【90%の人がまだ知らない】Web3.0の到来

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インターネットの「第3段階」が始まった


「Web3.0」という言葉が、世界で大きな話題を集めています。

インターネットが「第3段階」へと突入したことを表した言葉です。

今、「Web3.0」という言葉が世界的に話題を呼んでいます。
意味や定義が曖昧なまま世間で広まっている、いわゆるバズワードの一種です。"3.0"という数字が含まれていることからわかるように、ウェブの世界が第3段階へと移行するムーブメントを表現しているのです。Web3.0と混同されがちなワードとして「メタバース」もありますが、これはインターネット上の仮想空間、またはそれらを活用したサービスを指したものです。メタバースも、Web3.0というインターネットの新しい潮流を理解するために、押さえておきたいキーワードのうちの一つです。

Web3.0の前段階として「Web1.0」と「Web2.0」がありました。Web3.0はWeb1.0とWeb2.0の歴史の延長線上に存在しているのです。Web1.0はインターネットが普及し始めた1990〜2004年頃のムーブメントを指します。そこでの主流サービスはテキストサイト、メールなどでした。Web2.0は2005〜2020年頃のインターネットのことで、大きな特徴はSNSの普及です。また、画像や動画を使ったコンテンツも広がりました。
2021年以降のWeb3.0を代表するテクノロジーやサービスとしては、暗号資産NFT、ブロックチェーンなどがあります。なお、「Web3」という用語が使われることもありますが、基本的にWeb3.0と同じものを表していると考えて問題ありません。


これまでのWeb1.0やWeb2.0との違いとは?


Web3.0が生まれたには、その前身であるWeb1.0、Web2.0が関係しています。インターネットは、どのような歴史を歩んできたのでしょうか?
Web3.0は、Web1.0とWeb2.0という歴史の延長線上にあります。
これらの間には、情報の流れ方や情報の置かれ方について大きな違いがあります。インターネット黎明期のWeb1.0では、情報の発信者と受信者ははっきりと分かれていました。
個人でホームページを作る人たちもいましたが、大半のユーザーはそういったホームページを見て情報を「受信する」ばかりだったのです。このことからWeb1.0は「一方通行の時代」とも呼ばれています。Web2.0ではTwitterやFacebook、Instagram、YouTubeなどのSNSが普及したため、誰もが発信者になりました。インターネットで情報を見たり読んだりするだけでなく、手軽に情報をアウトプットできるようになったのです。
こういった情報の流れ方から、Web2.0は「双方向の時代」とも呼ばれています。Web2.0には、「Aさんの氏名、住所、年齢」、「Bさんがどういう買い物をしたか」などといった個人情報が特定の企業に独占されうるというデメリットもあります。Web3.0にはこうした問題を解消することも期待されています。Web2.0では特定の企業に集まっていた情報が、Web3.0では個人に分散されます。このことからWeb3.0は「分散の時代」とも言えるでしょう。


Web3.0の大きな特徴は「Decentralized」


企業にデータやユーザーが集まるこれまでのインターネットとは異なり、Web 3.0は「分散型のインターネット」であることが大きな特徴です。Web3.0は様々な特徴を持っていますが、大きなものは「Decentralized(分散型)」であるとい うことです。分散型は非中央集権型とも言い換えることができます。Web2.0は中央集権型のシ ステムでした。プラットフォームを提供する企業に情報・富権力が集中していたのです。個 人の情報や高権力が一箇所に集まってしまう構造を解消するために、Web3.0では分散型(非 中央集権型)のシステムを作ろうとしているのです。

Web3.0の分散型のシステムを作る上で、大きく役立っている技術がブロックチェーンです。ブロックチェーンの特徴についてはChapter 3で詳しく解説しますが、「システムに特定の管理者が存在せず、不特定多数のネットワーク参加者によって共同管理される」というものです。多数の参加者が 同一データを分散保持している構造で、簡単に言えば、管理者が分散されているのです。ブロッ チェーンのメリットとしては、「取引履歴の改ざんが困難」「システムを止めるのが困難」とい たことがあります。暗号資産の取引にはブロックチェーンが活用されており、今後メタバースの活用も期待されています。
バーチャルファーストの時代がやって来る
あくまでリアルの補助であったバーチャルの世界が、将来的にバーチャル(インターネットが主で、リアルが従という関係に変わると言われています。Web3.0は社会に様々な変化をもたらしますが、そのムーブメントと同時に「バーチャルファースト」の社会が到来すると考えられています。バーチャルファーストは「インターネットファースト」とも 表現できます。世界をリアルとバーチャル(インターネット)に分けると、これまでの世界ではリアルが主で、バーチャルは従という関係でした。あくまでリアルを便利に、楽しくするためにバーチャルが存在したのです。バーチャルファーストではこの関係が逆転し、バーチャルが主でリアルが従になると言われています。


Web3.0とは何か?


各ユーザーが同じデータを参照できる
ブロックチェーンの技術がもたらすWeb3.0のネットワークには、特定の整理者が存在しません。ネットワークに参加した複数のユーザーが、同じデータを共有するのです。Web3.0を支える重要な技術がブロックチェーンです。P18〜19などでもご紹介したとおり、Web3.0は分散型のシステムで、そこには特定の管理者が存在しません。このシステムを成り立たせているのが、ブロックチェーンなのです。ブロックチェーンを活用したWeb3.0のサービスでは、すべてのユーザーが取引に関する情報を共有します。
つまり、複数のユーザーがブロックチェーン上にある同一データを参照できるのです。これにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 従来の中央集権的なネットワークでは、特定のサーバーを介してユーザーはネットワークに接続します。それに対してWeb3.0のシステムでは、サーバーを介さずにユーザー同士がつながります。ユーザーたちは同一の取引データを参照するのです。複数の場所で情報を共有するので、仮に一箇所でデータが失われても、他の場所からデータを復元することができます。中央集権的なネットワークだとサーバーを攻撃されてデータを改ざんされる危険性がありますが、Web3.0のネットワークだとそのようなリスクが抑えられます。たとえ一部が改ざんされたとしても、システム全体を守る仕組みがあるため、機密性や安全性が保たれるのです。


Web3.0を動かす「トラストレス」という思想


Web3.0の提唱者である科学者ギャビン・ウッドは、Web3.0については「控えめ に、もっと実を」と語っています。を控えめに」とは何を意味するのでしょうか?Web3.0を理解する上で重要なキーワードが、「トラストレス」です。Web2.0が作るモデルは、実はインターネット登場前の社会モデルと変わりません。そこでは国や大企業などの権威に基づく システムが作られていました。権威に対する信頼でシステムが成り立っていたのです。Web3.0のトラストレスは、それとは違います。Web3.0の提唱者ギャビン・ウッドは、「信頼(トラスト)は控えめに、もっと真実を」と語っています。
ウッドは自身の言葉について、「信頼は人や組織に何らかの権威を与える。権威を与えられた側は恣意 的に行動するようになる」と解説しています。「あの人や組織は権威があるから正しい」といった 思い込みが、権威の集中や暴走を招く恐れがあるのです。権威などに対する信頼を控えめにするトラストレスという概念は、ブロックチェーンに活かされています。すでに解説したとおり、ブロックチェーンのシステムには管理者がいません。管理者を介さずに取引を行う形が、トラストレスを体現しています。インターネット上のプラットフォームに信頼が集中することを防いでいるのです。



ブロックチェーン上の 新しいアプリ「DApps」


中央管理者不要で自律的に動くアプリケーションのことを DApps と呼びます。イーサリアムは DApps を構築するためのプラットフォームなのです。DApps とは「Decentralized Applications」の略で、日本語では「分散型アプリケーション」または「自律分散型アプリケーション」と呼ばれます。その言葉どおり、DApps にとって「自律」と「分散」が重要なキーワードなのです。管理する存在がいない分散型のP2P ネットワークで、定められたルールに従ってDApps は自律的に作動します。イーサリアムは、DAppsの開発基盤として主流となっています。


新しい組織の形「DAO」とは何か?


「株式会社のアップデート」とも呼ばれるDAO。Web3.0 がもたらす新しい組織の形とは、どのようなものなのでしょうか?Web3.0 ブームの中で大きく注目されているのが、DAOです。日本語に訳すと「自律分散型組織」で、ブロックチェーンの仕組みを取り入れた新しい組織の形として注目されています。そこでは、同じ目的を持ったメンバーが集まり、出資をする人や開発面で携わる人など各々がプロジェクトの成功のために自律的に行動します。これまでの企業体であれば、上層部や創業メンバーなどのごく一部が強い意思決定権を有しましたが、DAO には意思決定権を持つ管理者が存在せず、参加メンバー全員がトークン保有比率などに基づき同等の発言権を持つのです。


金融を非中央集権化するDeFiの仕組み


分散型金融と呼ばれるDeFiには、従来の金融システムと違って中央管理者が存在しません。それによって、時間や金銭的コストなどを低く抑えることができます。Web3.0 で注目されるDeFiは、イーサリアムのブロックチェーンを基盤とするアプリケーションです。DeFiは「Decentralized Finance」の略称で、日本語では「分散型金融」と呼ばれます。インターネット上の通常の金融サービスは、金融機関などのサービス提供者がシステムを管理します。それに対してDeFiには中央管理者が存在しないのです。DeFiでの取引はすべてブロックチェーン上に記録されます。取引に参加するユーザーたちが記録を確認して承認するのが、DeFiの最大の特徴なのです。仲介者が存在しないことからDeFiは「オープンファイナンス」と呼ばれることもあります。管理者が仲介しないことで、時間や金銭のコストを大幅に削減できることがDeFiの大きなメリットです。従来の中央集標的な金融システムだと海外への送金には手続き上必要なタイムラグが発生しますし、高額な手数料も仲介者に支払わなければなりません。こうしたコストが、すべてをプログラムで実行するDeFiなら低く抑えられるのです。また、あらゆる国籍のユーザーが利用できるのもDeFiの特徴です。暗号資産を保管するウォレットさえ開設すれば、世界中のどこでもDeFiを通じて取引が行えるのです。

DeFiの事例「Compound (コンパウンド)」


DeFiがどのように使われているかは、Compoundというサービスを知ることでよく理解できます。暗号資産の貸し借りができる取引所として人気を集めています。DeFiを活用した代表的な事例としては、「Compound (コンパウンド)」があります。Compoundはイーサリアム上に作られた、暗号資産のレンディングプラットフォームです。DeFiは従来の金融システムと違って中央管理者が存在しないので、Compoundでもスマートコントラクトによって貸し手と借り手をつなぎます。従来の金融サービスと同じようにお金を預けることで利息を得られますし、保有している暗号資産を担保にして借り入れを行うことも可能です。

メタバースは一過性のブームではない

2021年に、社名を「Meta」にしたフェイスブック。メタバースが次世代のキーサービスであることを確信したフェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグがこのタイミングで社名を「Meta」に変更したのには、明確な狙いがあります。それは、オンライン上に構成された3Dの仮想空間で提供する「メタバースビジネス」の展開に自信を持つことができたからです。Metaのメタバース部門であるReality Labsの2022年第1四半期の売上は、一体型VRヘッドセット「Meta Quest 2」の売上もあって、2021年の第1四半期と比較して35%増と大幅にアップしています。


メタバースは普及までに3つのステップを踏む


メタバースが日常の生活に浸透していくためには、次の3つのステップがあります。①世界中のゲーム市場を取り込む、②タブレットやPC市場(ビジネスや教育)を取り込む、③ポストスマホになる(スマートグラス)。①のゲーム分野では、昨今のコロナ禍の巣ごもり事情もあり、ヘッドセットの売れ行きは好調です。2022年には累計2000万~3000万台の売上が予想されている「Meta Quest 2」をはじめ、アップルもVR/AR対応のヘッドセットの発売を予定しています。ソニーも次期VRヘッドセット「PlayStation VR2」を2023年に発売すると言われています。

ゲーム市場では、ゲーマーを確実に取り込んだゲーム機の目安は1億台とされていますが、ここ数年で世界中のゲーマーを取り込む可能性は十分にあるでしょう。②のタブレットやPC市場への参入ですが、鍵となるのは「ビジネスや教育現場でのマストアイテムになること」です。ビジネスでは、MetaのVRワークスペース「Horizon Workrooms」のように、Office と連携できるかなどが大きな課題となっています。教育市場ではなかなかスタートアップが生まれませんが、Metaをはじめとする企業がイニシアティブを取って育成していくことが必要です。③のポストスマホは、VRではなくARグラスの分野です。2022年後半から2024年にかけてアップル、Meta、グーグルがARグラスをリリースしていくだろうと見込まれています。


「多様な自分」を持つことができる


現実世界での活動をそのままメタバースに移行させるだけでなく、「もう一つの人生をメタバースで楽しむ」という活用方法もあります。メタバースでは、現実世界の自分の属性にとらわれない体験をすることができるのです。例えば、現実世界では会社員としてオフィスで働いている人が、メタバースではサッカー選手として活躍したり、日中は都会のオフィスで仕事をしている人が、メタバースでは自然豊かな環境で農業に没頭する、といったこともできるのです。つまり、メタパースは「もう1人の自分」になることを可能にしてくれると言えます。


日本発のアバター統一規格「VRM」とは?


同じアバターでも使えるようにするための統一規格「VRM」は、日本の企業によって開発されました。メタバースにおいてアバターの存在は重要です。しかし、従来の3Dデータでは、アプリごとにフォーマットが違ったり、フォーマットが同じでも内部構造が違ったりするということがありました。そのため、同じキャラクターやアバターを他のアプリでも使いたいときは、アプリに合わせて調整し直したり、データを作り直したりする必要があったのです。そこで2018年、日本のドワンゴが中心となってプラットフォームに依存しない人型の3D アバターキャラクターの標準ファイル「VRM」を提唱したのです。
メタバースとWeb3.0で多様性のある社会を作る

メタバースとWeb3.0によって多様性に満ちた夢の実現を目指す世界が生まれるでしょう。そこは「バーチャルファースト」の世界で、産業革命以降の画一的な社会から脱却します。個人は複数の外見、性格、コミュニティ、経済圏、社会体制を選んで生きることができ、個々の個性や可能性が押しつぶされずに発見され、伸ばすことができるでしょう。


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