インボイス制度がフリーランス美容師に与える影響について

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法律・税務・士業全般
2023年10月から開始が予定されているインボイス制度「適格請求書保存方式」のことで請求書の保存方法に関する新しいルールとなっております。

私たちの生活では主に商品を購入する際に商品の値段とは別に「消費税」を納めていると思います。

美容室の場合も同様にお客様からカットの料金を¥5,000頂いていると別に消費税として¥500を頂戴していると思います。

さまざまな条件がありますが詳しくは税理士の先生方のサイトなどでご確認いただきたいのですが、多くの会社はお客様からお預かりした消費税を年に1回まとめて国に収めることになります。

この時会社も、材料(仕入れ)を購入したり備品を購入したりする際に同じように消費税を払っているかとお思いますがこの支払った分の消費税を控除(引く)した金額を納めれば良いことになっています。


(お客様から頂いた消費税)ー(会社が払った消費税)=国に収める消費税


このルールにさらに新しい条件が追加なったのがインボイス制度と理解していただくのが始めの一歩かと思います。

かなり省略して説明しています。特例措置などもございますのであくまで理解の参考にされてください。

会社が支払った消費税分を控除してもらえるために必要な領収書は「適格請求書発行事業者」から発行されたものでなくてはいけないため、登録をしていない免税事業者から発行された領収書では会社が払った消費税を控除してもらえなくなる可能性があります。



フリーランス美容師に出る影響

フリーランスの美容師は業務委託契約を事業主と結んでいるケースが多く民法上は委任契約(準委任契約)であると言えます。(民法第643条、同法第656条)

委任契約において法律行為を委任する場合は、準委任契約であり事実行為を委任する場合は、準委任契約となりますので、業務委託として美容の施術を事業主に依頼され業務を委任しているので準委任契約となるでしょう。

そして開業届を出していないフリーランス美容師とはいえ、業務委託で発生した報酬を細かく考えると

業務委託費で契約された金額+消費税=事業主に請求する報酬

が本来の形ですがそれぞれ交わしている契約書の内容によって報酬の支払い方は異なります。

なので受け取った消費税をフリーランスであれ、納めなくてはならないのですが皆さんのご存じの通り年間売上が1000万円以下の場合は免税事業者として消費税を収める必要がないため、1000万以下で売上を申告してきた方には、あまり関係のない話だったのです。

ですが前にも書いたのを思い出してみていただきたいのですが、皆様の報酬を支払っている事業主からしてみたらどうでしょうか?

インボイス制度によって事業主が支払った消費税を控除しようとするには、皆さんフリーランス美容師さんたちが「適格請求書発行事業者」でなければならないのです。そして「適格請求書発行事業者」は免税事業者ではないため1000万円以下という金額に関係なく消費税を納めなくてなりません。ですので業務委託サロンによっては消費税の分減額されてしまう場合もあります。

売上に応じて適格請求書発行事業者となるのか、事業主と歩合の調整をするか事業主との間でしっかりと話し合いをしなければ思わぬトラブルにもなりかねません。これは業務委託サロンを営んでいるオーナー様にも言えることなので、契約書関係でトラブルにならないようにインターネットに転がっている無料のテンプレートでなく自社にあった業務委託契約書を作成することをおすすめいたします。


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