「きみのお金は誰のため」ぜひ読んで欲しい!

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こんにちはこんばんは(^^)チラシや名刺デザインのサービスを行なっている、しゅうじデザイン室です。
さて本日のお題は元ゴールドマン・サックス金利トレーダー田内学さんの著書「きみのお金は誰のため」のご紹介です。

おいおい!また経済ネタかい!?と思わないで欲しいのですが、いかにもどこかの偉い経済学者が難しい専門用語を使った「上から目線で解説した本」ではなく、初老のおじさんと中学生、OLとの3人による対話形式なので、非常に読み進めやすい形式です。

本書の最大の謎である3つのテーマに従って私なりの解釈を交えて解説いたします。
1.お金自体には価値はない。
この言葉を聞くとほぼすべての人が否定されます。
1万円札は1万円相当の価値のものと交換できるじゃないか!
なぜ印刷代約20円そこそこの紙切れが1万円の価値を持つ理由を聞くと「そらぁみんなが1万円の価値があると思って使っているから」と。
私なりの答え・・・
政府が価値を約束した日銀発行の借用証書で納税にも使えるから、皆”日本円”というお金を欲しがる。納税に使えるお金が前提で貨幣が流通する、いわゆる租税貨幣論です。←本書にはこのような理論は書かれていません。
お金自体は価値の塊で、何でも手に入れられる。そうでしょうか?
例えば20年前の2003年にスマホのような携帯端末が欲しいと思っても存在しないので提供できません。「いくらお金を積んでも無い物は手に入らない」
スマホが開発に至るまでたくさんの人が介在した結果、2007年にiPhoneが発売されました。当然膨大なお金を要したと思いますが、あくまで人を動かすきっかけになっただけで、成し得たのは人の存在があったからです。
want_iphone.jpg

人を動かすきっかけという部分での余談
家庭内ではやることなすこと全てお金を要求されることはありません。(逆に食事のたびに妻からチップを要求されたら食卓は殺伐とするけど)家族の絆というか互いの信頼関係があるからでしょう。しかし一歩家の外の世界だと、お金を払わないと人のサービスを受けることはできません。隣のおっさんの家に勝手に入ってご飯を食べたら警察に通報されます。ある意味、お金が信頼の証になっています。極論ですが、日本国内が家庭のような強い絆で結ばれた関係ならお金って存在すると思いますか?ボランティアは「誰かの役に立ちたい」から無償で手伝うわけで。もし災害で日本全体が危機的状況(日本沈没とか)になったら、無償で食料を分け合う世界になるかもしれませんね。

2.お金で解決できる問題はない。
2023年現在、食料品の原材料やガソリン価格が値上がりし、インフレ傾向にあります。それは国民のお金まわりがよくなり、需要が高まって価格が上がるディマンドプルインフレではなく、輸入物価の高騰によるコストプッシュインフレです。ヨーロッパや中東で起こっている戦争がその一因です。輸入物価高騰で食品が値上がりする原因は、日本の自給率の低さでしょう。自ら自給率を下げる政策を進めているのが日本政府です。幾らお金を積んでも生産者がいなければ自給率の問題は解決しません。
自給率.jpg
海外から輸入すればいいやん!という浅はかな人もいますが、確かに現在の日本は対外純資産が豊富にありますが、いずれ資金が底をつき、外貨建て国債で資金調達をし続けると、財政破綻の危険も出てきます。外貨は国内で印刷することはできませんから。お金には価値がある、お金で何でも解決できるという思い込みが招く望まぬ末路かもしれません。

3.みんなでお金を貯めても意味がない。
昔(1960~1980年代)は、年始はスーパーや量販店は営業していませんでした。年始は休むものという世間全体の規範だったのかもしれません。早速貰ったお年玉で欲しいものを買いたくなっても開いているお店がありません。90年代以降は、年始のお年玉セールのように元日から営業するお店が増えたのは貨幣経済が発達したおかげでしょう。
先ほどの例で、いくらお年玉(お金)があっても営業しているお店がなければ、その段階ではお金に価値はないと言えます。価値を発揮するのはお店が営業を始める1週間後でしょう。
別の例で、将来に備えてしこたま預金を溜め込む老人がいたとします。しかし昨今の少子化が加速していくと、労働者が減り経済が縮小傾向になるかもしれません。次第にお金の流通も減り、必要なお金が一部に偏り、貧富の格差が拡大します。水の出入りのない溜池の水が徐々に澱んでいく様と一緒です。
みんながお金を貯めることだけに必死になって、「お店が営業を始める1週間後」がなければ永久に財は止まり続けるでしょう。そして財の価値は無くなるという結末に。
将来が不安なご時世、個人個人はお金を節約して必要最低限な支出に留め、合理的な生活をしますが、経済全体では「個々の需要が減ること」で景気の悪化を招きます。
ミクロの視点での合理的な行動がマクロ社会全体では不合理な事態を招くことを「合成の誤謬」といいます。
個人が貯めたお金が紙屑にならないように、誰かが不合理な行動を行こさなければなりません。それができるのは政府です。国家は家計とは違い、貨幣を発行する立場ですから。政府が率先して不合理なこと(不況時における積極的な財政政策)を行い、経済の血液と言えるお金を流通させ、供給能力が毀損されないようにしなければ日本には未来はないかもしれません。

今回の締め
解説の中身は、本文に書かれていないことを別の例で取り上げました。いずれにせよ、金の亡者にならないようにしなければなりません。
例えば鉛筆1本が100円だとすると、100円で販売するために
・鉛筆に使用する木材を伐採する人
・芯を作る人
・鉛筆を加工・製品に仕上げる人
・鉛筆をお店に届ける人
・鉛筆を販売する人
最低これだけの人が動いているということを忘れてはいけません。
100円払ったからいきなり鉛筆が発生したわけではないのですから。

最後の余談・・・
著者の過去本「お金の向こうに人がいる」という今回の紹介本を若干専門用語で解説した本もあります。
といいますか、現在の自民党の政治は本書とは逆で
「人の向こうに(汚い)お金がある」利権まみれの連中ばかりだと思いませんか?


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