27.2×21.2cm 色鉛筆・アクリル絵の具・CG/紙 2015
孤独の中に秘めたる力。
北アフリカなどのイスラム教国では女性は肌を見せてはいけないという風習があるといいます。とても暑い国だというのに、全身黒い布で覆わなければ、外へ出てはいけないのだそうです。
開放的な国で生きる私たちは、体のあらゆる感覚を駆使して外界を察知しています。視覚、嗅覚、聴覚、触覚などを使って、そこに流れる空気を感じ取り、危機管理をしたり、他人の心を読んだりしている。しかし、この黒い布を被った女性は、「視覚」以外の感覚を封じられているようで、胸が痛みます。
彼女たちは全身に黒い布を纏い、顔にかかるスカーフの裾を手で押さえ、周囲を警戒しながら、足早に道を通り過ぎます。黒い布の下の体はとても孤独なのではないでしょうか。
しかし彼女たちの目には、なんて力があるのだろう。孤独を引き受けながら、自分の目で見て感じて判断する。自由のない国の女たちは、厳しい状況下を生き抜く覚悟が鋭い感覚を培う。彼女たちの眼差しに、たくましい生命力を見ます。