259号・住宅の工事請負は大変な仕事

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ビジネス・マーケティング
   建設業は、一番難しいビジネスだと思います。屋外でモノづくりをする製造業です。事務所や工場といった一定の場所でできる作業でもありません。季節、天候にも左右され、作業する職人さんも現場ごとに異なり、職人さんの技量もそれぞれ。初めてみる職人さんもいる。しかも、特定の学校や訓練所で技量やマナーを身に付けているという保証もありません。下請けの会社も自社より大きな会社から、一人親方の職人さんまでいろいろ。また、自社の現場管理者の知識や技量も会社が充分把握してくれているとは限りません。
  一般的には、製造業は屋内で整理整頓された工場に製造機械、教育された労働者。品質検査、納期は厳守、原価管理、徹底した安全管理が出来ています。社員の改善意欲、QC活動、P・D・C・Aの繰り返しで日本の製造メーカは、世界で一番と言われています。建設業でも大手ゼネコンは、品質、工期、原価、安全管理、技術の革新、改善努力は世界をリードしています。
  さて、住宅の現場は、一番遅れています。その原因は、屋外での作業なので季節や天候に影響される、同じ土地、建物がない。工事車両を止めるだけで通行障害を起こすような現場、埃が出るの、音がうるさいだの近隣から叱られる。しかも、業種は多く、その作業量は少なく効率も悪い。下請け職人は、賃金も低く他の現場との掛け持ちをしなくてはやっていけない。一つの現場に拘っていれば、前に進めない。
  それでも、工事現場は何となく進んでいきます。職人さんや下請けのペースに任せて、たまたまお客様や近隣からのクレームや事故もなく、運が良ければ取り敢えず竣工時の社内検査までは進んでいきます。ただ、出来栄えは仕事が終わるまで解らない。
  また、現場の良し悪しは、同じ職人さんが工事をしていても現場管理者の心構えによって出来栄えの結果が異なります。表面に現れるものは直せるかも知れないが、見えなくなってしまったところは職人さんと現場管理者を信頼するしかありません。
   社員の経験や管理能力も当てにならない、設計者の設計図面もいい加減、大工、業者任せ、事故、死亡事故だってあり得る。現場ごとに品質、効率もバラバラ、営業、設計、工事管理者、積算も仲が悪い、ルールがないから責任の押しつけあい。会社に内緒で業者に押しつけや貸し借り、検査もやっているようでやっていない、会社の検査基準もない。取り敢えず、清掃だけはしっかりすれば一応竣工はする。
   検査はお客様次第。うるさいお客様には契約時から値引きされていても、最終金回収のためには一生懸命ご機嫌取り。優しいお客様からはいただけるだけいただく。会社も利益は先取り。残りを下請け業者に押しつけ。お客様の満足どころか、良い建物を提供できる訳ないですよね。
   現場管理者の仕事は、会社の看板を掲げて、工事を自社にご下命くださったお客様の代理人であり、会社社長の代理人でもある。会社、お客様の信頼を裏切るようなことをしてはならない。お客様の利益と会社の信用を守るために、日頃から業務知識の向上、技術の研鑽、職人さんの指導、教育に努力しなければなりません。
   そして、問題が起こるとお客様、業者や職人さん、あるいは近隣の方々と話し合い、納得していただくよう努力しなければなりません。また、ある時は体を張ってお客様、職人さん、会社の利益を守らなければならない。現場管理者はそれだけ責任があることを自覚し、日頃から自らの技量を磨くと同時に、リスクを最大限、創造、予測、予見し、未然に防止できるよう努力しなければなりません。未経験だからでは済まされない事を肝に銘じて仕事をするように心掛けるべきです。

現場管理者は現場の経営者
   現場管理者の役割は、まず近隣の方々にご迷惑をかけないよう配慮し、現場で従事する職人さんが安全に作業できる環境を整え、工期通りに仕事を進め、初期の利益を確保することが何よりも大切です。お客様の利益を守り、会社が期待する品質と利益を確保し、設計者の意向(設計者も信頼できる図面を作成すること)をしっかりと反映することです。
   そして効率よく工事を進め、出戻り工事や、やり直し工事が出ないように段取りをして、職人さんの利益も守らなければなりません。工事が終わってから職人さんに手直し工事を指示しているようでは2流の現場管理者です。
現場管理者によって、職人さんや会社の利益が左右されるようではだめです。現場管理者は現場の経営者という自覚を持って、お客様、工事関係者全員が事故もなくハッピーになるような仕事に当らなければなりません。
これらの事を解決していくためには、じっくり取り組んでいくしかありません。

   まず、業務の流れをしっかり確立し、進捗ごとに帳票、チェックリストを作成し、上司への報告、承認を得て仕事をすることです。
家づくりの業務の流れは、どこも同じです。集客をして、初回面談、設計者のヒヤリング、見積もり、納得していただいたら、設計申込、ローンの申し込み、請負契約、設計図書の作成、建築申請業務、インテリア、設備機器の選定、地鎮祭、上棟式、検査業務、引き渡し、保証書の発行、AM業務。どこもやっていることは同じです。

   これらの業務の中で、設計、施工ミス、出戻り工事、手直し工事をいかに少なく、利益を確保、効率よく進めるだけの事ですが、それがなかなかできないのは、アンケートの実施と集計、改善、実行の繰り返しを行い、社内のルールや基準、チェックリストを作成していないからです。これらの整備をしていない会社は、同じ失敗を繰り返します。少しずつでも進めていくことが大切です。

   当所では、業務有無の流れチャート(集客~引き渡し~メンテナンス)とそれぞれの機会に使用する帳票、アンケート用紙を有償で販売しています。

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