いま使っている眼鏡、買い替え時ではありませんか?(患者様向け)

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突然ですが、このブログを読まれているあなたは、どのような眼鏡を使われているでしょうか?また、いつ頃にその眼鏡は作られましたか?

最近では眼鏡店に行かなくても、コンタクトレンズ同様に、通販サイトで度数を入力するだけで眼鏡が購入できるようになってきています。

以前、患者様が持参された眼鏡が新しい物のようだったので、作ってから数か月ぐらいかなと予想していても、「家からあまり出ないので、眼鏡は3年前から同じ度数で注文している」ということもありました。通販を利用して、同じ度数で眼鏡を買い替える方もいらっしゃるようですね。

さて、眼鏡を買う方法が多様化している昨今ですが、あなたが使っている眼鏡は買い替え時ではないでしょうか?眼鏡を買い替えるべきか、眼鏡が合っているかどうかは、実は自覚的な見え方や視力検査でも判断しきれません。例えば、ある患者様が持参された眼鏡をかけて、視力が(1.0)と良好な値でも、その方には合っていない眼鏡だったという場合もあります。なぜそのようなことが起こり得るのでしょうか?

簡易的なものですが、眼鏡を買い替えるべきかのチェックリストが以下になります。一つでも該当すると、眼鏡を買い替えたほうが良い可能性があります。

【眼鏡を買い替えるべきかのチェックリスト】
□眼鏡を作ってから3年以上経過している
(特に未成年もしくは40歳以上の方) 
□フレームがずれやすい、きつい
(わざと眼鏡をずらしてかけている場合も含む)
□以前と同じ作業をしていても眼が疲れる、頭痛が起きる

該当するものはいくつあったでしょうか?
それでは項目ごとに解説していきます。

『眼鏡を作ってから3年以上経過している
(特に未成年もしくは40歳以上の方)』
この項目では眼鏡レンズの劣化と年齢による眼屈折度の変化が関係します。

まず、眼鏡レンズの劣化についてです。使用頻度や環境にもよりますが、一般的に眼鏡レンズ(現在主流のプラスチックレンズにおいて)は2〜3年で劣化し、何らかの問題が生じます。具体的にはレンズの変色や傷、コーティングの剥がれ等です。紫外線や熱、水分の吸収などが影響し、レンズが徐々に黄色く変色したり、レンズ表面のコーティングが剥がれたりして見え方を損なうことがあります。最近多く売られているブルーライトカットレンズやカラーレンズなど、最初からレンズに着色してあるものは気付きにくいですが、経年劣化というものはどうしても起きてしまいます。

次に、年齢による眼屈折度の変化です。未成年と40歳以上の方は特に屈折度が変わりやすく、3年も経たずに眼鏡の度数を変えなければならない方が多くなります。

未成年は、小児期に近視の有病率が上がり、思春期および成人期にかけて重度の近視になるという変化が起こる、いわゆる近視が進行しやすい年齢になります。また、本来よりも近視の度数が誤って強く評価されやすい状態(仮性近視もしくは調節緊張症)になりやすい時期でもあり、矯正視力が(1.0)あっても眼鏡度数が強すぎる場合は、度数を下げて眼鏡を作り直さなければならないこともあります。

40歳は調節力の低下、つまり老眼が始まってくる年齢です。眼の中にあるレンズ状の組織(水晶体)が加齢によって弾力性を失い、膨らみにくくなることで、今まで見えていた手元の物にピントを合わせづらくなります。そのため調節力が低下し、手元を見るために必要な屈折度が足りなくなってしまいます。

50~60歳以降は白内障の有病率が上がるため、白内障による屈折度の変化が起こり、眼鏡が合わなくなる方が増えていきます。そのため、40歳以上の方も眼鏡の度数が合わなくなってきやすいのです。

『フレームがずれやすい、きつい
(わざと眼鏡をずらしてかけている場合も含む)』
この項目はフレームについて解説します。
眼鏡は度数も重要ですが、フレームが顔に合っているかどうかも非常に大切です。眼鏡を購入した時に、眼鏡店の店員さんがフィッティング、つまり眼鏡レンズを光学的に最も適した位置に固定するために、フレームを顔に合わせて調整しています。フレームがずれる、きつい、わざとずらしてかけることは、その眼鏡の本来の用途ではなくなってしまいます。

顔に合わないフレームのまま使っていると眼精疲労や頭痛が起きることもあり、特にきつい状態だと、こめかみや耳の後部の血管、顔に分布する神経を圧迫し、その部分から痛みが広がる恐れがあります。学童期では体の成長と共に、両眼の間隔や鼻の高さ、眼と耳の位置が変わり、次第にフレームが合わなくなってくる傾向にあります。

わざと眼鏡をずらしてかけている場合は、普通にかけるとかけ心地が悪いか、眼鏡をずらしたほうが見やすい状態になっているかと思います。前者の場合は購入された眼鏡店で再度フィッティングしてもらう、後者の場合はフィッティングに加えて、必要であれば度数変更をすると良いでしょう。

遠近両用や中近両用など、度数がレンズ内で段階的に変わる累進レンズをわざとずらしている場合は、アイポイント(眼鏡をかけた時に瞳孔がどこに位置しているか)を眼鏡店で確認してもらい、きちんと調整してもらえば、眼鏡をずらす煩わしさがなくなり、運転やデスクワークに集中しやすくなることもあります。

『以前と同じ作業をしていても眼が疲れる、頭痛が起きる』
この項目が該当する方は、前述の2つの項目の両方、もしくは片方が該当している可能性が高いでしょう。眼の疲れや頭痛は、身体や精神的な不調が原因とも考えられますが、自分に合う眼鏡を作ることで解消されるかもしれません。

また、この項目に該当すると治療が必要なこともありますので、眼科への受診をお勧めします。眼科では視力検査と同時に眼鏡の度数が合っているか、調節力が低下していないかなども調べることができます。眼精疲労には調節機能を改善させる点眼薬を処方したり、年齢によっては調節麻痺薬という点眼薬を使って、より正確な眼屈折度を調べて眼鏡を処方したりすることもあります。

また、眼科医が眼科以外での治療が必要と判断した場合、別の科に紹介してもらうことで、紹介先で適切な治療を受けることができます。眼は脳からの影響を受けやすい感覚器です。眼の調子が悪く眼科に受診したところ、脳外科に紹介され、MRIを撮ってみたら、脳に病気が見つかったということも案外珍しくありません。

最後に、眼鏡は以前より安価に、手軽に購入できるようになってきています。それに伴い、眼鏡の品質や耐久性の問題も指摘されていますが、一番大切なことは、その方に合っているかどうかだと思います。適正な度数、レンズ、フレーム、フィッティングが保証される眼鏡を購入するには、やはり、正確な眼鏡の知識を持った人が関わる必要があるため、それ相応の値段がかかります。個人的には、平均的な値段からあまりにも安すぎる眼鏡を購入されるのはお勧めできません。

どうしても眼鏡をどこで購入すべきか悩まれる際は、眼科受診のついでに聞いてみるのも良いでしょう。眼科では、立地している周辺の眼鏡店の情報が集まります。来院された患者様が持参された眼鏡を調べるので、どの眼鏡店がどのようなレンズを扱っているか、どのように度数を合わせているか、患者様から眼鏡店でどのように対応されたか、などを知ることができるからです。どの眼鏡店に行ったほうが良いか聞くと、斡旋になってしまうため特定の眼鏡店を紹介されることはないと思いますが、あまりにも患者様からの評判が悪い店舗や、問題がありそうな店舗を勧められることはないでしょう。

他にも疑問やお悩みがありましたら、ぜひ御相談ください。

《しおり 視能訓練士/CO》

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