自筆証書遺言保管制度について

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法律・税務・士業全般
自筆証書遺言保管制度」についてのご案内です。
併せて先日当事務所にご相談いただいた事例をご紹介いたします。
遺言者様:60台男性
相談内容:内縁の妻に遺産を残したい
まずは戸籍調査を行い、現時点での相続人特定を行いました。
その上で内縁の妻に遺産を渡すには「遺贈」をする必要がありますので、自筆証書遺言の作成をご提案。
財産の内容を全て開示いただいた上で「財産目録の作成」「遺言書の起案・文案」の作成を行いました。
原案を基に、遺言者様のご意向を再確認した上で当事務所内にて自署をし、無事に自筆証書遺言が完成しました。
次に、自筆証書遺言書のデメリットとして、下記のリスクがあること及び、「自筆証書遺言保管制度」についてご説明

自筆証書遺言を自宅で保管する場合のリスク
・そもそも発見されない
・発見されたとしても都合の悪い相続人が破棄または隠匿する可能性
・紛失や破棄
・遺言書内容が要件を満たしていない
・遺言内容について争いが起きる
・裁判所の検認手続きが必要

「自筆証書遺言保管制度を利用することで得られるメリット」
・原本を法務局が保管してくれるので、破棄または隠匿の可能性がない
・法務局が保管する為、紛失リスクがない
・法務局が保管する為、改ざんリスクがない
・裁判所の検認手続きが不要

以上の説明を行ったところ、今回は法務局が行っている「自筆証書遺言保管制度」を利用することになりました。
「自筆証書遺言保管制度」を利用することにより、上記のリスク回避ができることや、その他「死亡時通知制度」によって、指定した関係者(最大3名まで)に「死亡したこと、遺言者が保管されている旨の通知」が法務局から伝達、遺言執行時に「裁判所の検認が不要になる」など、遺言者の意思を確実に残すための大変便利な制度となっています。
保管申請料は「3,900円」で公正証書遺言書より大変リーズナブルなところも魅力の制度です。
本件は、法務局へ予約をし、指定日時に法務局へ出向き、無事に保管手続きが完了。遺言者様は大変安心なさっておりました。
今回ご紹介した「自筆証書遺言保管制度」についての注意点として、「法務局では、遺言書の内容及び有効性についての判断」はしてもらうことができないことになっています。
従って「有効な遺言書」を作成するには「推定相続人の特定」や「財産の特定」などを行う必要がありますので、専門家へ相談することをお勧めします。

また、ケースによっては公正証書にした方がいい場合もある為、ご自身の状況や資産に合わせて、自分に合った遺言書を残してください。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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