【コミュニケーション・スキル㉔】「人間」(にんげん)とは結局「人間」(じんかん)である

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③「家庭」的基本関係から「社会」的人脈へ
 「家庭」は全ての人間関係の基本であり、基本的人間関係としては「父と私(息子・娘)」「母と私(息子・娘)」「兄と私(弟・妹)」「姉と私(弟・妹)」「私(兄・姉)と弟」「私(兄・姉)と妹」の6種類があります。そして、この「家庭的人間関係」を成熟させつつ、「社会的人間関係」へと発展していくわけですが、家庭的人間関係の欠落・ゆがみは社会的人間関係の中で補償・修復するしかありません。
 ただありがたいことにはユングが「元型論」で明らかにしたように、人間の心の奥底には例えば、息子娘・兄弟姉妹→男女→夫婦→父母の理想像を支える「父なるもの」「母なるもの」などの諸元型が存在し、これが悲惨な現実の中にあっても人を導くものとなるというのです。すなわち、「内なる神」「良心」として働くわけです。ユング自体は雑多な分析にとどまり、体系的分析が必ずしも出来ていたわけではありませんが、環境や状況が悲惨だと必ず悲惨な結果をもたらすかというと、必ずしもそうでもないのはこういうメカニズムがあるからなんですね。
 性格形成上、決定的に重要な根源的人間関係は実は「家庭」にあり、政治思想家バークも「社会の中で我々が属している最小単位、すなわち家族を愛することが社会全体を愛するための第一歩である」と指摘しています。こうした基本的人間関係は人間として「社会的生活」を送る上で不可欠な要素となりますが、さらに「社会的成功」を求める場合は「人脈」がこれに加わる必要があります。
 そして、ここでもう1つ知らなければならない心理的・人間関係論的メカニズムが「成功者の陥る人間関係のダークサイド」です。例えば、ジェネラル・エレクトリックを率いた名CEOのジャック・ウェルチさんなどは、今でも世界中の人から目標にされ、学ぶ対象となっている「ビジネスの成功者」ですが、私生活では結婚・離婚を繰り返し、必ずしも幸福であるとは言い難い面があります。実はあらゆる成功法則の本に書かれていないのはこの「ダークサイド」の部分であり、「ビジネスの成功者ほど人生で失敗している」という現実の問題でした。これに本格的にスポットを当てたのはジョン・オニールさんの『成功して不幸になる人びと』(ダイヤモンド社)であり、日本にこれを本格的に紹介したのが神田昌典さんの『成功者の告白』(講談社)です。少なくともこれからビジネスを立ち上げたい、会社を興したい、成功を収めたいという人であるならば、これらの本を一読すべきでしょう。「夫婦をつなげるために子どもが犠牲になることすら起きる」など、経験者なら真っ青になるような内容です。
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