「いってらっしゃい」のパワー

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「はじめまして」英語でいうと「Nice to meet to you」。
英語だと親しみがあるのだが、日本語だと少し緊張が入っているように思える。
日本語は「こんにちは」の方が使いやすいようだ。
「こんにちは」の挨拶は親近感があり、初めて会う人にもすんなりと受け入れられる。
知っている人には勿論、見知らぬ人に対しても距離感をぐっと縮めるフレンドリーな言葉だ。
では、「いってらっしゃい」はどうだろう。
知ってる間柄でないと使わないのではないだろうか、
職場でも同僚同士で声かけするが、一番使われるのは家族であろう、
私もよく、娘を学校に送り出すときいったものだ
「いってらっしゃい」
そして返ってくる「いってきまーす」という健やかな声。
何事にも代えがたい幸せなひと時を与えてくれる。
或る時、友人と電話で話しをしていた。娘の「いってきま~す」という声が聞こえたらしく、「え?この夜中にミンナちゃん 何処にいくの?」と驚かれたことがあった。
私は言った「お風呂に入るの」・・・
そう、知的障害の娘はお風呂に行くときも「いってきま~す」と大きな声で私に声をかけるのが我が家の習わしであった。
私は友人が驚いたとき、他の家庭では風呂場行く為の「いってきます」「いってらっしゃい」は言わないという事実を初めて知った・・
二人だけの家族だから尚のこと。私はこのやりとりを大事にかみしめている。
さて、先日の朝8時頃だっただろうか、私はJRの大きな駅でエレベーターを待っていた。
ぎっくり腰をした後で、3階から1階に下がるのに「エレベーター様」のお世話になろうとしたのである。
エレベーターが下からゆっくり上がってくると車イスの若い女性見えたので私は素早く身を右に寄せ、閉まらぬようボタンを押した。
「すいません!ありがとうございます!」と元気な声が返ってきた。
彼女は車イスを両手で押して去ろうとしていたのだ
その時不思議なことに私の口から言葉が出ていた。
「いってらっしゃい」
彼女に自分の娘を重ね、愛おしく感じたのだろうか
それもあるかるかも知れない。
それとも若さが眩しくて嬉しくなったのだろうか、
それもそうかも知れない。
私は、自分も彼女も同じ人として、前を向いていこうとする人としての連帯感を覚えたのかもしれない。
この人見知りも私が・・まさか・・そんな言葉がでるとは思いもよらなかった。
誰も見ていない事で恥ずかしさより「勇気」が勝ったのかも知れない。
すると驚いたことに彼女がこう返してきた。
「いってきます」
家族でもない人と、私は同じ空気を吸った瞬間だった。
「いってらっしゃい」この言葉、以外にパワフルだと気付いた
そしてもう一つは、私はきっと多くの人に言いたい自分が居ることを。


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