売買契約とは?概要や注意点、定めるべき条項を解説

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法律・税務・士業全般

売買契約とは?

 売買契約は、特定の目的物を売買するための契約です。この契約では、売主が目的物の財産権(所有権・知的財産権等)を買主に移転し、代金が支払われます。事業では、一度の取引よりも継続的な売買契約が主流となっています。そのため、企業が長期的に安定した取引を維持するためには、売買契約書の条項の選定が極めて重要です。

会社間の売買契約

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1.会社間の売買契約

皆様、売買契約という言葉を耳にすると、一時的な取引を連想するかもしれません。しかし、ビジネスの現実を見ると、企業間の取引は、一回限りのものよりも、継続的な関係が中心です。

2.継続的取引のメリット

安定性: 継続的な契約は、供給と需要の両方での安定を保証します。これにより、効率的な生産計画や戦略的な販売を実現できます。
信頼の深化: 長期的な関係は、双方の間の信頼を強化します。これは新しいビジネスの機会を生み出す基盤となります。
経済性: 継続的な取引は、大量購入や長期契約の特典を通じて、コストを効果的に削減する機会があります。

企業間の売買契約における継続的な取引の重要性は、安定供給、深い信頼関係、そしてコストの効率性にあります。これらの利点を活かして、持続的なビジネスの関係を構築することは、現代ビジネスの成功の鍵です。

注意点

 上記で解説したように継続的な取引になることが主流です。しかし、取引の都度、「売買契約を締結する旨・目的物の指定」を記載した契約書を1から作成することは効率的ではありません。
そこで、契約を基本契約と個別契約に分割することをオススメします。

1.基本契約

 「売買契約を締結する旨」は全ての取引において共通です。なので「貴社との取引においては包括的に定める」とすることにより、こちらを取引の都度、契約書に記載する必要はなくなります。
 主に、目的・履行時の注意点・支払方法及び期日・契約違反時の罰則・紛争時の管轄裁判地を定めます。

2.個別契約

 「目的物の指定」は取引の都度、変更することが多々あります。そのため、こちらは基本契約とは別に個別契約として取引の都度、締結するようにします。
 主に、目的物・引渡方法及び期間・検収の内容及び期間を定めます。

売買契約の流れ

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 売買契約の流れは、上記図に示す通り、①契約締結、②注文、③納品、④検収、⑤支払いの5つのステップで構築されています。一見シンプルに見えるかもしれませんが、各段階での詳細な注意点が存在するため、正確な理解と適切な実行が不可欠です。

1.契約締結
 契約締結は、買主と売主が合意し、法的効力を有する契約を形成する重要なステップです。
 このプロセスは、契約内容の詳細な協議から始まり、契約書の準備、そして署名や電子認証の手続きを経て完了します。この一連の手続きを正確に行うことで、当事者間の法的な権利と義務が明確に確立されます。

2.注文
 売買契約が完了した後のステップとして、注文手続きは極めて重要です。
買主は、注文書に商品の詳細、数量、納期などを明確に記載し、売主へ提出します(継続的売買契約でない場合は注文書を介さないケースもあります。)。
 売主はこれを受け取り、内容を確認した後、注文書に記載された目的物を納品します。
 この一連の流れは、両者間での取引の透明性を保ち、後のトラブルを防ぐための基盤となります。

3.納品
 売買契約における「納品」とは、売主が買主に対して目的物を提供する行為を指します。具体的には、売主が買主からの注文に従い、指定された場所や時期に目的物を届けることを意味します。納品方法には、直接手渡し、輸送、電子データの転送などがあり、目的物の性質に応じて選択されます。納品は契約の履行の一環として重要で、適切に行われない場合は契約違反となる可能性があるため注意が必要です。

4.検収
 売買契約における検収は、目的物が契約通りの品質・数量で提供されたかを確認する重要なプロセスです。
 納品後に行われるこの手続きは、目的物が契約の条件や仕様に従っているかを検証し、双方の間での誤解やトラブルを防ぐ役割を果たします。検収を円滑に進めるための注意点として、まず、検収の基準は契約時に明確に定義しておく必要があります。
 また、検収を行う期間や日時を事前に決めて、適切なタイミングで実施することが重要です。検収の結果は文書化して双方で共有・保管し、後のトラブルを避けるための証拠とすることが推奨されます。さらに、不具合が見つかった場合には、その対応方法や期限を明確にすることで、後の問題を防ぐことができます。

5.支払い
 売買契約が締結されると、買主は売主に商品やサービスの代金を支払う義務が生じます。この支払いは、契約で定められた方法(例: 銀行振込、クレジットカード、現金等)と期日に従って行われる必要があります。支払いの条件や期日、方法は契約文書に明記され、双方の合意のもとで決定されます。
 遅延や不足などの支払いトラブルを避けるため、契約時には支払いに関する詳細な条件をしっかりと確認し、合意することが重要です。また、支払いが完了した際には、領収書や支払い確認書を受け取ることで、後のトラブルを防ぐことができます。


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