ファンタジア

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コラム
ひとつ作品を構成するにあたっては、頭の中で起承転結した物語の一場面を、わぁー!とあふれ出るに任せて書き留めたり、全体の流れや表現したいことなど、完成度を上げるべく細かな概要を作ったりする。
特に「ファンタジア」は長編だった為、物語の中で矛盾点がないように、またくどくど話が長くならないようになど、読み手が飽きないような緩急をつけられるように細かく概要を作成した覚えがある。
というのも、この概要を作成した時(12,3年前)には、その時分の手腕では表現しきれない&まとめきれない自覚があったからだ。

「ファンタジア」は、言葉に障害を持つ青年の物語だ。
人生を変えたいと思っているけれど、挫折の経験を乗り切れないまま、まるでルームランナーで同じ場所を走り続けているような日々を送っている。
頑張っているのに、なぜかそこから動けない。どうにかしたい危機感はあるのに、どうしていいのかわからない。自己評価が低く、不安から保身的になる。
そんな彼が導かれるように迷い込んだ異世界で、223歳と名乗る妖艶な少女と出会い、鉄砲水に打たれたような怒涛の冒険活劇を経て〝本当の自分”を知っていく物語となっている。

でも実際に筆を執ると、企画書通りにいかないのが、書き物をして楽しいと思うポイントだったりする。それこそ導かれるように、思いもしていなかった要素が突然生まれ、それらが絶妙に紡がれてひとつの作品になっていく。小説の神様が作り置きしていた物語りのひとつを、FAX式で少しずつ頭の中に送信してもらっているような感じというのか(何様か)。
でも、決して寄り道はしない。読み手が疲れるし、本筋からそれればそれるほど、応募の規格数からも遠ざかっていくからだ(こうなると、もう死活問題)。

ただ改稿するにあたって、作中で主人公が例えに出す小説や映画の話が頻繁に登場するので、短文ながら訳注を添えた。それが、とにかくすごい手間だった。過去に読んだものは内容を忘れてるし(おい)、ちょろっとしか読んでいないものは事細かに調べないといけないし(読めよ)
Libre Office→Wordに変更したした際のバグの訂正にも時間がかかった。でもその辺の手間や苦労は、すべて作品愛で乗り切る。自分最高!と奮い立たせながら、毎日コツコツ出勤前に作業し、作業テーブルに文庫本や資料集の塔が乱立する中、ようやく改稿作業が終わった。よくやったね!頑張ったね!自分ブラボー!と肩をバンバン叩きながら褒めてあげたい(孤独すぎるやろ)

「ファンタジア」は「Dの鍵」と対になっている話でもある。内容も主人公もまったく違うけれど、同じ舞台で同じキャスト(脇役)が登場する手塚治虫式を採用しているので、書いていて2倍楽しい。
願わくば、続編を書く時間と、心のゆとりと金銭的余裕が欲しい今日この頃。

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