フリーランス新法施行前からココナラが大切にし続けている「可視化」によるフェアな取引とは 

11月1日にフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されますが、創業時より多くのフリーランスが活躍するココナラでは「フリーランスの立場を守り、出品者と購入者双方がフェアな取引を実現する」ために試行錯誤を繰り返しています。ココナラが実施している取り組みや、大切にしている考え・価値観などを、執行役員 VP of Product Managementの竹下にインタビューしました。


竹下 加奈子 執行役員 VP of Product Management

早稲田大学法学部を卒業後、ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社に新卒入社。 
サイバーエージェントグループでマーケター、ソーシャルゲームのプランナーとプロデューサーを経て事業責任者に就任。 
その後、AI企業の執行役員を経て、2020年からココナラに参画。現在はココナラスキルマーケットの担当役員を務めている。 


目次

創業から現在までココナラが取り組んでいる「可視化」の意義 

ココナラは出品者と購入者がオンラインのみで取引する場ですが、プラットフォーム運営において気を付けているポイントを教えてください

プロダクトとしては、とにかく「可視化」することに重点を置いて開発や改善を進めています。会ったこともない、顔写真の公開も必須ではないプラットフォームで取引をする上で何よりも大切なのが「信頼関係の構築」です。どんな人が、どんなサービスを、いくらでやってくれるのか。この人は何ができて何ができないのか。購入目的のユーザーが出品者のプロフィールやサービスページを見れば、それが明確に分かる仕組みを作ることで安心して依頼できる環境づくりを目指しています。また、情報が可視化されることで出品者と購入者のマッチング率も上げられます。 

さらに、購入者から出品者へ送る「見積もり・カスタマイズの相談」も入力項目を細分化して、依頼内容や条件を可視化することで、双方の認識に齟齬が生じたり「言った言わない」のトラブルになったりしないような仕組みを作りました。 

「可視化」というと、フリーランス新法でも「書面等による取引条件の明示」が定められていますね。 

フリーランス新法の「書面等による取引条件の明示」は、取引の内容や条件をテキストとして残し可視化することですが、ココナラにおける可視化はそれだけでなく”期待値の意識合わせ”の役も果たしていると感じています。出品者がポートフォリオやプロフィールに実績や作品を掲載することで、スキルや作風が伝わり、依頼した場合の仕上がりイメージが予想しやすくなります。また、修正対応回数や事前打ち合わせの実施掲示金額内で対応可能な範囲、オプションとなる範囲を出品者側が明示することで「暗黙の了解」や「よしなに」など不明瞭になりがちな部分が明らかとなり、購入者との「これもやってくれると思っていた」などの期待値のズレが防止されています。

「書面などに明示」は”言うは易し”なのですが、問題は「どうやって」の部分で、ココナラでは長年にわたりこの“How”を試行錯誤し続けてきました。カテゴリ毎に異なる必要項目を設定したり、入力項目が増えても分かりやすく見せる工夫をするなど、UI、UXのブラッシュアップに日々尽力しています。 

徹底したデータ分析とユーザーの声の吸い上げによる機能改善 

「可視化」においてカテゴリごとに必要項目が異なるとのことですが、ココナラには740種類以上あるカテゴリで必要となる情報や入力項目はどのようにして決めているのですか? 

方法は大きく分けて2つです。1つは、ココナラ内外の市場データから対象となるカテゴリの取引には何が必要か、どういった傾向にあるか、情報を整理して割り出します。 

もう1つはユーザーの声の吸い上げです。データだけでは分からない生の声を直接聞くことで、ユーザーが必要とするもの、求めているものを明らかにして機能改善に反映しています。サイト内に設置された意見箱や問い合わせフォーム、ユーザー交流会イベント、アンケート、インタビューなど、さまざまな手段でユーザーとの関りを持ち、声を聞く機会を意識して作っています。 

2024年7月に開催されたユーザーイベントは、「ココナラ夏祭り」をテーマに開催しました。

直接声を聞く機会を多数設けているとのこと、出品者も購入者もどちらも対象となっているのですか? 

はい。意見箱や問い合わせフォームからは出品者購入者問わず、さまざまなユーザーからの声が届きます。届いた意見や要望は、すべて共有されて我々のチームが確認しています。また、イベント、アンケート、インタビューは出品者も購入者も対象としており、双方の声を聞く機会を作っています。 

この「ユーザーの声を第一に」というのは創業当初からココナラが大切にしていることです。データだけで判断せずに必ずユーザーの声を聞き、ユーザーが何を求めているのか、ユーザーにとって使いやすく安心して利用できるプラットフォームに必要なものは何か、模索しています。 

フリーランス新法の施行により再確認した取り組みの意義と価値

11月1日から施行されるフリーランス新法について、率直にどのような印象をもたれましたか

率直な印象としては「ココナラではすでに当たり前に取り組んでいることばかりだな」というものでした。先ほどの「書面等による取引条件の明示」は可視化の取り組みそのものですし、フリーランス新法で定められている「期日内の支払」についても、ココナラでは支払いが保証されるシステムを構築しています。 

ココナラで活躍するフリーランスの方からは「ココナラを使うことで安心して取引ができる」という声を多数いただいています。中には「購入者にとっても安心できるプラットフォーム」だと勧めてくださっているという方もいて、まさにココナラが目指す「双方安心」が実現できているんだと実感してうれしく思いました。 

出品者も購入者も互いに安心して取引できる場を築く上で、気を付けていることや、意識していることはありますか? 

どちらかが極端に有利になったり得したりするのではなく、両者がフェアになる仕組みづくりを意識しています。また、スキルシェアマーケットでありがちな「買い叩き」や「価格崩壊」に関しても、長い期間をかけてカテゴリごとに「最低出品価格」を定めました。正しい価値を正しい価格で販売できるプラットフォーム実現のため、現在もユーザーの声を聞きながらこまめに改定を繰り返しています。 

フリーランス新法の施行に際して、ココナラとして新たに取り組むことや課題はありますか?

正直なところ「フリーランス新法が施行されるから変えなければ・新しく何かやらなければ」といったことは特別には無く、これまでココナラが取り組んできたことを、これからも続けていくだけと思っています。ココナラが取り組み続けている「出品者(受注者)と購入者(発注者)双方が安心できる取引の実現」は、まさにフリーランス新法で実現しようとしていることそのものだなと感じました。 

もともとココナラはリアルでおこなわれていた取引をデジタルで叶えようとして立ち上がったサービスでしたが、気付けばリアルが追い付いてきたんだ!と実感し、取り組みの価値を再確認しました。 

今後の課題は可視化した情報の整理とユーザビリティの向上 

それでは最後に、ココナラとしての今後の課題や展望について教えてください。

これまで可視化を実現するために、プロフィールページやサービスページ、見積もり・カスタマイズの相談、仕事の募集など、とにかく「入力項目」を増やし、情報が充実するようにしてきました。 

入力項目が細かく、数も多くなってきたため、情報をより入力しやすく、伝わりやすくする工夫が必要だと感じています。膨大で詳細な情報を入力いただくというユーザーの負担をなるべく軽減したいですし、一方で情報が充実していても、分かりにくければ意味がありません。たとえ不慣れな方が入力したとしても、わかりやすく読みやすいアウトプットになる状態を作りたいです。これらの課題をこれまで通りUIに磨きをかけていく一方で、AIというテクノロジーの力も活用しつつ、解消していきたいと考えています。 

740種類以上の全カテゴリから横断して最適なサービスを提案する「ココナラAI購入アシスト

出品者のスキルや得意分野・できることとできないこと・金額などの情報が、見落とされることなく正しく伝わるよう、そしてストレスなく見られること、逆に、購入者や仕事の募集者が入力した項目が、分かりやすく出品者に伝わり、見落としや勘違いが生じないよう、これからも改善に尽力していきます。

ココナラはユーザーの声を受けて変わり続けるプラットフォームです。ユーザーの想いを受け止め、これからも進化を止めずに歩んでいきます。 

ご紹介サービス ココナラスキルマーケット

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