不安障害の診断を受けた話

記事
コラム
 私は今現在、仕事を休んでいる。
 所謂休職というものだ。理由が職場での人間関係トラブルな為、妥当な判断だと思う。
 仕事に行けなくなったのが二週間程前。もし今後休職するなら診断書が必要、と上司に言われた為、私は予約が取れた心療内科に出向くことにした。

 実は学生時代にも、一度だけ別の心療内科に出向いたことがある。
 当時はかなり適当に症状を話してしまった記憶がある。その為、特に病状に名前は付けられず、気持ちが安定する薬を渡されて診察が終了した。
 この数年後に気づいたのだが、私は自己分析が苦手だ。
 それは就職活動で面接時に使うようなペラペラな自己評価のことではなく、自分のストレスに対する耐性や、自分に起こっている吐き気や動悸、呼吸困難症状がどれくらい社会的に問題なのかの判断を付けることが出来ない。自分の症状は甘えなのではないだろうかと自分で考えては、自己完結してしまう。
 学生時代は特にその問題が根強かったので、医者にも自分の症状がどれ程しんどいかをアピールすることは出来なかった。その時の時間や金銭のことを思えば非常に悔やまれるが、引っ越した為、もうその病院に世話になることはない。

 閑話休題、今回ははっきりと自分の症状を伝えたることが出来た。最近の症状を思い出しながら、時には当時のメモなどを見ながら慎重に説明する。お陰で医者も診断がしやすかっただろう。

「パニック障害ですね」

 そう言われた時、「そうなんですか」と初めて知ったみたいなリアクションをしたが、実際は「だろうな」という感想だった。
 医者に、あなたは病気ですと言われると、何だか心根で安心している自分がいた。自分は弱っていると第三者に教えて貰えば、少しは社会に凭れ掛かる時に気が楽だ。

「資料には百人に一人と書いていますが、実際は十人に一人がパニック障害を抱えています」

 医者が資料を見せながら説明を始めた。十人に一人もいるなら、この病院に行くまでにすれ違った人の中にもいるのかもしれないな、とぼんやり思いながら話を聞いていた。
 薬渡しますね、と言いながら医者が突然引き出しを開け、錠剤を取り出した。え、と思いながらその薬をまじまじと眺めていると、

「僕も飲んでいる薬なんです」

 そう言って目を細めていた。マスク越しに少し笑っているようだった。大変だと思いながら、しかし目の前に同じ症状を持つ人間が現れたことで、何だか言葉にしがたい親近感を湧かせていた。
 心療内科で診断書を貰い、上司に電話で診断内容を説明する。二言返事で二か月の休職は受け入れられた。

「仕事から一度離れて、ゆっくり別のこと考えなさいな」

 休職後にこの会社に戻ってくる保証もない平社員にも、優しい言葉をかけなければならないなんて難儀だと思いながら、わかりましたと返事をした。渡さなければならない書類はまた後日用意してくれるらしい。
 電話を切った後、街を歩きながら今後のことを考える。仕事を続けるか新しい職を探すかは今後の課題として、目の前の金銭面が気がかりだ。
 今の会社は給料が決していいというわけでもない。傷病手当金は給料の三分の二とあらかじめ説明は受けていたが、そのお金でやりくりをする必要はある。 
 今のご時世、貯金もままならないと思い憂鬱だ。心なしか動悸もしてきたので考えるのを辞める。
 好きな事しながら考えれるような生活は、少し先になりそう。
 とりあえず、休職中にやったことや考えたことはここに時々記録していこうと思う。日記として記しておこう。
 小説もいくつか載せていきたい。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す