一級建築士が語る!家づくりの流れからこだわりまでのポイント~番外編1~

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どうもこんにちは。一級建築士の日向端です。
今回は番外編を書きます。ちょっと備忘録的なところがありますが、ご容赦を。
サムネの通り、ジムで鍛えるとき懸垂ってしますよね。ぶら下がり健康器と言われた器具が家にあれば、背筋を伸ばすだけでも気持ちが良くなりそうです。

ただ、ぶら下がり健康器だと5,000円程度で安くはなるけど、置き場所に困る。かといって、市販の懸垂バーを買おうとすると、20,000円は最低でもかかるから、もっと安く簡単にできないかなぁと思って、DIYを思いつきました。

実際、家を建てた後に、懸垂バーを取り付けたいんだけど、大丈夫かな?という相談を受けたこともあり、職人気質の感覚でこんだけやれば大丈夫だろうというのも良いけど、ちゃんと本気で計算してみて数値を出してみようと思いました。

※ただ、今回の計算はあくまでいろいろな資料を元に算出した物ですので。責任は負いませんので、あしからず。

梁下に取り付けるとして、シンプルなバーの形を考える。
a.jpg
イメージはこんな感じですね。

どこを計算すればよいかと言えば、持ち手のバーの部分と取り付ける梁と金具の部分だから、そこの2つを計算。

まずは、バーの部分。
22.jpg
ホームセンターを見ると、良さそうな材料があった。
ba.jpg
オールステンレスのバーで長さ900、Φ32カインズだと1,480円。ジョイフル本田で1,980円だったので、カインズの物をチョイス。

材料の条件は、
バーの外径 D=32mm
バーの肉厚 t=1.1mm → バーの内径(空洞部分)29.8mm
長さが L=900mm
ステンレスの曲げ許容応力度 σ=79.1kN/cm2

ここから、
材の断面積 A=1.1cm2
断面二次モーメント I=1.3cm4
断面二次半径 i=1.1cm
断面係数 Z=0.8cm3
が導き出される。

したがって、バーの真ん中にぶら下がった状態(集中荷重)を考えた曲げモーメントはM=PL/4、曲げ応力度σ’=M/Zの2式から、バーが曲がらない許容荷重はP=4Zσ’/Lとなるから、

P=4*0.8*79.1÷900÷10=2.8kNとなる。
2.8kN=286kgだから、中肉中背の平均的な大人一人だったら、全然余裕ということが分かった。

次に、梁と金具の部分。
aaaa.jpg
受け金具は、これ。
タイトルなし.jpg
カインズ製のステンレスパイプ用ブラケット。1個378円。表面が鏡面仕上げっぽい感じでちゃっちいけど、安さを優先する。ちなみにジョイフル本田だとヘアライン仕上げで1個980円近くしていた。

JISに適合する木ねじについては,日本建築学会が引抜耐力を求める計算式をし示しているとのことなので、それを参考とした。
タイトルなし22.jpg
木ねじの条件を
呼び径 d=3mm
有効打ち込み長 Lr=40mm
木材の基準比重 r0=0.32(すぎに木ねじを打つと想定)
期間は長期間の1.1
室内使用として、通常の使用環境1.0
より、

Pa=303Nとなる。kgに換算すると31kg。
つまり、木ねじ1本だと31kgまでしか耐えられないが、片方4本付くので、124kg×2(両端)=248kgだから、これも大人一人なら余裕だ。

提示した条件だと、バーの許容荷重と木ねじの許容荷重から248kgは耐えられると判断できる。これは数値計算上の話なので、実状(木の状態、精度)を考慮して、安全率1.2とみると、206kgまでが限界とみるのが良い。

木ねじをもっと呼び径や打ち込み長さを大きい物に変えれば、バーの許容荷重の280kg近くまで耐えられることになるけど、まぁそんなに吊さないよね。

本当は受け金具の部分も計算したいところだけど、どうやって出せば良いか皆目見当がつかないので、受け金具の部分はまた今度にしようと思う。

いずれにしても、合計金額3,000円もかからずに自宅で懸垂バーができると考えたら結構良いのではないだろうか。

で、実際に我が家で付けた自作の懸垂バーはこちら。
aaa.jpg
使い勝手はもちろん、がっちりしていてなかなか良い。

(工事費内訳)
材料費 ステンレスバー 1,480円
受け金具 378円×2個 756円
木ねじ8本 家にあった余り物 呼び径3.8 L=51mm
インパクトレンタル 500円
合計2,736円





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