試し読み~金持ちと貧乏人の恋~

記事
小説
運命の人に出会える確率は、0.0000034%。もし、その運命の人に出会えたなら、それは逃してはいけないと思う。そして何よりも、地位や名声、それをなしにしてでも、一緒にいたいと思う人こそが、運命の人だと思う。
俺の名前は、たかし。25歳。たまたま商店街のガラガラくじで1等が当たった。海外旅行は、はじめてで、海外旅行満喫していた時だった。たまたまカフェで出会ったのが、彼女。彼女の名前は知世。23歳。俺が注文に手間どっていると、日本人だと思い話しかけてくれた。そこから意気投合。俺は、この出会いを運命だと感じた。こんな1日で人を好きになることだってあるのだろうか?全てが完璧で、全てが僕の理想の女性だった。ただ1つを除いては…
帰国してすぐに彼女に連絡を取った。彼女は東京に住んでいるそうだ。俺の田舎暮らしとは全然違う。都会の女性だったのだ。
会社の出張で、海外に行ったそうで、今度半年ぶりに日本に帰ると言うことだった。
俺は、彼女の帰国を待って空港へ、迎えに行った。彼女には、迎えが来ていたようだったが、時間を作ってくれると言う。やっぱり、好きだ。そう確信した。彼女は、家に泊めてほしいと言った。いきなりで、意味がわからなかったが、僕はそのまま一緒に空港出た。
名前と年齢と住んでいる場所しか知らない彼女に僕は全てを許してしまったのだ。
俺は泊まる予定をしていたホテルに、彼女を連れて行った。しかし、不思議なことに、彼女はいろいろな質問をしてきた。これは一体何なの?と言ってきたのは、お茶のティーパックだった。ティーパックじゃん。無料だよ?飲む?美味しいわ!こんなものがもらえるのなんて素敵!僕は、彼女が相当な貧乏だと感じた。でも、それがいい。僕も実は貧乏。彼女の迎えのために、交通費で半月分の給料を使ってしまった。泊まるホテルが、ビジネスホテルよりも格下だったのだ。彼女はまるでテーマパークに来たかのように興奮して、同じ部屋を3回も見て回った。相当小さい家に住んでいるのだろう。
彼女が、いつも身に付けている時計は、とても古そうだった。そこが良い。きちんとものを大事にしている感じがした。俺は、彼女の時計を褒めた。すると彼女から意外な言葉が返ってきた。
これ、実は日本で知られていないかな。父親から贈られた腕時計なの。フランスの老舗パロのよ。これは、イタリアブランドのママーの指輪。
俺は調べてみた。すると、中古でも何千万円もするではないか!
なんと、彼女はとんでもなく金持ちの娘だったのだ。名刺には、名前は見たこともない3桁の文字。なんと読むのかわからない。ましてや彼女が勤めている会社は、大手の企業。僕は唖然とした。
給料は?と聞くともらってないよ?ママの会社だもん。まさかの給料ゼロだけど、口座たんまりあるタイプだった。
お金持ち女性は、メディアが宣伝するような流行りをいたずらに追いかけなかったり、高品質な物を手入れして丁寧に使っていたりするのだ。これ見よがしなブランド品で全身を固めるようなタイプは少なく、お気に入りの高品質なものを、さり気なく使う女性が多いと言う。
彼女は、とても大胆で節約はしない。それは旅行で会った時も感じていた。おいしいと思った食べ物にはとことん金をつぎ込む。そして、よくないと思ったものにはあっさりと切り捨てる。逆に、僕は節約をする。おいしい食べ物でも高かったら我慢する。まずい食べ物でも安かったら食べる。良くないと思ってもただでもらったら使う。とことん使う歯磨き粉だって切ってでも。そこが差だった。
彼女は、マナー教育もしており、高学歴の女性。自身の価値観・判断軸を、持ち合わせている。それでも、一様に押し付けがましさは全くなく、相手に対してリスペクトを示し、謙虚に耳を傾ける聞き上手である。完璧だった。
僕は、彼女の誠実さを裏切れず、自分が貧乏であることを明かした。きっと、彼女に嫌われてしまうだろう。当たった高級ホテルに泊まっていたことすら恥ずかしい。しかし彼女は驚かなかった。どうして驚かないの?正直な人ね!と笑った。靴は人が出ます。靴が汚いと周りからも貧乏だと思われますよ。しまった。あなたは、コレクター気質な人でしょ?自分がコレクションする以上にお金を稼ぐ必要がありますからね。でもあなたは私を常に笑わせてくれる。そこが好き。金持ちの男が持っていないもの。普通の人が持っていないもの。それはあなたにあります。私はあなたを運命の人だと感じました。それは大切なことなんです!大事にしなくてはいけないことなんです!お金持ちであろうとなかろうと人はお金でできてるわけでは無いですから!心でできてるんです。僕は彼女にすっかり惚れてしまった。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す