ゴッホの耳切り事件について考察する

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ことの発端はゴーギャンが描いたゴッホの肖像画に対してゴッホが「俺の耳はロバじゃねえ」と吠えたかどうかはよく知らないけど、要はゴッホの逆切れからこの事件は始まるわけです。かなり前のコラムでも触れましたが、これは2人の同居生活の終盤に起きており、クライマックスともいえる事件。おそらくはこの肖像画は同居生活時に描かれたんでしょう。確かにゴッホの言い分もわからなくはないですよ。私でも描けるような耳を描いているわけですからね。裏を返せば、ゴッホはそれだけゴーギャンをリスペクトしていたのでしょう。ゴーギャンはもともと海軍でコックをしていましたから当然ながら生活能力ゼロのゴッホはただ絵を描くだけ。家事はすべてゴーギャン任せです。ゴーギャンは初めはゴッホをリスペクトしていただろうし、いったいどういういきさつで同居生活が始まったのかはいまだによく知りませんが、だんだん嫌になってきた。耳だけが何であんなに雑に描かれたかというとそれはゴーギャンも人間ですから、ゴッホに対して複雑な感情を抱いていたんでしょうね。だからなんだか不完全というか、アンバランスな絵になってしまったんだと思うんです。この事件は実はゴーギャンがゴッホの耳を切ったのをゴッホがかばっているとか、いろいろな説があるんでしょうが、私は違う気がしますね。もし仮にゴッホがかばっているとしたら、それはゴッホを遊び半分に撃ったであろう悪ガキですよ。この話は山田五郎が動画で紹介しているので興味がある方は見てください。この悪ガキは出世して後年に「俺がゴッホを撃った」とは告白していないけれども犯行をほのめかす意味深な発言をしているんですね。「ゴッホを撃った銃は俺のものだ」というような趣旨だったと思います。彼には守るべき地位がありますから真実をありのままには語れないし、ゴッホも彼を許していると思います。当時のゴッホのカルテを見てもかなりざっくり切られており、これはゴッホが「俺の耳はこうだから描いてみろ。描きなおせ」とゴーギャンに命じたのではないか?でもゴーギャンには耐えられなかった。いや描きなおすくらいならばゴーギャンは応じたでしょう。でもさすがにここまでくるとゴッホにはついていけない。この時点で、というかもっと前にゴーギャンの心は折れていた。それがこの事件で決定的なダメ押しになったんでしょう。そしてゴーギャンは「私、実家に帰らせていただきます」と言ったかどうかは知りませんが、ゴッホの主婦業に耐えきれず、逃げるように立ち去っていきました。
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