色無地

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美容・ファッション
柄を入れないで、黒または白以外の一色で染めた着物の事です。比較的順位の高い着物で、礼装として略式の結婚式に着用することもできますし、帯を
変えれば、気軽な食事などにも着ることができるようになる、グレーや茶色など暗い色は略喪服として弔事にも使えるという、着用範囲の広い着物です。
茶道や邦楽(箏など)を習っている人は、楽器や器に敬意を示すため、色無地の着用が、義務付けられる社中もあるでしょう。そういうわけで、可愛いとかおしゃれという要素には少し欠けますが、意外に使い道はある着物です。
さて、その色無地ですが、柄がないので何も考えずに買ってしまえばいいのか、と思われてしまう人も多いと思います。しかし、いくつか注意点がありまして、これを守らないと、大変な場違いになってしまうという事例もありますので、一寸注意しなければなりません。
第一の注意点は、地紋です。着物には、地紋と呼ばれる、織ったときに生じてくる柄があるものもある。其れが光るのは紋意匠と言いますね。これは、色無地にも生じてきます。この地紋が、松や桐紋などおめでたい柄をしていたら、慶事しか着用できない色無地になります。弔事と兼用したいと思っているのであれば、地紋のないものを選びましょう。
地紋の入り方にも注意が必要です。着物全体に細かくびっしりと地紋があるものは、格の高い色無地になりますし、隙間を開けて大きな地紋を入れてあるものは、比較的カジュアルになります。また、今はなかなか生産されなくなりましたが、地紋を訪問着のように配置した色無地もありました。運よく出会えたらラッキーという感じの確率ですが、これに関しては、又詳述します。
その次に気を付けなければならないのは素材です。色無地は柄がないので素材そのもので勝負しなければなりません。正絹なら正絹、紬なら紬、ポリエステルならポリエステルの素材感が一番よく出る着物なので、そこを注意する必要があります。礼装として着るのであれば、よほど悪天候でない限り化繊の色無地を着用するのはちょっと失礼ではないか、と思われますよね。別に、化繊の事を否定するわけではないんですけど、まだ着物として認めない人は、意外に多いものです。
最後の注意点は、対象年齢。例えば若い人が、地味な色の色無地を着てしまうのは、何とも不自然になってしまいます。まあ、地味なものが好きというなら別ですが、若い時はやっぱり赤とか、黄色とか、そういう華やかな色を着た方が良いのではないでしょうか。実は、対象年齢と見分けるのは、意外に簡単で、袖の丸みが大きな元禄袖であれば、若い人用。角ばった袂袖であれば、年配者用と決まっております。大体派手な着物は元禄袖をしていることが多いですので、若い人の着物というのは理にかなっていますね。
そんなわけで、よく色無地は便利だとか、万能だとか、そういう事を書いてあるサイトは多いですけど、この三つに注意して選ばなければならないことを考えると、一枚で全部の用事には使えるわけではないということは、お分かりになりましたでしょうか?
現在は、リサイクル着物がこれだけ普及している時代です。色無地も気軽に
買えるいい時代になりましたので、一枚で何とかしようと思わずに、複数枚もっていてもいいなと思ってください。
さて、色無地のあわせる帯ですが、礼装とか、お稽古事など格が高いものが要求される場所では、袋帯の金銀色入りの派手なものが良いでしょう。着物が地味なので、帯は派手にする。これはもう鉄則ですね。
カジュアルにしたい場合は名古屋帯や、袋名古屋帯などが適しています。半幅帯を締めてしまう人もたまにいますが、一寸カジュアルすぎるかなという印象があります。
色無地は、未婚者既婚者着ることができますが、私の概念だと、未婚者はあまり使えないかなという印象です。なぜかというと、未婚者であれば、振袖という選択肢があるので、例えば展示会やコンサートなど改まった外出をする場合、振袖を着用する方が若い人でも自然だからです。もちろん、お箏教室などで、色無地を着なければならないという場合は別ですが、それ以外であれば、無理して色無地を着る必要もないなと思うのです。未婚者が着るとしたら、いわゆるオールドミスと言われるような、そういう女性が着るのかな、と呉服屋さんでも言われた事がありました。
とにかくですね、確かに実用的ではありますが、いろんな意味で難しい色無地は、一寸気軽にほいほいと着られる着物じゃないなあという印象が強いと思います。
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桐紋を隙間なくびっしり入れた、杏子色と呼ばれる色無地。素材は正絹で、礼装としても結構使える着物です。ただ、桐紋なので、慶事のみに着用できます。
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こちらは、比較的カジュアルな色無地で、雲や梅を用いた地紋が、ところどころ隙間を開けて入っています。式典などでなく、気軽な外出におすすめの色無地です。

まとめ
・柄を入れないで黒か白以外の一色で染めた着物の事。
・簡単そうであるが、地紋、素材、対象年齢など、注意すべきところは意外に
多く、実は難しい着物である。
・礼装として式典に使ってもよし、帯次第で気軽な外出にも使えるが、一枚でなんでも通せるとはいいがたい。
・若い人が、色無地を使ってしまうと、一寸変というか、不自然な印象がないわけでもないので、注意する必要はある。

色無地の事が少しお分かりになっていただけましたでしょうか。もし、ほかになにか疑問質問などありましたら、こちらのサービスまで連絡をください。
たとえば、この色無地は何に使えるの?とか、写真を送ってくだされば、鑑定します。
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