【Part.1】絵の上手になりたい子に大人がしてあげられることは何か

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デザイン・イラスト

前回とは似て非なるテーマ
「絵の上手になりたい子に大人がしてあげられることは何か」について、自分自身の体験や絵描き仲間を見ていて感じたことから考察してみたいと思います。


早速ですが、私が考える「絵が上手になりたい子を大人が伸ばしてあげられる関わり」として大切なのは、


1. 表現を否定する余計なひとことを言わない
2. 見る・触る・空想する を通して情感豊かな体験をさせてあげる
3. 作品を多くの人に見てもらえる機会をつくる


の3点です。次にそれぞれの項目について詳しくお話していきます。



1.表現を否定するような余計なひとことを言わない


▶「木なのに茶色で塗らないの?」
▶「うちの子の絵、すごい(下手)でしょ?」
▶「(今回は)上手だね」


「良かれと思って」「子供や周りの人とコミュニケーションが取りたくて」
つい子供にこんな事を言ってしまっていませんか?大人にとっては
ちょっとした疑問をぶつけただけであったり、ちょっとした自虐のつもりであっても、絵を上手く描きたくて一生懸命やっている子にとっては「描きたい」というエネルギーを失わせる致命傷になりかねません。

では同じ内容でもこんな言い方に変えてみるのはどうでしょうか?


▶「木なのに茶色で塗らないの?」
→【言い換え】
「木を○色で塗ったの? 茶色に見える木の幹も、よく見ると色々な色が混ざっているもんね。カラフルで楽しい木ができたね。」


"茶色に見える木の幹も、よく見ると紫や青など様々な色が混じっている。固定概念にとらわれていては真実は見えず良い絵も描けない。"とは、写実絵画を極めた私の師匠の言葉です。


生きているうちにいつの間にか刷り込まれてしまった「葉っぱは緑、木は茶色、海は青」というイメージに捉われるのではなく、自分の目で見たものを自分の感性で話せる大人でありたいですね。


IMG02619.jpg
↑青や紫もたくさん使いながら木立を描きました。
【透明水彩】風薫る小道


▶「うちの子の絵、すごい(下手)でしょ?」
→【言い換え】
「うちの子の絵、面白いでしょ? 描きたいエネルギーが爆発しているよね。グルグル塗る感触を楽しんでるのかな。」


子供が形のない絵を描いた時などに謙遜しようとして、またはちょっとしたネタにしようとして、こんなことを言っていませんか?子供は大人の会話を意外とよく聞いているものですし、傷つく一言だと思います。


「形が整っている=上手」と思われがちですが、何も形が整っている絵だけが良い絵ではありません。形が崩されているイラストを描くイラストレーターというと長新太さん・荒井良二さん・漫画家むめいさんなどが思い浮かぶのですが、私は彼らの絵が大好きです。のびやかで、迷うことなく素直に描かれたイラスト。想像力を掻き立てられますし、見ているのがとても楽しい!!


▶「(今回は)上手だね」
→【言い換え】
・上達したくて批評を求める子には、言ってOK
・批評されたいと思っていない場合には、言っても響かない


小学校で算数などのテストの時間が余った際、先生から「プリントの裏に絵を描いて」と言われることがありました。その日は何も描きたいものがなかった私は仕方なく、形は意識せずに鉛筆を塗り重ねてテストを提出しました。


図工の時間ではないのでまさか絵を評価されるとは
思ってもみなかったのですが、後日返ってきたその絵の横には赤ペンで「?」と書かれていたのです。一方で、形のある絵を描いた時には「◎」と書かれていました。
先生にしてみれば「見ました」の代わりに何気なく描いていたのでしょうが、
評価してほしいとは全く思っていないにもかかわらず「?」や「◎」を描かれることに対して強烈な違和感と恥ずかしさを感じたのを覚えています。


一方で子供が「上手く(=写実的に)描きたい、批評してほしい」と思っている場合には、その求めに応じて技術的なアドバイスや批評を正直にしてあげればいいと思います。
令和の時代には、検索すれば絵の描き方についていくらでも情報が手に入りますもんね。このブログでもそのうち、似顔絵の描き方などをレクチャーする記事が書けたらいいなと思っています。



長くなってしまったので、
2.見る・触る・空想する を通して情感豊かな体験をさせてあげる
3.作品を多くの人に見てもらえる機会をつくる
についてはまた次回解説いたします!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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