「訴えてやる!」の前に【内容証明郵便ってナニ?】 書き方、出し方、効力を行政書士が解説

記事
法律・税務・士業全般
日々生活を送っていると、誰かとトラブルになることもあります。
「約束を守ってほしい」
「話が違う」
「こちらの要求を伝えたい」
そんなモヤモヤした思いを抱えているときに役立つのが“内容証明郵便”です。
この記事では “内容証明郵便”を書くときの決まりごと、
準備、郵便局での出し方、料金、郵送後の対応について解説します。
“内容証明郵便”は、公的に内容が証明されるので、「言った」or「言わない」のトラブルも回避できます。
また、公的な郵便として相手方の手元に届くため、心理的プレッシャーを与える効果もあり、トラブルの円満解決、早期解決につながることもあります。
日々の中でトラブルを抱えていると、心も沈んでしまいます。
心を軽く、毎日を明るくするために、“内容証明郵便”を活用してみませんか。
この記事では女性行政書士が、
“内容証明郵便”が活用されるケースや、
送る際のポイントなどにも触れながら、分かりやすく解説しています。

そもそも“内容証明郵便”とは?

“内容証明郵便”とは簡単にいうと、手紙の内容や送った日付を、郵便局が証明してくれるものです。
手紙ですから、基本的には何を書いてもかまいません。
ただ、内容に図や写真、イラストなどを含めることはできず、文字情報のみとなります。
そして、何を書いてもいい…といっても、誹謗中傷や脅迫にあたるような文面は、法に触れるのでNGです。

いくら相手の態度に腹を立てていたとしても、行き過ぎた内容にならないよう注意しましょう。
「職場にバラすぞ」といった文面や、一切の譲歩を許さない内容だと
書いたあなたが脅迫罪や恐喝罪に問われる可能性もあります。
一般的には、文面にはこれまでの経緯や、約束や契約の内容、こちらの心情、要求の内容、履行の期日などを記します。
以下に“内容証明郵便”がよく使われるケースをご紹介します。

 “内容証明郵便”が使われる4つのケース

内容証明を活用する状況はいろいろ考えられます。
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ここでは“内容証明郵便”がつかわれる4つのケースをご紹介します。

Case1:貸したお金を返してほしい
金額の大小にかかわらず、お金のトラブルは
人間関係をギクシャクさせてしまうことも多いもの。
友人関係や、親戚・きょうだいなど、
近しい間柄だから言い出せず、放置しているうちに
関係にヒビが入ってしまうケースもあります。
内容証明郵便でこちらの心情や状況、約束の内容を伝えたうえで、
支払ってほしい金額や支払期日を記すことで、
相手にも状況が深刻であることを理解してもらう効果があります。

Case2:滞納している家賃を払ってほしい
賃貸マンションの居住者が家賃を滞納している場合などにも
内容証明郵便は役立ちます。
部屋に住んでいるのが学生で、本人からの支払いが見込めない場合などは
連帯保証人(たいていの場合はご両親かと思います)宛に
内容証明郵便を送るのも有効です。

Case3:パートナーの浮気相手に慰謝料を請求したい
「パートナーの不貞によって、家庭が壊された」
といった場合、不貞行為の相手(浮気相手)に対して
内容証明郵便を送るケースもあります。
家庭の状況やあなたの心情を伝えたり、
場合によっては相手に慰謝料を請求することもあるでしょう。
パートナーとの関係を、今後一切断ち切ることを誓約する書面を要求する場合もあります。

Case4:相続人と連絡をとりたい
家族や親族など、縁のある方が亡くなったとき、
財産の相続が発生します。
相続人の中に連絡がとれない人がいたり、遺産分割協議に参加しない人がいると困ってしまいます。
そのようなケースでは、内容証明郵便を送ることで
相続が発生していることや、協議に応じてほしい旨を伝えることがあります。
トラブルの内容によって、円満解決は見込めず、訴訟は避けられない…という場合には、
現段階で弁護士に相談するほうが賢明でしょう。
法的なアドバイスも得ながら、今後の方針も立てておいたほうが安心です。



“内容証明郵便”にはどんな効力があるの?

さて“内容証明郵便”は普通の郵便とはどう違うのでしょうか。
普通の郵便だと、こちらが発送した後、相手が受け取ったかどうかは定かではありません。
「そんな手紙、受け取っていないよ」と言われてしまったら、証明しようがありませんし、
内容についても、「そんな話、知らないよ」と言われたら、それまでです。
その点内容証明は、どのような内容の文書を、いつ、誰が、誰宛てに送ったか…ということを、
郵便局が証明する制度です。
あなたが送った文書の内容や日付が公的に証明されるため、法的にも有効な手段として活用されています。

内容証明郵便 3つの特徴

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⒈ 書留郵便で配達される
⒉ 文面の最後に日本郵便株式会社による認証が押されている
⒊ 相手に届いた文面と同じ「謄本」が郵便局と、送り主の手元に保存される

内容証明郵便を受け取る側としては、このような形式にただならぬ空気を感じます。
そのため、あなたの本気度や、コトの深刻さが相手に伝わる…といった効果もあるでしょう。

今後、万が一訴訟に発展した場合も
「私はいきなり訴訟を起こしたのではなく、〇月〇日に、このようなお知らせをしたうえでの流れです」
というような、経緯や時系列を証明する手段にもなります。
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ただ、内容証明郵便には以下の注意が必要です。

内容証明郵便に関する注意点
●証明されるのは文書の存在のみです
※文書の内容が真実であるか、法的な根拠を証明するものではありません。
●図やイラスト、写真を記載したり、文書以外の書類や物品を同封することはできません
●文面の文字数や行数、使える文字に制限があります
●相手に届いたことを証明するには別途「配達証明」が必要です
●差出郵便局での謄本の保存期間は5年間です


“内容証明郵便”を出すときの5つのルール

ここで、内容証明郵便を作るとき、出すときのルールを解説します。
【内容証明郵便を書くときのルール】
①「文字数」のルール
文書は、縦書きでも横書きでもOKですが、それぞれに文字数・行数の制限があります。
縦書きの場合…1行20字以内、1枚26行以内
横書きの場合…・以下のいずれか
1行20字以内、1枚26行以内
1行13字以内、1枚40行以内
1行26字以内、1枚20行以内

②「使用できる文字」のルール
内容証明郵便の文面で使用できるのは、ひらがな・カタカナ・漢字・数字・記号です。英語は固有名詞に限り使うことができます。数字については、算用数字でも漢数字でも使用できます。
③「内容を訂正したいとき」のルール
いちど書いた文字や記号を訂正するときは、その字数と訂正箇所を、書面の余白に記載します。
そのうえで、訂正箇所に差出人の印を押印します。

④「契印」のルール
文書が複数枚にわたるときは、その枚数の綴じ目に契印(割印)を押します。

⑤「氏名と住所の記載」のルール
文書には必ず、差出人と受取人の氏名・住所を記載します。
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“内容証明郵便”は、どこで、どうやって出すの?5つのステップで紹介

文書を書いたら、郵送の手続きをします。
ここでは、発送手続きの流れを、順を追って解説します。

Step1 必要なものを準備
まずは以下のものを準備しましょう。
【同じ文書を3通】
1通は相手に送付するもの。そのほか差出人と郵便局の保存用に。計3通が必要です。
【差出人の印鑑】
必須ではありませんが、送付手続きの際に訂正があった場合などに役立ちます。
契印を押している場合は、同じ印鑑を持参することをおすすめします。
【差出人と受取人の住所氏名を書いた封筒】
封筒は閉じずに、文書の内容が確認できるようにしておきます。
料金を切手で支払う場合は、切手は封筒に貼り付けず、別で持参しましょう。

Step2 差し出せる郵便局を探す
内容証明郵便は、どこの郵便局でも発送できるわけではありません。
発送できるのは、集配郵便局と支社が指定した郵便局だけです。
あらかじめ、どの郵便局で発送できるのかを確認しておきましょう。
郵便局のサイトからも検索できます!

Step3 オプションサービスを選ぶ
郵便局の窓口で、内容証明郵便を送りたいと伝えます。
このとき、追加のサービス(有料)を選びます。
選べるオプションは、
速達、引受時刻証明、配達証明、特別送達、本人限定受取、代金引換、配達日指定などです。
この中でも、必ずつけておきたいのが「配達証明」です。配達証明は、いつ相手に届けたかを証明してくれるサービスです。相手が文書を受け取ったことを確実に知りたい場合(たいていの場合が知りたいと思います)には、このサービスが有効です。

Step4 郵便局での文書の確認
文書3通をすべて窓口で預け、内容の確認をしてもらいます。
この確認によって、文書の最後に認証印が押され、
「この郵便物は〇年〇月〇日 第00000号書留内容証明郵便物として 差し出されたことを証明します。 日本郵便株式会社」
と記載されます。
これが、文書が簡易的なものではないことを裏付けているともいえます。
郵便局の確認作業は、窓口の混雑状況などによって、かなり時間を要することがあります。
わたしは、30分以上待つこともあります。
時間に余裕をもって郵便局に向かいましょう。

Step5 料金の支払い
内容証明郵便の送付には、以下の料金がかかります。

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おすすめ!e内容証明(電子内容証明)

上記の手順を見て「面倒だなぁ」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
そこでおすすめなのが、インターネットを通じて内容証明郵便を発送できる「e内容証明」というサービスです。
wordファイルで作った文書をインターネット上でアップロードすれば、郵便局のシステムを利用して印刷・照合・封入封かんをして、内容証明郵便として相手と送り主に発送してくます。
文書を3通用意したり、郵便局に出向く手間が省け、窓口での待ち時間も短縮されます。
また、文書の文字数が多い場合や、複数の相手に発送する場合には、料金が安くなるといったメリットもあります。
ただ、以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。

▼インターネット環境に不慣れな方には、作業が難しい
▼通常の内容証明郵便と比較して、簡易的な印象になってしまう
▼文書の枚数は5枚までという制限がある

内容証明郵便の発送後のTo Doリスト

ここでは、内容証明郵便を発送した後の対応について解説します。
□配達状況を確認
□配達証明書が届いたら保管
□内容証明が返送された場合は、その理由を確認
□相手の反応を待つ

内容証明郵便を送った後に気になるのは、相手に届いているかです。
送付時に、「配達証明」のオプションサービスを付けた場合は、内容証明郵便が相手に配達されたことを伝えるハガキが届きます。この「配達証明」は相手に届いた証拠となるものですから、きちんと保管しておきましょう。
また、内容証明が返送されてくるケースもあります。
以下のような理由が考えられます。

・送り先の住所に相手が居住していない
・相手がすでに転居している
・不在連絡を入れたが、保管期間が経過した
・相手が受け取りを拒否した
このような場合は、返送の理由を確認し、つぎの方針を考えましょう。
相手が受け取った場合は、相手からの反応を待つことになります。
ただ、期日を過ぎても連絡がない、無視されている…といった場合は、つぎの方針を考えることが必要です。

受け取り拒否・宛先不明・無視された場合の対策

内容証明郵便を出したけれど、
相手に届かず返送された、無視されている…などで、解決の糸口が見つからない場合は、
専門機関や弁護士に相談することをおすすめします。

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まとめ

何らかのトラブルを抱えていると、心はどんより沈んでしまいます。
早期解決のために、内容証明郵便の活用を検討してみましょう。
また、効果的な文面の作成には、法的な知識や専門的なテクニックが必要です。
当方では、内容証明の文案作成のサービスも行っていますので、ぜひお問い合わせください。
ただ、内容証明郵便は受け取る側からすると、重々しい雰囲気に驚いてしまうものです。
“最後通告”的な印象を受け、威圧されているように感じたり、怒りをおぼえる可能性もあります。
話し合いが可能な場合は、まずはお互いの間で(もしくは代理人を立てて)解決することも考えてみましょう。
一方、トラブルが深刻な場合や、訴訟が確実なケースでは、弁護士などの専門家に相談されることをおすすめします。
この記事を通じて、あなたの心を軽くするお手伝いができたらうれしいです。
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