言葉がいらなくなるとき

記事
コラム
seven_01_s.jpg

セブンイレブン、「お会計セルフレジ」導入

コンビニのレジで今もやめられないマルボロを2つ買った。
いつものように現金で払おうとしたら、「こちらで」と店員さんに指示された。見れば、いつの間にか「お会計セルフレジ」がカウンターに置かれている。カード利用の機械とばかり思っていた。

いよいよ地方のコンビニでも「セルフ会計」が始まった。
タッチパネルで支払方法の現金を選び、千円札を挿入口に入れる。おつりは出るが、キャシュ払いのお客さんはもう面倒くさい存在かもしれない。レジを待つ後ろのお客さんのイライラを背中で感じて焦って小銭を手で掴んだ。
そしてレシートを受け取り足早にドアに向かった。

そう言えば。
店に入って帰りの自動ドアが閉まるまで、何回くちを開いただろう。

「マルボロふたつください」
「はい、ありがとうございます」
「お金はこちらで」
「レシートです」

これだけしか会話が無い。

思えば、キャシュレスが始まってから口を開く回数が減った。「千円お預かりします」も「三百二十円のお返しです」も無くなった。それで支払いの時間も短縮された。現金に触れないからコロナ感染の心配も少しは減ったようだ。

でも「ほんとにいいのかな」と時代の流れに逆らう発想をしてしまう。

キャッシュレス社会が進んで、セルフレジが導入されて便利になった。買い物時間も短縮された。そしてコミュニケーションの回数も減った。コンビニだけじゃない。ユニクロでも機械にお金を自分で入れて、無造作に服を自分で袋に詰め込んでいる。

このままだと会話がなくなり、言葉がいらなくなり、口の筋肉が退化するのでは?そんなつまらない笑われそうな心配をしてしまう。

既に電話の会話が無言のメールに変わっている。
欲しいものはアマゾンで買うから、お客さんのおしゃべりが店の賑わいに繋がることも少なくなった。みんな黙々とスマホを相手に暮らしている。


「今日いちにち誰と何回話しただろうか」
そんな言葉の回数を数える時代かもしれない。
私が目指したのはこんな暮らしだったのか。

すずめの方がひとよりも長いおしゃべりを楽しんでいる。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す