実は、厚生労働省の通知には、差額ベッド料を求めてはならない場合の例として、「差額ベッド料のかかる個室などの特別室以外が満床であるため、特別室に入院させた患者の場合」と書いてある。
では、先述のような「大部屋にベッドがないから個室へ」というのは通知違反なのだろうか?
COMLが、この通知の解釈を厚労省に求めたところ、厚労省は、「疑義解釈資料」で「設備や料金について、明確かつ懇切丁寧に説明し、そのうえで、患者が特別室への入院に同意している場合は、料金を徴収するのは差し支えない」とした。(中略)
差額ベッド料のかからない大部屋が満床だった場合に、①設備や料金について明確な説明がないまま、同意書に署名させられていた②入院の必要があるにも関わらず、差額ベッド料を払うのに同意しないなら、他の病院を受診するよう言われた、という「不適切な事例」が報告され、「明確かつ懇切丁寧な説明が必要との考え方を明確化」するためだという。
では、先ほどの事例で「嫌なら他の病院に行って」と言われたのは、不適切ではないのか?
COMLの山口さんは「不適切ではあっても、口頭でのやりとりは「言った、言わない」の水かけ論になりがち。同意書を提出すれば「患者の納得のうえでの同意」とみなされ、証拠として重みをもってしまう」と指摘する。(引用終わり)