病院の経費削減

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コラム
経費削減は経営を支える重要な視点です。それは病院に於いても変わりません。しかしながら、病院に於ける経費削減は一般企業のそれとはもちろん異なります。どこでもお客さんが利用するエリア、お客さんから見えるところでは、顧客満足や企業イメージを意識し、それ以外のところで経費削減を進めていると思います。病院も基本同じですが、病院は施設の殆どが患者さまの利用するところなので、そのコスト削減の対象となる範囲は限定されます。

病院の場合、特に入院患者さまのいるところは、生活の場となります。また、使用されるものも生活の場という事で、家庭の延長戦で利用されるようなものも多くなります。そんな中で経費削減を下手に進めると、患者さまの病状や命にも影響して来るのが病院です。少し例を出し、考えてみたいと思います。

1)病院の冷暖房
病院では24時間冷暖房を付けるのは当たり前のようになっていますが、病院によってはまだそれが出来ていないところもあります。私が最近見た病院でも、消灯後には冷暖房を止めるというところがありました。理由を確認して行くと院長も知らなくて、現場責任者が光熱費を下げるように総務課から言われ、現場に指示を出していたという事が分かりました。
この病院は収入減に苦しみ、仕方無く夜間の患者さまの就寝時間帯には切るという事でした。

2)職員スペースの照明や冷暖房
これはどこでもやっている事で、病院でもやっていないところは無いかと思います。ただ、程度の違いはかなりあるのでは無いでしょうか。職員スペースであったとしても、場所によっては薄暗く気分も暗くなりそうだとか、寒くて仕事も集中して出来ないという事になってはいけないと思います。職員の働く環境が患者さまへのサービスにも影響します。職員に笑顔が出るような職員の環境作りが必要です。

3)教育研修費
教育研修費は医療機関にとっては必ず必要なものです。医療法上とか診療報酬上、実施することを義務付けられている研修もあります。また、医療は文字通り日進月歩です。昨日まで推奨されて来た検査や処置の意味が薄れ、新しい検査や処置にとって代わる事も珍しくありません。それらの新しい医療の知識や手技を常に取り入れ、職員を教育することも必要です。更に治療機器が新しくなるとその医療機器について学習することも必要です。つまり、教育研修費はどうしても必要であり、その必要性は増すばかりです。これを削減するというのは、最新の医療を提供出来ない、未熟なスキルで診療を行うということになります。

4)オムツの選択
どんなオムツを選択するかは重要な選択です。交換のしやすさとか、保水量は看護師や看護助手の負荷に直結します。特に保水量が少ないとオムツ交換の回数が増え、夜中にオムツ交換に回るといった事が発生します。これは大変な労働負荷です。また患者さまにとっての夜中に起こされるという事になります。コスト削減の視点だけでオムツの選択が行われると大変です。

以上、よくある例を4つ上げましたが、病院での経費削減をどんな視点で行うかで、サービスの質、職員への負荷、医療リスクなどに関係してくるわけです。しかしながら、取り組まない訳には行きません。

医療機関の場合は経費削減を総合的な視点で慎重に行わなければなりません。薬剤や医療材料には使用期限がありますが、使用期限を過ぎたために大量に廃棄したという状況も見てきました。ある病院では、手術室にあった数年分の材料が期限切れで廃棄という事がありました。

また一方で使用期限を過ぎた薬剤や材料を使ってしまったということもあります。これも経費削減への取り組みが弱かった弊害の一つとも言えます。こういう事を無くすには、経費削減の視点を職員に根付かせることが必要です。そのためには、病院と職員が協力して行う必要があります。職員の協力無しに進める事は出来ません。

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