6割超の企業が人材不足、約8割が将来を不安視──専門スキル人材の確保に悩む企業のリアルとは

「慢性的な人手不足」「求人を出しても応募が来ない」「いてほしい人がいない」──。全国の企業から、そんな声が聞こえてきます。
そのような実態を把握するべく、株式会社ココナラは2025年6月、全国の企業勤務者5,000人を対象に「人材不足」に関する調査を実施。その結果、現在6割以上の企業が人材不足を感じており、約8割が将来を懸念していることが明らかになりました。
とりわけ目立ったのは、IT関連やバックオフィス業務を中心とした専門性の高い人材の慢性的な不足。本記事では、調査結果とともに、企業が直面する人材課題のリアルと、新たな解決策として注目される「外部人材活用」の動向を読み解きます。
専門性を持つ人材が足りない──中小から大手まで共通する“課題”
今回の調査によると、現在「人手が足りない」と感じている企業は63.1%。さらに、「将来が不安」と答えた企業も多く、将来的に77.3%が人材不足を懸念しているという数字は、深刻さの広がりを物語っています。
中でも注目すべきは、「専門スキルを持った人材」の確保が極めて難しいという点。現在、および将来の人材不足に不安と回答したうち85%以上が「専門性が必要な分野で不足を感じている、将来が不安である」と答えており、エリア・企業規模・業種を問わず課題は共通しています。


不足が顕著な職種としては、次のような部門が挙がりました。
- エンジニア・インフラ・システム運用などのIT部門
- 営業・マーケティングなどの事業部門
- 人事・経理・財務といった管理部門

特に不足しているのはIT部門で、実に上位10件のうち半数を占める結果となりました。これらの職種が組織の中枢を担っているにもかかわらず、多くの企業では「必要な人材が採用できない」「退職後の穴を埋められない」といった声が後を絶ちません。
現場が疲弊、売上にも影響──人材不足が引き起こす連鎖
人材が足りないことで最も影響を受けているのは「現場」です。調査ではどの部門でも「長時間労働・残業の増加」「従業員のモチベーション低下」「技術・ノウハウの継承ができない」といった項目が上位に挙がりました。
特に、
- 事業部門では「従業員のモチベーション低下」
- 管理部門やIT部門、クリエイティブ部門では「技術やノウハウの承継ができない」
ことが最も大きな課題として認識されており、適材がいないことが職場全体の効率や継続性に影響が出ているという現状が浮かび上がります。

また、従業員30人以下の中小企業では、「売上減少」「製品やサービスの品質低下」「顧客対応力の低下」といった経営に直結するリスクも顕著です。人材不足は単なる“人手の問題”にとどまらず、企業の競争力や信頼性を損なうリスクとして表面化しているのです。

身近に適材がいない。採用のハードルが高い。根深い人材不足問題。
この人材不足の原因はどのようなところにあると考えられているのでしょうか?上位には「業界全体の人材不足(45.9%)」、「特定の技術・専門性のあるスキルを持った人材の不足・不在(35.1%)」、「採用による補充ができていない(34.8%)」といった回答が挙がりました。
慢性的な人材不足を感じており、採用を試みようとしているものの、そもそも業界全体の人手不足やスキルを持った人材とのネットワークがなく、八方塞がりになっている状況が見て取れます。

さらに詳細を調べてみると、企業規模が小さいほど「業界の人材不足」「採用による補充ができていない」数が高まり、逆に大きいほど「特定の技術・専門性のあるスキルを持った人材の不足・不在」に課題を感じているようです。大企業ではニーズにマッチした人材の採用が十分でないと感じる一方、中小企業では採用活動そのものに十分なリソースがかけられていないことがわかります。

採用、外注に並び、企業が注目する“第3の選択肢”
こうした中、企業はどのような対策をとっているのでしょうか。調査では「中途採用(36.7%)」「新卒採用(21.1%)」「定年延長(18.7%)」といった正社員の採用・活用が多く見られました。さらに4社に1社は「対策ができていない」と回答するなど、人材不足を解消するための取り組みさえできていない企業が数多く存在します。

また、採用活動自体は進めているものの、「人材不足対策がうまくいっていない」と考えている企業も75.6%に上り、正社員採用による解決には限界があることがうかがえます。特に中小企業では、採用活動にかけられるリソースの制約も大きく、「必要な人がいても動けない」という現実がのしかかっています。
こうした状況を受け、企業の関心は「デジタル化による省人化」や「外部人材の活用」へとシフトしつつあります。

必要なとき、必要なだけ「外部の力を借りる」時代へ
では、これからどのような解決方法を企業は考えているのでしょうか?調査では、今後取り組みたい対策として以下の選択肢が挙げられました。
- 業務のデジタル化(DX)
- オンラインマッチングサービスの利用
- フリーランス・副業人材の活用
- エージェントサービスの利用

これらの傾向は、「正社員にこだわらない、新たな働き方と人材活用の模索」とも言い換えることができます。必要なスキルを持った人と、必要な時に、必要な形でつながる。そんな柔軟な選択肢として、「外部人材」が新たな人材戦略の中核となりつつあります。
現在当社では、ITフリーランスと企業のマッチングを行う「ココナラテック」、スキルを持ったアシスタントを紹介する「ココナラアシスト」などを運営しています。これらのサービス利用者の傾向を紐解くと、最もニーズが高いのはITエンジニアとなっており、先の「人材不足を感じる職種」の調査結果を裏付けるものとなっています。

ITエンジニアのニーズをさらに深掘りしてみましょう。ココナラテックの担当者によると、案件としては企業規模を問わずDX支援、データ利活用、クラウドリフト(既存のシステムやアプリケーションをクラウド環境に移行する)など幅広いニーズがあります。
求めているスキルもさまざまで、DX支援ではグランドデザインから経験のあるITコンサルタント、データ利活用だとPython経験者、クラウドリフトだとAWSやAzureの経験者を欲している企業が多い傾向があります。また、レガシー環境からオープン化する案件も多くあり、COBOL経験+オープン言語(Javaなど)経験者などのニーズも急増しているようです。
また一方、「アシスタント」といってもそのスキルの範囲は多様にわたります。事務・秘書から人事・採用・労務、経理、カスタマーサポートなどバックオフィスの人材ニーズから、Webマーケティングやデザイン・コーディング、動画制作なども上位に上がっています。マーケティング・販促を積極化したいけれども専門人材が社内におらず、採用もできないといった課題を抱える企業が多くいることがわかります。
終わりに──採用、外注に並び、企業が注目する“第3の選択肢”
少子高齢化の進行による労働人口の減少と、ビジネスの複雑化・高度化。求められるスキルはどんどんと細分化、高度化していくことと合わせ、この先も中小企業から大企業まで、企業が抱える人材課題はさらに多様化していくでしょう。
そのような中、今後求められるのは「人手」ではなく「力」──。フリーランス、副業といった新しい働き方が徐々に浸透し、企業に属さず活躍する人は増えています。社内で社員を抱えることだけを考えるのではなく、正社員採用、外注に加え、第3の選択肢としてスキルと経験を持つ即戦力を活かす「外部人材の活用」を積極的に検討することが鍵になりそうです。
