「心と体の健康入門③」~「ストレス・フリー」から「自然治癒力」増強へ~

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学び
(1)「ストレス」は万病の元、「ストレス・フリー」は自然治癒力の元

③「ノン・ストレス」だと無気力になり、「ストレス・フリー」だと活力になる

「ほどよいストレス」~「ストレス」にもプラスに働くストレスとマイナスに働くストレスの両方があります。そのため、人間の体はストレスが弱いと十分に機能が発揮されず、逆に強すぎると機能が抑制されます。大事な時に緊張しすぎていてうまく出来なかったり、リラックスし過ぎていてミスが出たりする一方で、ほどよい緊張感がある方がベストの能力またはそれ以上の力が発揮されるのです。

「発達課題」(developmental task)~教育心理学者のハヴィガーストが提唱した概念で、「人間が健全で幸福な発達をとげるために各発達段階で達成しておかなければならない課題」であり、「次の発達段階にスムーズに移行するために、それぞれの発達段階で習得しておくべき課題がある」とされます。その後、エリクソンなど様々な心理学者がそれぞれの発達課題を提言していますが、一般に発達課題は次のような意義と特徴を持っているとされます。
①自己と社会に対する健全な適応にとって必須の学習である。
②本質的には一定の期間内で学習されなくてはならない。その後も存在し続ける課題もあるが、その意義は弱化していく。
③発達課題は子どもから高齢者に至るまでの各年齢段階にある。
 また、各段階には健全と相反する危機(crisis)が存在し、健全な傾向を伸ばし、危機的な傾向を小さくしなければならないとされます。したがって、「ストレス」は単に空間的・環境的・状況的なものだけでなく、時間的・発達的・段階的にも生じ得るものとなります。「生活習慣」に現在性のみならず、歴史性・蓄積性があることは言うまでもありませんが、「発達課題」という視点(達成・未達成やそこから生じる心身のゆがみなど)も必要になってくるわけです。

【ハヴィガーストによる青年期の発達課題】
●青年期における同輩グループの形成
①同年齢の男女との洗練された新しい交際を学ぶこと。
②男性として、女性としての社会的役割を学ぶこと。
●独立性の発達
③自分の身体の構造を理解し、身体を有効に使うこと。
④両親や他の大人から情緒的に独立すること。
⑤経済的な独立について自信を持つこと。
⑥職業を選択し、準備すること。
⑦結婚と家庭生活の準備をすること。
⑧市民として必要な知識と態度を発達させること。
●人生観の発達
⑨社会的に責任ある行動を求め、それを成し遂げること。
⑩行動の指針としての価値や倫理の体系を学ぶこと。

【エリクソンのライフサイクル(人生周期)理論における各段階の発達課題】
●乳児期:信頼~養育者との関係を通じ、周囲への信頼を学び、今後の人間関係の基礎を作る。
●幼児前期:自律性~排泄など身の回りのことを自分でやり通ることから自律性を身につける。
●幼児後期:自主性~周囲に対する好奇心、真似から積極性や社会的役割を身につける。
●学童期:勤勉性~勤勉な態度によって能力を習得し、周囲の承認を得る喜び、達成感を学ぶ。
●青年期:自我同一性(アイデンティティ)~自分が何者であるかを確立し、自分の生き方、価値観をを形成する。
●成人前期:親密性~アイデンティティを確立した上での親密な関係を友人・異性との間に築く。
●成人期:世代性~社会の存続のため、次世代の人間を育成する必要性を認識する。
●老年期:統合性~自分の人生を受け入れ、肯定し、円熟した人格を形成する。

「自然治癒力」(spontaneous cure)~「自分の力で病を癒し、治す自然の力」 のことで、「自己治癒力」とも呼ばれます。人間・動物などの心身全体が生まれながらにして持っている、ケガや病気を治す力・機能であり、手術を施したり、人工的な薬物を投与したりしなくても治る機能のことです。体が外傷などを負った時に、それが少々の規模であれば傷を治す「自己再生機能」と生体の外部から浸入してくるウイルス・細菌類と戦う「自己防衛機能」(「免疫」)が認められます。
 特に「免疫機能」は非常に高度で精密・複雑なシステムであり、免疫機能を担っている要素の例としては「リンパ球」が挙げられます。「リンパ球」の中には、全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第、攻撃する「ナチュラルキラー細胞」(NK細胞)、体液性免疫の中心となり、抗体産生を行う「B細胞」、体液性免疫で抗体産生を誘導する「ヘルパーT細胞」や細胞性免疫でウイルス感染細胞を破壊する「キラー細胞」などが知られています。
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