大美賀直子 著
長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか
~さびしい母と優しすぎる娘~より
「なんとなく生きづらい」
「なぜか人とうまく関われない」と感じてしまう場合
まず身近にいる養育者との関係を振り返ってみる必要があります
(中略)
一般的に子どもにとってのいちばんの養育者といえば、母親でしょう
ここでは、母親が無意識のうちにおこなってきた思春期までの育て方、接し方が
娘、特に長女にどう影響しているのかを
赤ちゃん時代から順にたどって考えていきたいと思います
赤ちゃんはみんな、まったく無防備なままで生まれてきますが
お腹が空いた時におっぱいやミルクをもらったり
つまらない時にだっこしてもらったりと、
自分の欲求にその都度応えて優しく世話をしてもらうことで
すくすく成長していくことができます
(中略)
マザーリング(抱っこしたり、あやしたり、話しかけたりなどの
母親的な世話と愛情表現)をしてもらうことによって
赤ちゃんは母親、そして人間への信頼を感じることができます
これは「基本的信頼感」といって
人間が人生の最初期に獲得するいちばん大切な発達課題です
泣いたりかんしゃくを起こす赤ちゃんに怒りをぶつけて攻撃したり
マザーリングせずに寝かしっぱなしにしていると、赤ちゃんは
「この世は怖ろしく、安心できない」
「私をとりまく人も信用できない」という思いを強くする
そして「自己肯定感」も
他者に対する信頼も育ちにくく
人間関係を結ぶ力が弱くなってしまいます
必ずしも母親でなくても、それに代わる人との間で
たっぷり情緒的関わりを体験し大切にされていれば
「基本的信頼感」を持つことができます