インボイス特例制度とは:個人事業主のためのシンプルな解説

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法律・税務・士業全般
個人事業主の皆さん、2023年に施行されたインボイス制度に対応は進んでいますか?
税制の変更は事業運営に直接影響を与えるため、正確な情報の理解と適切な対応策が求められます。
今回はインボイス制度について改めて調べてみました

インボイス制度導入の背景

インボイス制度の採用は、過去を遡ると消費税がこの国の税制に組み込まれた1989年の春、正確には4月のことに根差しています。その頃、新たに誕生した消費税に対する市民の波紋を鎮めるため、小規模な業者に対する税負担の一時免除、すなわち免税事業者制度が、当時の緊急対応策として選ばれました。この措置によって、事業者が納めるはずだった税金のことを、俗に「益税」と呼ぶようになったのです。

インボイス制度の例外的特別措置

この例外的な措置は、消費税という新たな税体系を国内に滑り込ませるための潤滑油であり、全ての事業者に徴税の義務があるという原則のもと、特定の小規模な業者には時間をかけて税の概念を受け入れてもらおうという政策だったのでしょう。その結果、現代に至るまで、課税売上高が一定の基準を下回る事業者には、消費税の納付が免除される状況が続いています。

インボイス制度導入の目的

インボイス制度を導入する根本的な動機は、取引における消費税の額と税率を明確に捉えることにあります。平成31年(2019年)の10月からは、消費税の軽減税率が施行され、異なる税率が適用される商品やサービスが増えたため、正確な納税額を算出するにはそれぞれの商品ごとに価格と税率を記した文書を保持することが求められるようになりました。インボイス制度は、納税されるべき税金が法の抜け穴をついて事業者の懐に残る「益税」を排除し、複雑化する税率への対応を目指すという二つの大きな目標を持っています。この「益税」という概念は、税制の不公平を生み出し、長年にわたり税制の公正性を損なう要因となってきました。免税された事業者は、商品やサービスの売上から消費税を支払う必要がなくなり、これが課税事業者に比べて不当な利益を享受していると見なされていました。また、簡易課税制度のもとで計算される税額と実際の税額には差異が生じ、この差額が再び益税として事業者の手元に残るのです。

インボイス制度の実務

インボイス制度の下での取引において、インボイスの発行資格は国に登録された「適格請求書発行事業者」に限られます。これには、税務署に登録申請をして認められた事業者のみが該当し、未登録の事業者にはインボイスの発行が許されません。しかも、この制度が2023年10月1日に始まるためには、原則として一定の期間内に登録手続きを完了させなければならないという時間的な制約が存在します。

インボイス制度の更なる経過処置

適格請求書発行事業者への移行は、一定の経過措置を経て、免税事業者も含めてスムーズに行われるよう配慮されています。そして、この制度のもとで発行されたインボイスは、買手側から要請があれば交付しなければならず、さらには交付したインボイスの写しを税法に定められた期間保持する義務も負います。一方、買手側も、交付されたインボイスを適切に保存し、これがなければ仕入税額控除を受けることができないため、記録の管理が非常に重要になってきます。インボイス制度の導入によって、課税事業者と免税事業者間の取引における負担が軽減されるよう、様々な経過措置が取られており、これにより仕入税額控除の対象となる取引における文書の保存や帳簿の記録が、従来以上に細かく管理される必要があります。この新たな制度に適応するためには、事業者は新たな税制の流れに即応し、より正確な納税の実践を求められています。
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