【傷病手当金】の『レアな事例・質問』について解説します!

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法律・税務・士業全般
この記事では、傷病手当金の申請について、レアな事例やご質問について解説します。

たくさんの一般的なご質問とは違った、めったにない事例になります。

以下の事例は、業務上のケガにより休業したため、労災保険の休業補償がもらえることになりますが、健康保険の傷病手当金とのかね合いがポイントになります。

お仕事をされている方も、会社の総務関係を担当されている方にとっても参考になる事例かと思います。

【レア質問です。】


協会けんぽ加入事業所で日中勤務(「A事業所」)しながら、副業として夜間の勤務(「B事業所」)があります。

夜間勤務の「B事業所」にて業務上のケガを負い、「A事業所」での勤務もできなくなりました。

業務上のケガであるため、労災で休業補償の給付を受けられることになりましたが、「B事業所」勤務中でのケガのため、「A事業所」での収入は労災で補償されません。

業務上ではありますが、「A事業所」として労災の給付をうけることができないため、健康保険で傷病手当金をうけることは可能でしょうか?

【回答です。】

協会けんぽの被保険者が、副業として従事する事業所の業務中に負傷し、労災保険から休業補償を受けている場合につきましては、労働災害補償保険法(昭和22年法律第50号、以下「労災法」といいます。)第7条第1項第1号に規定する業務災害に基づく保険給付をうけていることとなるため、健康保険法(大正11年法律第70号、以下「健保法」といいます。)第1条の規定に基づき、健康保険による傷病手当金は支給されないこととなります。

(ちなみにですが、健康保険法第一条 はこう書いてあります。「この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。) 以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」)

つまり、病気やけがの原因が業務災害以外でなければ、健康保険の傷病手当金は支給されない、ということですね。

回答のつづきです。

なお、協会管掌適用事業所における傷病手当金相当額が労災保険における休業補償を上回る場合であっても、当該事例における負傷が労災法に規定する業務災害によるものであり、健康保険法による給付対象とはならないことから、その差額を支給する必要は生じないこととなります。(関係法令等:労働災害補償保険法第7条第1項第1号)

【解説します。】


今回のような事例の場合は、A事業所が本業で収入が高いにも関わらず、B事業所での副業でケガをして、B事業所の収入に対しては労災保険の休業補償がうけられますが、仕事ができなくなっているため、A事業所の収入も当然なくなっているという事例ですね。

A事業所の仕事を休むことになった原因が、業務外の病気やケガが原因ではないため、健康保険の傷病手当金は受けられません。

それぞれの制度の趣旨や補償の範囲にもとづき、決定されているので、気の毒ではありますが、B事業所の収入に対する補償しか受けられないというような結果になります。

みなさんもぜひご注意ください。

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