シャレにならない…人生100年時代の退職後の生活費計画

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1.はじめに

人生100年時代と言われる昨今、退職後の生活費をどう確保するかは誰もが避けて通れない大きな課題です。
定年退職後、収入が大幅に減少するにもかかわらず、同程度の生活水準を維持したい、あるいは思い描く老後のライフスタイルを実現したいと願うのは自然なことでしょう。しかし、公的年金だけでは足りず、様々な準備が求められます。
退職後の生活費を計画的に準備しないと、老後に経済的な不安を抱えることになりかねません。生活費を賄えるだけの十分な資金が用意できていなければ、生活水準を下げざるを得ません。一方で、潤沢な生活費を確保できれば、人生の晩年を心身ともに健やかに過ごせるはずです。
このように、退職後の生活費の確保は、誰もが避けて通れない課題であり、早期からの準備が重要となります。本記事では、退職後の生活費の計画の立て方や、資金確保の具体的な方法などについて解説していきます。


2. 退職後の収入源

退職後の生活費を賄うための収入源は、主に以下の3つが挙げられます。

(1)公的年金
国が責任を持って支給する年金制度です。主なものとして老齢基礎年金と厚生年金があります。
老齢基礎年金は、日本国内に住む20歳以上の全ての人が対象で、一定の加入期間と条件を満たせば受給できます。支給開始年齢は原則65歳で、満額の年金を受け取るには40年間の加入が必要です。
厚生年金は、会社員やその家族が対象で、給与に応じた掛金を納めます。老後の生活費の一部を補うのが目的で、加入期間と報酬に応じて年金額が変わります。

(2)企業年金
勤務先の企業独自の年金制度です。退職一時金とは別に、毎月一定額の年金が支給されるのが一般的です。金額は会社や勤続年数などで異なります。

(3)個人年金
個人で民間の金融機関と契約して掛金を払い込み、受取方法を設計する年金です。確定拠出年金なども含まれます。長期の運用によって老後の生活費を賄えるよう準備します。
その他、預貯金の利息や、投資信託、株式、不動産など資産運用による収益も収入源として活用できます。分散投資による安定的な運用益の確保が重要です。
以上のように、退職後の収入源は複数あり、早期からの計画と準備が必要不可欠です。老後のライフプランに応じて、収入源の組み合わせを検討しましょう。


3. 毎月の生活費の見積もり

退職後の生活費を確保するためには、まず毎月の生活費をできるだけ正確に見積もる必要があります。

■住居費
住宅ローンの完済や賃貸への転居など、退職後の住まいの状況を踏まえて住居費を算出します。マンション管理費や修繕積立金なども忘れずに含めましょう。

■光熱費・通信費
電気、ガス、水道などの光熱費と、固定電話や携帯電話、インターネットなどの通信費を計上します。節約の観点から、省エネ対策や通信サービスの見直しも検討する必要があります。

■食費
単身世帯か複数人世帯かで金額は変わりますが、食費は毎月の生活費の中で大きな比重を占めます。外食の頻度なども考慮する必要があります。

■被服費・日用品費
衣服の購入費や、日用品、雑貨などの生活用品の買い換え費用を織り込みます。

■医療費
健康診断や薬の購入、通院による医療費は、加齢とともに徐々に増えていく可能性があります。介護サービスを利用する場合の費用も試算しておきましょう。

■交通費
外出の際の交通費は、自家用車を持つかどうかで大きく変わってきます。ガソリン代や駐車場代なども計上が必要です。

■娯楽費・旅行費
退職後はゆとりができるため、趣味の活動費や旅行費など、余暇を楽しむための費用を考慮に入れましょう。
このように、食費や光熱費など生活する上で必須の費用はもちろん、医療費や娯楽費など、幅広い費目について賢明に見積もることが大切です。過小評価してしまうと、老後に生活費が足りなくなる可能性があります。



4. 老後資金の計算と準備

3で見積もった毎月の生活費をベースに、退職後に必要となる老後資金の総額を算出し、その確保に向けた具体的な準備をする必要があります。

■必要最低限の老後資金の算出
まずは最低限の老後資金を計算します。毎月の生活費に自身の平均余命(晩年に至るまでの年数)を掛けた金額が目安になります。例えば、毎月20万円の生活費で平均余命が25年とすると、20万円×12か月×25年=6,000万円が最低限必要な老後資金となります。
しかし、この金額はあくまで最低ラインです。本人の希望するライフスタイルを実現するために、余裕を持った資金を準備することが賢明でしょう。旅行に行きたい、趣味の活動を思う存分したいなど、より快適な老後生活を送るためにはさらなる資金が必要になってきます。

■不足分の確保方法
このように算出した必要資金と、現在の収入源から得られる年金などを比較し、不足分があれば追加で資金を用意する必要があります。
確保方法の主なものとしては、投資による運用があげられます。退職前から、確定拠出年金や投資信託、株式、債券など様々な金融商品で資産形成を図り、複数の柱を作ることがポイントです。リスクを広く分散させ、安定的かつ効率的な運用を心がけましょう。
また、不動産の売却や個人年金の一部受取りなど、保有する資産の有効活用も検討するべきです。生前贈与で子供への資産移転を進めることで、相続時の税負担を軽減する策もあります。

■長寿リスクへの対応
人生100年時代を見据えれば、90歳、100歳を超えて生きる可能性も無視できません。長寿化によって老後資金が底をつく「長寿リスク」も考慮に入れる必要があります。終身年金の利用や、運用期間の長期化などの対策が必要になってくるでしょう。
このように、希望する老後生活のため、必要な資金をしっかりと確保する準備を、早期から着実に進めていく必要があります。


5. 生活スタイルの見直し

老後資金を確保するためには、生活スタイルの見直しも欠かせません。無駄な出費を削減し、シンプルな生活に切り替えることで、節約につながります。

■ミニマルな生活への転換
まずは、モノを減らし、シンプルな生活を心がける必要があります。不要な物を手放すことで、生活コストを抑えられます。大掛かりな住宅から手頃な規模の住まいに移るのも一つの選択肢です。

また、車の乗り換えや通信サービスの見直しなども検討しましょう。ガソリン代や車検費用がかさむ大型車から、小型で経済的な車種に切り替えるだけでも、ランニングコストが大幅に下がります。携帯電話やインターネットなどの通信費も、必要最小限のサービスに絞り込むことで、毎月の出費が減ります。

■無駄な出費の削減
日々の生活の中で、無駄な出費をしていないかもチェックが必要です。食費では、外食の削減や、まとめ買いにすることで合理化ができます。旬の食材を使うなど、食材の工夫次第でも節約が可能です。
その他、家電製品の賢明な選択、書籍の図書館利用、クーポンやセールの活用など、様々な工夫があります。出費の1つ1つをミニマム化することで、かなりの節約効果が期待できます。
■健康的な生活習慣の実践
また、医療費の抑制に向けて、健康的な生活習慣を実践することも重要です。適度な運動や食生活の改善は、生活習慣病の予防にもつながります。定期的な健康診断を受け、早期発見・早期治療に努めることで、将来的な大きな出費を防げる可能性があります。
このように、生活の質を下げずに賢明な節約を実践することで、老後の生活費負担を軽くすることができます。ライフスタイル自体を少しずつ見直し、無駄をなくしていくことが何より大切です。


6. まとめ

退職後の生活費を確保するためには、早期からの計画と着実な準備が必須です。
まずは退職後の収入源としての公的年金、企業年金、個人年金などを確認し、毎月の生活費を正確に見積もります。その上で、必要最低限の老後資金を算出します。この金額に余裕を持たせ、旅行や趣味の活動費なども加えて、目標とする老後資金を設定しましょう。
次に、その資金の確保方法を検討します。不足分については、投資による運用や資産の有効活用など、様々な手段を組み合わせる必要があります。長寿化への対応として、終身年金の利用や長期運用なども視野に入れましょう。
並行して、生活スタイルの見直しにも取り組みます。無駄な出費を避け、ミニマルな生活に切り替えることで節約につながります。健康的な習慣も大切で、将来的な医療費の抑制に役立ちます。

このように、収入の確保と同時に、出費を賢明にコントロールすることが重要です。お金に余裕がなければ、心の余裕もなくなりがちです。
経済的に豊かな老後を送れるかどうかは、現在のキャリアに大きく依存します。今の仕事を見直し、キャリアパスを真剣に検討する必要があります。将来の収入水準は老後資金に直結するため、自分のキャリアがどのように展望できるかを冷静に見極める必要があるのです。

理想の老後生活を実現するには、若いうちから着実な行動が不可欠です。現在のキャリア選択が長期的な視野に立って適切かどうかを判断し、必要に応じてキャリアの方向修正を図ることが大切になります。今こそが、将来の老後資金を確保するための絶好の機会なのです。
単に退職後の生活費の確保にとどまらず、今のキャリアが自分の描く老後にふさわしいものかを吟味し、必要であればキャリアの舵を切り直すことが重要です。経済的にゆとりのある老後を過ごせるかどうかは、現在の賢明なキャリア選択にかかっているのです。
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