茄子と二宮金次郎と冷害

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コラム
台風崩れの低気圧のためか、
8月にしてはしのぎやすい日が続いていたと思ったのも束の間
またまた数日前から厳しい残暑が戻ってきてしまった。

暑い、暑い、そして、コロナはおさまる気配もなく、増え続けている。
非常事態宣言が出される地域もどんどん増えている。

8月27日から、緊急事態措置区域として茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県、沖縄県に加え、北海道、宮城県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県が追加され、実施期間は9月12日までの17日間となった。

そんな中で、会話の多くは
「いつになったら涼しくなるのだろう?」
「早く秋が来ないかな?」
などと、秋を待ち望む声になってしまう。

そうしたら、どこかから
「二宮尊徳さんに茄子を食べてもらいましょうよ。」
という声が上がった。

「え?二宮尊徳さん? あの壱円紙幣にのっていた二宮金次郎さん・・・?」

「そうよ、昔の人だったら知らない人はいないでしょう?
二宮金次郎さんのこと。
壱円札に写真がのっていただけではなくて、
国民学校や尋常小学校の修身の教科書には必ずのっていたのですから。
多分、今の小学校にあたる国民学校や尋常小学校の殆どに
二宮金次郎さんの石像とかモニュメントがたっていたのじゃないかしら?」

「そうなの・・・。
 でもなぜ、修身の教科書にのったの?」

「それはね。
貧しい家の家計を助けるため、
薪運びをしながらも、学び続けて、
大人になってからは、
農地を改良したりいろいろと世のため、人のために
役立つ仕事をしたからよ。
だから、二宮金次郎のように、
貧しくとも、寸暇を惜しんで勉学に励み
世のため、人のため、役に立つ人間になりなさいということで
修身の教科書に載るようになったんだと思うけど」

「なるほど。そうなんだ。
でも、なぜ、茄子を二宮金次郎さんに
食べてもらわなければいけないの?」

「ああ、それはね。
ある時、二宮金次郎さんが茄子を食べたのですって。
すると、時節はまだ夏の前なのに秋茄子の味がしたのですって。
金次郎さんは、即座にその年は冷害になることを予測して
村人たちに冷害に強いヒエを大量に植えさせたのですって。
金次郎さんが予測した通りその年は冷害となって、天保の大飢饉が発生してしまったのね。
でも、金次郎さんの村ではヒエの蓄えが十分にあったおかげで
餓死者が出なかったばかりか、
余分のヒエを周辺の村々にも分け与えることができたという
逸話があったからよ。
だから、茄子を金次郎さんに食べてもらって、秋茄子の味がするのかどうか、確かめてもらえば、涼しい秋がいつ頃来るのかが分かると思ったというわけ。」

「なるほど!ですね。
でも、今の茄子は品種改良されているし、
殆どの茄子はビニールハウスで栽培されているのでしょうから、
金次郎さんでも、味の違いが分からないかもしれないですね。」

「確かに。そう考えると私たちは
本当に自然とは遠く離れた所で生活しているのだということが
良く分かりますね。
自然に人工的な手がいろいろと加えられて、
豊かになり、美味しいものをたくさん収穫できるようになり、
季節を問わず、口にすることができるようになって、
良い面もたくさんあるけれど、
失ったものも多いような気もしますね。」

「どんなに豊かになっても、便利になっても
失いたくはないもの
それが何なのかをしっかり見据えて
だいじにしながら、生きていきたいですね。」

私たちがあまりにも自然から離れすぎてしまったこと、
もしかしたら、そのためにコロナが猛威を振るうようになったのかもしれない。そんな気がしてなりません。



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