【高校物理】エネルギーの原理を使いこなそう!

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 私は、高校物理で一番重要な関係はエネルギーの原理じゃないか、と思ってます。

「力学的エネルギー保存の法則」は知っていても、エネルギーの原理は知らないという人もケッコウいると思います。

解説しましょう。

「エネルギーの原理」は仕事とエネルギーの関係を示す式です。
「された仕事」=「運動エネルギーの変化」
です。

「された仕事の分だけ運動エネルギーが変化する」

これはメチャクチャ大切な関係なのでしっかり胸に刻んで欲しいところです。


エネルギーの原理にはいくつかバリエーションがあって
①された仕事の分だけ運動エネルギーが変化する

②仕事をする力が保存力だけのとき、位置エネルギーと運動エネルギーの和が保存される(力学的エネルギー保存の法則)

③保存力以外の力がした仕事の分だけ力学的エネルギーが変化する

高校物理では、力学的エネルギー保存の法則が強調されることが多く、エネルギーの原理はややマイナーなのですが、キチンと使いこなせるようになっておくべきでしょう。


練習問題を挙げて置きます。


(問)水平面と角度θをなす滑らかな斜面上にしずかに小球を置いて滑らせる。
水平面から高さhの位置に置いた。
斜面と滑らかに接続する水平面には摩擦があり、
小球と水平面のあいだの動摩擦係数をμとする。
小球は斜面を滑り降りたあと、水平面を距離x運動して静止した。
小球の質量をm、重力加速度をgとする。
xを求めよ。
エネルギーの原理.jpg
(解説)
多分、斜面を滑り降りたときの速さを求め、そこから等加速度運動の式で解く、という人が多いのではないかと思うのですが、
エネルギーの原理を使えばもっとカンタンです。

まず、この手の問題は働く力をすべて挙げるのが肝心です。

斜面上では、重力と垂直抗力
水平面上では、重力と垂直抗力と摩擦力

次は、今挙げた力を、仕事をする力と仕事をしない力に区別します。

斜面上では、重力は仕事をする、垂直抗力はしない
水平面上では、摩擦力が仕事をする、重力、垂直抗力はしない

摩擦力は保存力ではないので、力学的エネルギー保存の法則は使えない。よって、エネルギーの原理を用います。

「された仕事の分だけ運動エネルギーが変化する」を使うと
重力のした仕事mgh
摩擦力がした仕事-μNx=-μmgx
運動エネルギーの変化0
∴mgh-μmgx=0
∴x=h/μ

「保存力以外の力がした仕事の分だけ力学的エネルギーが変化する」を使うと
摩擦力がした仕事-μmgx
位置エネルギーの変化-mgh
運動エネルギーの変化0
∴-μmgx=-mgh
で同じ結果になります。

「エネルギーの原理」「力学的エネルギー保存の法則」を使うときの手順は
①力をすべて挙げる
②その力を仕事をする力としない力に区別する
③仕事をする力が保存力かどうか調べる
仕事をする力がすべて保存力だったら、力学的エネルギー保存の法則が使える

ちなみに、「保存力」とは、その力がする仕事が始点と終点の位置だけで決まり、経路に依存しない力、のことです。代表的な保存力は、重力(万有引力)、弾性力、クーロン力です。

エネルギーの原理は、仕事とエネルギーの関係を示します。
この関係があってこそ「仕事」「エネルギ-」という概念が意味を持つとも言えるでしょう。
また、力学的エネルギー保存の法則はエネルギーの原理の一形態です。

このようにエネルギーの原理はとても大切です。

エネルギーの原理を自在に使いこなせるようになっておきたいところです。
各自、問題集で経験を積んでください。

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プロフィール

高校物理・化学家庭教師
生徒合格実績
東京大学理Ⅲ、大阪市立大学医学部、近畿大学医学部、近畿大学薬学部など
学習参考書『高校物理発想法』出版
その他、Kindle書籍多数出版


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