同じ月を見ている

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コラム
夜中に目が覚めると、カーテンの隙間から月光が零れていた。
陽の光のような温かさではなく細光を伸ばす冷静な美しさだ。

魅かれて外に出れば音は無い。
あるとすれば軽い耳鳴りのようなシ~ンという冷気の張りつめた気配だ。

歳を重ねると月を見たくなる。
昼間の太陽は強すぎる。月のやわらかさに心が落ち着くようになる。

この月は何処で見ても変わらない。
黄色や赤色、色味は違っても住んでる街と故郷で見る月は同じだ。
世界中どこから見ても変わらない。
ビルの合間に見る月も、暗い裏山にかかる月も同じものだ。

この月はいつの時代も変わらない。
戦禍の夜に、月を見ながら家族を思い出す兵士もいただろう。
江戸時代に武士が縁側で月を盃に映していたかもしれない。
違う時代に違う場所から、それぞれの思いで同じ月を見ている。

そして今、私も同じ月を見ている。
そう思うと不思議な感覚が湧いてくる。
会うこともない人と繋がったような気になる。
亡くなった父も同じ月を見ていたかと思うと、懐かしさがこみ上げてくる。

時代も場所も超越して見えるもの
他のモノを想い描いたがすぐに思いつかない。


こんなことと笑われるかもしれない。
でも、こんな不思議な感覚が私は好きだ。
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