあえず作った感」丸出しのホームページでは、
法人口座開設の審査に何の影響も及ぼしません。
あくまでしっかり作り込んであることが重要ですから、
ホームページ制作には力を入れておきましょう。
まとめ
法人口座開設の審査は個人口座を作る場合よりも厳しく、
申し込んでも断られることは十分に考えられます。
断られる主な理由としては
 ・本社がバーチャルオフィス
 ・資本金が少なすぎる
 ・事業目的が不明瞭
 ・必要な届出や許認可の申請・受領が済んでいない
などといったことが挙げられます。
また自社ホームページを作っておくことで、
多少ですが法人口座開設の審査で有利になります。
ですから「断られる理由」に当てはまらないようにして、しっかり作り込んだ
ホームページを持っておくことで法人口座開設を断られる可能性が低くなるはずですよ。

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