「嚥下障害」脳卒中患者の事例

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【はじめに】

このブログでは、症状に対するアセスメントの具体例を提供します。
私自身、看護学生や新人看護師だった時に、看護過程の記録をどのように行うべきかを理解するのに苦労した経験があります。そのような状況で、私が大いに助けられたのが、先生や先輩のアセスメント例を見て学ぶことでした。例を見ることで、「これが正しい書き方だったのか!」と気づき、アセスメントの書き方がすぐに頭の中で整理されました。
具体例を見て学ぶことは、理解を深め、知識を広げるのに非常に役立ちます。さらに、日本語の表現方法やフレーズについても学べるため、文章力向上にもつながると思います。
ぜひこのブログを参考にして、ご自身のアセスメント力の幅を広げる糧にして頂ければ幸いです。
当ブログの内容は、ご自身の課題や実習への使用に限り、自由に使用して良いです。ただし、あくまでも見本なので、自己責任で使用するようにしてください。
症状別アセスメントは、様々なケースで応用できると思います。看護計画もついているので、参考にしてくださいね!!
当ブログの内容を無断で複製・転用することは、許可していません。
著作権侵害に当たるので、他の方に見せたり、コピーして配布することは禁じます。
注意点を守って活用していただければ幸いです。
内容は適宜、最新の内容に更新します。
看護学生さんの力になれるレベルを目指して作成していますが、アセスメントや看護計画の作成時間は、事例によって異なりますので、確認する方によっては、一部不十分な部分がある場合があるかもしれません。

【サービス紹介】
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※ 時期によっては対応できないこともあるのでご了承ください。


【今回の情報】

C氏(75歳、男性)
一週間前に脳卒中の発作があり、現在は病院でリハビリテーションを受けている。現状としては、食事の際に咳き込む嚥下障害が見受けられる。

<バイタルサイン>
血圧125/80 mmHg、心拍数72回/分、体温36.5℃、呼吸数16回/分、酸素飽和度は室温で95%である。

<採血検査データ>
白血球数6,000/μl、ヘモグロビン12.0g/dl、血小板数200,000/μl、AST/ALTはそれぞれ22/18 U/l、CRP0.1mg/dl。特筆すべき異常値はなく、患者は一見安定した状態に見える。

<患者の言動>
飲食に対する恐怖とフラストレーションが見受けられる。自分の声が「以前と異なる」と述べ、しばしば食事を中断する。また、その状況に対し家族は混乱し、困惑している。妻は「なぜこんなに時間がかかるの?」と疑問を投げかけ、息子は「何とか早く良くならないものか」と焦燥感を見せている。

以上の状況から、詳細な嚥下機能の評価と、患者と家族に対する適切な教育が必要であると判断される。


【アセスメント】

【S】
本人)(自分の声が)「以前と異なる」
妻)「なぜこんなに時間がかかるの?」
息子)「何とか早く良くならないものか」

【O】
年齢:75歳
性別:男性
病歴:一週間前に脳卒中の発作を経験
【現在の状況】
病院でリハビリテーション治療を受けている
主な症状と観察
嚥下障害:食事中に頻繁に咳き込む
声の変化:自己報告によれば、声が「以前と異なる」と感じている
患者の心理状態:飲食に対する恐怖とフラストレーションを感じている
        頻繁に食事を中断する傾向がある
<バイタルサイン>
血圧:125/80 mmHg
心拍数:72回/分
体温:36.5℃
呼吸数:16回/分
酸素飽和度:室温で95%
<最近の採血検査結果>
白血球数:6,000/μl
ヘモグロビン:12.0g/dl
血小板数:200,000/μl
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ):22 U/l
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ):18 U/l
CRP(C反応性タンパク質):0.1mg/dl

【A】
 嚥下障害は、口から食道への飲食物の移動が困難または不可能となる状態を指す。これは、口腔、咽頭、食道のいずれか、または複数の部分で問題が発生すると起こる。最も一般的な原因は神経系の疾患で、脳卒中、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などが含まれる。症状は多岐にわたり、飲食物の喉に詰まる感じ、咳、喉の痛み、体重減少、栄養不良などがある。特に高齢者においては、肺炎を引き起こす可能性があり、その結果生命に危険を及ぼすこともある。
嚥下障害は通常、言語療法士や耳鼻咽喉科専門医により診断され、適切な治療が推奨される。治療の目標は、嚥下能力の改善と合併症の予防である。場合によっては、特定の飲食物の摂取を避けたり、特別な嚥下技術を学んだりすることが求められる。重度の嚥下障害では、栄養補給のために経鼻経管栄養または経皮的内視鏡的胃造設術(PEG)が必要となる場合もある。
 バイタルサインは血圧125/80 mmHg、心拍数72回/分、体温36.5℃、呼吸数16回/分、酸素飽和度は室温で95%と、全体的に安定した範囲内である。血液検査の結果からも白血球数6,000/μl、ヘモグロビン12.0g/dl、血小板数200,000/μl、AST/ALTはそれぞれ22/18 U/l、CRP0.1mg/dlとなっており、特に異常は見られない。
 C氏は食事中に頻繁に咳き込むため、嚥下障害の可能性が高い。さらに、自身の声が以前と異なると訴えている。これらの観察から、神経系が脳卒中の影響を受けている可能性が示唆される。心理的状況と家族の反応として、C氏は飲食に対して恐怖とフラストレーションを感じている。患者の病状に対する理解が深まれば、その感情の管理が改善する可能性がある。一方、家族も混乱と困惑を示しており、特に妻は患者の病状についての混乱と不明瞭さを、息子は焦燥感を見せている。家族への教育とサポートも必要である。
 以上の情報から、専門的な嚥下評価が必要である。言語聴覚士による評価と協力を求めることで、患者の嚥下機能に関するより具体的な情報を得ることができる。具体的な情報をもとに、飲食介助の援助を行い食事の安全を確保するための方法を検討する必要がある。

【P】
嚥下機能の評価
飲食介助


【看護計画】

看護問題 #1 嚥下障害による摂食困難

患者目標
【長期目標】嚥下機能改善による自立飲食
【短期目標】嚥下技術の習得と食事中の安全確保

看護介入
《 O - P 》観察計画
・咳の有無
・食事中の喉への違和感
・食事のスピードと量
・食事中の息苦しさ
・喉の清掃行動(例:喉をこすり、むせるなど)
・声の質(例:声がかすれる、音が出にくいなど)
・飲食物の種類と嚥下の易しさ
・唾液の管理
・食事中の体位
・口腔内の状態
・食事に対する反応と感情
・体重の変化
・総摂取量
・睡眠と疲労の程度
・気分と集中力の変動

《 T - P 》治療計画
・嚥下機能評価の実施
・食事介助の提供
・飲食物の選択と調整
・適切な体位の確保
・口腔ケアの提供
・食事前後の口腔清掃
・適切な水分補給の実施
・嚥下促進のマッサージ
・食事の環境整備
・ダイエット調整のコンサルテーション
・体重管理とモニタリング
・睡眠環境の最適化
・リハビリテーションのサポート
・心理サポートの提供
・他職種との連携によるケアプランの作成

《 E - P 》教育・指導計画
・嚥下障害の説明と理解
・嚥下技術の習得
・食事体位の指導
・食事中の注意点の教示
・口腔ケアの方法の指導
・適切な飲食物の選択方法
・リハビリテーション方法の教示
・薬物管理の指導
・心理的ストレスの管理方法
・家族への嚥下障害の理解とサポートの指導

以上で終了です。
一事例の見本なので、ご自身の状況に合わせて、使用して頂ければ幸いです。
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