「運動を始めたいと思うが、もう年だから無理か」と諦めていませんか?
確かに年を取ると体も衰えるため、体を動かすこと自体が億劫となります。ですがそうした方にこそ筋トレはおすすめできます。
なぜ年を取るほどに筋トレがおすすめできるのでしょうか?その理由をこれからお話しします。
理由1、大人になる筋トレの効率が上がる
意外かもしれませんが大人になるほど筋トレの効率があがります。
「筋トレは若いときにしないと効果が出ない」とよくいわれるが、これは間違いで、むしろ若いときにおこなう筋トレはあまり効果がでません。
若いときの筋トレで効果があまりでないのは「代謝が高い」ためです。
代謝とは何もせずに消費されるエネルギー量のことです。体の代謝と聞くと糖分や脂肪が消費されるイメージを持ちますが、実は糖分や脂肪のみならず筋肉もまた消費されています。
若い人はたんぱく質の合成効率も高いので筋肉の材料も多く作られるのですが、それ以上に代謝によって筋肉が失われるため、トータルで考えると筋肉はつきにくくなります。
実際に部活動をやっていた人で、がっちり筋肉がついていた人を見たことがあるでしょうか?全くと言っていいほどいなかったはずです。
そうしたことからもわかる通り、若いときは筋肉をつけるのが難しい時期だともいえます。(プロスポーツ選手でも、今はゴリゴリだが入団当初は細かったという選手がほとんどです)
では大人の場合はどうでしょうか?結論から言うと、大人になるほど筋肉が付きやすくなるため、若いときよりも筋トレの効果が出やすくなります。
筋肉が付きやすくなるのは代謝が落ちるためです。
代謝が落ちると糖分や脂肪を燃焼させる力も弱まって太りやすくなるのですが、同時に筋肉を消費させる作用も弱まるため筋トレによる筋肉増強効果が強くでるようになります。
そのため大人になってからの筋トレは、若いときよりも成果が強く出るようになるのです。
ですが「アスリートは30代になると衰えるから、大人になってからの筋トレは意味がないのでは?」と思った方もいるでしょう。
30代の人で筋肉は使わないによって「なまる」ことはありますが、30代から筋肉が「衰える」ことはまずありません。
というよりむしろ筋肉だけで考えると50代、60代あたりが全盛期になるぐらいです。
アスリートが30代から衰えるのは、神経系の衰えとケガによるところが大きいです。神経系の衰えとは反射神経や動体視力など神経に関する作用が衰えることを示します。
神経系は30代ないし20代から衰える傾向にがあり、こちらの衰えがパフォーマンスに影響して、引退を選ぶというケースは意外と多いのです。実際に野球選手の場合、動体視力の衰えが原因で引退することがあります。
もう一つの引退理由はケガです。アスリートとしての活動期間が長くなるほどケガや勤続疲労が蓄積し、十分なトレーニングができなくなって、そこからパフォーマンスが低下して引退するケースがあります。
神経系の衰えやケガが原因の引退は多いのですが、純粋に筋力が衰えての引退というのはそれほど多くありません。
実際に引退直後の40代アスリートが、純粋に筋力を競う競技では若い人を押しのけて上位に君臨する例すらあります。
運動をしていなかった方が60代から筋トレを始めて、ボディビルの大会に出場するようになった例もあります。そうしたことを考えると今からでも筋トレを始めれば十分な成果が得られるといってよいでしょう。
年を取ると失うものばかりと感じますが、筋トレに関してはむしろ得るものが多かったりします。
理由2、大人は誘惑に強い
若い人と比較して大人は誘惑などに強いため、筋トレを継続しやすくなります。
誘惑への耐性は前頭葉などの脳の発達によるものです。
若いころは脳が発展途上であったことから、誘惑に耐えようとしてもついついつられてしまうことが少なくありません。我慢は結構脳のエネルギーを使います。
しかも筋トレは成果が出るのに時間がかかります。成果を出すのに2,3か月継続する必要があり、場合によって1年をかけてようやく成果が出ることも珍しくありません。
継続が要求される筋トレにとって、誘惑への対抗は大きな課題となります。
若いときはそうした誘惑につられやすいので、時間のかかる筋トレは成果が出にくくなるため、敬遠される傾向にあります。
これに対して大人は若い人よりも誘惑に対しての耐性があるため、集中して筋トレに取り組むことが可能です。
継続が何よりも大事になる筋トレは、継続する力が備わっている大人との相性がかなり良いといえるでしょう。
あと「小さいときに好きだったものが、大人になったら好きじゃなくなる」という大人限定で起きる現象も、筋トレにとっては追い風になる場合があります。
昔から漫画を読むのが好きだったが、ある日を境になぜか漫画が楽しくなくなったなど、昔から楽しんでいたものが、ある日突然楽しめなくなった経験はないだろうか?(もちろん今も継続して楽しいという人もいるでしょう。)
人は年を重ねると嗜好が変わります。その嗜好の変化は水面下で進行していき、ある突然表に現れるため、突然来た変化に戸惑う人は少なくありません。
そうした嗜好が変わる経験をした方にこそ筋トレはおすすめしたいです。嗜好が変わると今まで楽しめたものが楽しめなくなりますが、同時に今まで楽しくなかったものが楽しめることを意味しているからです。
もしかしたら若いときであれば見向きもしなかった筋トレが、嗜好の変化によって楽しいと感じるようになるかもしれません。
理由3、じっくりと筋トレに取り組める
大人になると長年にわたって筋トレに取り組めるようになります。これは若い人にない大きなメリットです。
その結果として、若いとき以上のパフォーマンスが出せる体を手にすることがあります。
実は若いときの運動する期間は結構短かったりします。若いときの運動といえば部活であり、その部活の活動期間は長くても2.5年ほどしかありません。
そのため部活の成果は2.5年後に訪れる引退までに出すことが求められます。引退した後に上達したとしても、大会に出られるわけではないのでほぼ意味がないからです。
この時に重要なのが「1日あたりの筋トレの成果には限りがある」こと。
筋肉の発達にはたんぱく質が欠かせません。ですが1日あたりで摂取できるたんぱく質は体重1kgあたり1.6gグラム前後が上限であるため、1日で発達できる量には限りがあります。
2.5年という期間は数値上こそ長いものの、若い人特有の代謝が高くて筋肉が消費されやすいことを踏まえると、結構短い期間です。そのため若いときに筋トレの成果を出すのはかなり難しいことになります。
では大人ならばどうでしょうか。
まず大人の運動には期間の制限はありません。そのため本人が望めば5年も10年もトレーニングが可能です。つまり長期にわたって自分のペースでトレーニングがおこなえることを意味しています。
そして筋肉とは正しくフォームでトレーニングができると、行った期間に比例しどんどん発達していきます。そのため大人の筋トレには上限がありません。
実際にスポーツジムなどでは10年以上も筋トレをしている人が存在しています。彼らの体を見たことがあるでしょうか?
常人の倍以上の腕をしていたり、大きな胸板を持っていたりすることがあります。
そこまで極端な人でなくても、10回以上の腕立て伏せが余裕でできる肉体を得ている人も存在しています。(正しいフォームで腕立て伏せが10回以上できる成人は、全体の3割ぐらいしかいません。)
10代の方で、あなたの倍以上の太い腕を持っていた方はいたでしょうか?まず見かけたことがないはずです。そうした腕は長年にわたってトレーニングを重ねた結果として得られるものですから。
このように大人になると運動できる期間の制限がなくなるため、筋トレをすると周囲を圧倒するような成果が得られるようになります。
まとめ
「大人になると体が衰えているから運動する意味がない」と考えている人は多いです。
実際に代謝など衰えている個所があるため考えとしては間違いではないのですが、「代謝が下がる=筋肉が付きやすくなる」など少し見方を変えるとプラスの面があることに気づきます。
実際に筋トレは30代以降から効果が上がり、50代ぐらいから全盛期を迎えるといわれていますので(むしろ60代以降から始めても発達させられる)、あなたも今日から筋トレを始めてみてはいかがでしょうか?