舞台 「モノノ怪 座敷童子」   感想

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舞台「モノノ怪 座敷童子」
3月31日 16:30開演 公演の感想になります。

【あらすじ】

雨の中、面妖な出で立ちの薬売りが宿を一晩、願い出たのが万屋という宿屋。番頭の徳次は少し不手際なようで、女将の久代と世間話して薬を紹介していた、薬売り…
その時、身重の女が宿を一晩と入ってきた。
しかし、薬売りで満室となった為追い出そうとする徳次。身重の女、志乃は、「追われている。外で一晩過ごすことになれば、明日には私とややこの骸が店先にある。その方が、ご迷惑になるのでは!」と強くでる。
しぶしぶ女将は女中のヤス、フジ、モト、徳次に ”あの部屋” へ案内するとい、女将は志乃を連れていった。案内中、志乃は廊下や部屋を走り回り、元気そうな子供たちの声を聴く。

”あの部屋” と聞き、動揺しざわついた女中と徳次に薬売りは尋ねる
「 あの部屋 とは」
しかし誰も詳しくは話さず、物置部屋で客を通せる場所ではないという。

そして夜ー
志乃を狙った刺客が襲おうとしたとき、なにかに阻まれた。音が止まると、人の仕業とは思えない姿で、刺客の死体が天井に埋まっていた。
志乃の叫ぶ声を聴き、薬売り、久代、徳次が ”あの部屋” へ訪れる。
不気味な退魔剣を持つ薬売りは言う
「この宿には なにかがいる」

形とは姿、真とは事のありさま、理とは心のありさま。
形(かたち)・真(まこと)・理(ことわり)を見つけモノノ怪を斬ると話す薬売り。何かを隠している久代、徳次、志乃。この宿には、なにがいるのかー


不気味で奇妙、でも目が離せない鮮やかさに魅せれる、悲しく愛おしい物語。







以下ネタバレを含む感想になります。


【感想】


・ストーリー、演技、音楽、舞台装置など、全体を通して最高です。
・オープニング的な、人物紹介みたいなのが、めっちゃかっこいい。音楽・映像の相性最高。演者さんもキャラのこういう人かなという雰囲気が伝わるし、女中の方の中には、話に関わる所作をする方もいて、わくわくを掻き立てられる。
・アニメでストーリーは知っていたのですが、久代、徳次をメインに万屋、座敷童子について掘り下げられていて見ごたえがありました。
・アニメ独特な雰囲気の不気味さや奇妙な感じのホラー要素、色のあでやかさが残りつつ、生身の人間の演技と合わさり時代のリアル感が体験できる。モノノ怪の世界がより身近に感じることができました。
・今回前が通路として使われる、座席の中心部付近での鑑賞でした。
・妊娠・出産について今の生き方に繋がる部分がたくさんありました。
・観劇後、どうすればよかった。何が正しかった?って何度もぐるぐる考えて、でも答えは出なくてどの意見も納得するし、理解できるから、出産の選択の難しさをダイレクトに浴びた感じでした。
・女性の体特有のもの(遊郭・月経・出産・妊娠・母体)で、自分に起こったことなら、自身の意思を貫くけれども、他の人に対しては自身の意思のぐらつきと無責任さを痛感しました。

演出

・客席へ降りてこられることもあり、初っ端目の前に来て歌うたってるのみれて、この瞬間から世界観に引き込まれた。
・薬売りさんが客席後方から通路通って舞台上へあがられるのをみて、前作の「化け猫」のとき、横通られたときの息が止まるような感覚を思い出してきて、ぐっときた。
・アニメの独特の雰囲気も取り入れられてて嬉しかった。名もない人達は映像で顔には白塗り面に花が咲いてる感じで映る。志乃と薬売りが話す言葉で「ぐる、ぐる、ぐる」のとき、背景の絵がセリフに合わせ回るのとか好き!ってなった。
・襖が閉まる映像を実際キャスターのついた板のようなものにに映し出して、開閉できたり、壁部分が回転すると階段になってる。大小、高さばらばらの映像映せる板(台)から演者が出てきたり、隠れたりする。色の違いで過去と今が別れてたり、動いてた映像が急に止まったりと、場面切り替えが楽しかった。
・色、背景、音で不気味な雰囲気を出してて、これぞモノノ怪!!!ってなった。
・母と座敷童子の色を同じにしたり、母と子の繋がりを赤い布にしたり、視覚的にわかりやすくて、理解しやすかったです。

キャスト・キャラクターについて

薬売りさん
・アニメより男の人だって感じる。良し悪しではなく、力強さや声がそう思わせる。なのに佇まい、所作は男性って感じはなく、優美な感じ。モノノ怪が関わってきたら、力強さが出てくるから、男の人の印象が強いのかも。
・とてもインパクトがあるのに、透けてる?ってイメージがある。儚いわけではなく、印象がないでもなく、生きてる感がない。生を感じないような感覚。
印象が薄いとか空気とかではなく、存在感はあるのに近づかれないと、または話さないと気づかない。でも、一回視界に入ると目が離せない感じが没入感をより強めてる気がする。
・前作「化け猫」のときの客席後方から歩いて近づいてるはずなのに、全く気づかず、横通って視界に入ってはじめて釘付けになる感じが、今作でも感じた。
・徳次が布団運んで、薬売りお手洗い案内し一緒にはけて、次出てくると布団薬売りが持ってて、徳次歩いてどっか行ってるの面白かったし、背筋ぴん!として薬売りの雰囲気崩さず布団だけ持ってんのかわいかった。
・「なにかある」って言うとき、少し声が弾むというか喜んでる感じがして、表情も少しにやっとしてそうなのが薬売りだわ〜って思った。
・パンフレットで印象に残ってるシーンで好んでる相手でも「相容れぬ」ことがあるって書いてあって、(そのシーンが、志乃が座敷童子も一緒に産むって言ってる時に言うんだが)モノノ怪のことは好んでるかはわからんが、悪とは思ってなさそうで、たがらこその「相容れぬ」何だろうなぁと言葉選びがいいなと思った。

久代
・口上の「隅から隅までずずいっと〜」を久代メインで番台とやってて、そのときの久代の声が迫力あり引きつける感じで、あぁ!はじまる!!って、気持ちがぐわっとあがった。
・久代は、アニメのあの声を思い起こすしそれに加えて、真の太さ、圧なんかももっと加わって魅力的でした。
・座敷童子が滅されたあと徳次と久代が見えた時、久代が徳次を守っているような体制なのよかったし、久代が口ではいろいろ言いつつ徳次を大事にしてるのが所作からわかってぐったきた。
・久代の「産みたい想いだけで産んでも苦労するだけだよ」のセリフ、自分もそうだったからって劇中でも言ってたし、他の女郎に対してもただおろせではなく、女郎のことを考えての言葉みたいなとこがある気がしました。

若い久代
・美しい。美で圧倒じゃないけど、美しいからこその怖さ圧があってめっちゃかっこよくて好き。
・「人助けだよ」って他の遊女の子をおろしてたり、そのやり方を徳次に教えたりというアニメのところはもちろんあったけど、生身の人間がやるとアニメの平然とやってる感じではなかった。「子がいたら生きてけない、働けない、飯が食えない」と言い訳を並べながら「おろすしか方法がない、仕方ない」みたいな部分を見れた気がして気持ちの揺れる部分を感じれた。
・イチをおろす時、悲しくて悔しくて、でも自分で行っているのが女将らしくて、いい演出だと思いました。
・おろせないとこまで成長させて産むと考える強かさも女将らしくて好き。

徳次
・へいへい!っていうの何回も一回って直されてて最後、朝を迎えて朝餉の準備だよ!と女将がいったときへい!って一回だけのあいさつになってんのなんか成長を感じて、俺ダメだからさーみたいに言ってたけどそうじゃないよ!学んで変われてるよ!っていうのを感じれてよかった。
・久代が母とは、気づいてないが、姉さんたちのおかげで生きていけてるという認識がありそうだしそれで幸せとも思ってそうなので、親がいなくてもいいかもなと志乃に言えたのかなぁと思った。

若い徳次
・かわいい。
・何もわからん。何もできんと自覚しながら、世話になってる姉さん(若久代)を慕っていて、姉さんのために頑張っている。
・若い徳次も子どもで刷り込みされながら生きてきてて(刷り込み内容は、おろすのは人助け、いいこと。橋の下の子、親のいない自分は、ここでしか生きていけない。言われた事も忘れたりする「俺こんなんだからさぁ」)姉さんに言われたことは正しい的な。
・今日は満席、締めましたの手の動き、若い時は左から右、右から左でとまって上から下ができてなかったけど、大人になって上から下の部分までしっかりできるようになってるのをたぶん、オープニングでやってて(他の場面でしてたのかも…)ナイス演出!!ってなった。
・若い久代、若い徳次の組み合わせが好き。普通に趣味。

志乃
・アニメのあの声を彷彿とさせながら、優しさ、思いの強さを出す声、演技でめっちゃいい。
・子供、座敷童子に対しての声がどれも優しくて、暖かさを感じました。
・モノノ怪特有の「ぐる、ぐる、ぐる」みたいに区切って、場面も一緒に回るのを舞台でも、背景の絵がぐるぐる動くので再現してて、モノノ怪!!⤴️⤴️⤴️ってなったし、その「ぐるぐる」の言い方が、違和感はないのに異様さを感じる話し方でモノノ怪⤴️⤴️⤴️ってなった。
・志乃の夢(過去シーン)では無機質な若旦那、拒みながらもだんだん柔らかい声になる志乃に心の変化を感じた。
・お腹の子を守るってのを一貫してるの強くて本当にすごい。
・客室に向かうのに、客席通路通ってのときふらふらした足取りで向かってて、しんどそうというのがめっちゃ伝わってきた。
・最後演者さん横並びで、薬売りさんが少し挨拶し、千秋楽の徳次さんが挨拶したあと、ちいさく拍手してたのかわいかった。

座敷童子たち(フク・ボボ・ステ・トメ吉・イチ)
・ステ、個人的に一番、座敷童子の子どもながらの不気味さと無邪気さ、純粋さ辛さがあって好き。
・座敷童子のみんなめっちゃいい。それぞれキャラがしっかりあるし、生まれた子、生まれていく子と自分たちの違いが幼いながらにわかってるのが伝わって辛かった。
・座敷童子は各キャラしっかり設定があって涙なしにはみられん。
・名前もあだ名でも、親がつけたものを使ってるのが辛い。それほども少しでも呼ばれた名が大事なんだと思うともっと悲しい。
・「イチはダメで徳次はいいって何で…!?ずるい、わかんない、なんで。」って感じが一番長くいる座敷童子で他の子と比べると大人っぽいのに、本質のこの人に産んで欲しかったっていうのが一番伝わって苦しかった。
・徳次に対して、ずるいがあるけどそれでも好きがあってその伝え方が子どもだと実感する。わがままで感情があやふやででも本質はしっかり子どもだなぁと感じさせられて号泣。
・遊んでるとき母の近くうろちょろしたり、舞台装置動かすときも遊びの延長って感じでみててかわいいがあふれる。
・座敷童子が、志乃から産まれるのに上から出て来た赤い布に手を届かそうと伸ばすけど、志乃とフクの話を聞きながらだんだん手が下がっていくの見て辛すぎた。座敷童子みんなええ子いらん殺しはしてないし。

女中の皆さん(ヤス・フジ・モト)
・元遊郭のみなさんも今はしっかり、女中として働いててちょっとほっとした。
・子をおろす時、仕方ないと思わないとやってけないというのをひしひしと感じたし、時代的に立場的にどうしようもなかったのかなとか、大人の考えもわかってしまうから、おろす方もつらかったろうなぁと。
・ステの母(多分)は子供を下ろしたことを、忘れてると言ってたけど、忘れないと生きていけなかったんじゃないかな…。それほど、産みたかったし、おろしたことを悔やみ悲しんだんじゃなかろうか。
・拝みにきたり、ごめんねと謝るときの声が優しくて愛おしいものを呼んでる声で胸がきゅっとなる。


女性たちと座敷童

・久代の「産む気持ちだけじゃあ生きてけない」という思い・考えが分かる。でも、産む、育てる、この子を愛するという気持ちがあれば、生きていけるかもしれないと思わせる志乃の思いの強さも伝わって、絶対無理も絶対大丈夫も言えないなぁと思ってしまった。
・座敷童子の産まれたかった。自分の母から産まれたかったという気持ちもわかるし、その思いを無碍にしたくない。でも、遊女の「自身の生活ができない、働けない、生きていけない。おろすしか、ない。」という苦渋の選択も理解できるから、この子達の思いはどうすればよかったのかと、答えが出ない。正解とかないし答えとかいらんやろうけど。
・久代や元遊女たちがご飯を供えたり、覚えてなくても拝みにきたり、拝んだりしてるのを聞くと大人、母側もずっと座敷童子たちを思ってるのがわかるから悲しい。
・徳次がおろす手伝いを始めたのをみてた遊女たちがはけるときに、「あんなやり方ひどいよ。(これまでのおろすは、母と子が繋がってる赤い布をすぱっと断ち切るって感じだったけど、徳次のは赤い布を縦に割いてたのでやり方が違うんやろうなとわかる)」
「あのやり方だとへたすると死んじゃうよ」
「出産だって生きるか死ぬかだよ。」
「女ばっかりそんな役回り、月のものも来るし」的なことを話しはけてて
ほんまそれな!!!!




長々とつづりましたが、本当に素敵な作品でみなさん見て!!の気持ちが強い。
話の内容は重めだし、中にはみるのが辛くなる人がいるかもしれませんが、ぜひ見てほしいです。
アニメをご存じなくても、楽しめると思いますし、時代的には昔でも、状況は違えど現在にも関連する題材で妊娠・母・子などの観点からみると観劇後、意見を交わしたくなりました。
機会があればぜび、鑑賞ください。
読んでいただき、ありがとうございます。



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