パチンコで「奇跡の逆転劇」を繰り広げてからの数ヶ月後。
今度は別の友人「KK」が私の部屋に転がり込んで来ました。
(この話は後日お話しいたします)
部屋は六畳1Rロフト付き(物置程度)の作り。
大の大人二人が過ごすには狭過ぎます。
しかし、お互いに金がなかったので協力し合いながら暮らしていました。
その頃、私は前回話した地元で知り合ったギター姉弟の姉「元嫁」と
遠距離恋愛中。
毎日のように
「会いたい。寂しい。苦しい。そばにいてほしい。」など
「お経」のように言われていました。
目標の「夢」もなかなか上手くいっていませんでした。
私:「帰ってきて欲しいの?」
元嫁:「うん。寂しい。ずっと一緒にいたい。」
私:「でも、こっちでお世話になっている人達を裏切れないよ。」
元嫁:「わかってる!わかってるよ。でも…。」
彼女(元嫁)と一緒にいたい気持ちは私も同じです。
一緒にいて「普通」の生活をした方がよっぽど良い事も十分理解しています。
「夢」か「彼女」か二つに一つ…。
悩みに悩んだ結果、私は再び「夢」を諦めてしまいました。
「KK」に部屋を譲り、再び地元へ帰ります。
お世話になった「GON」さん方にも事情を話し、今までお世話になった事へのお礼もしました。
GONさん:「そっかぁ。なんか、せっかくこれからだったのにね?
寂しくなるなぁ。ま、でも君が決めた事だから応援するよ!」
私:「本当にすみませんでした!何のお役にも立てなくて!」
GONさん:「大丈夫!大丈夫だから気にしないで!あっちに戻っても元気で
頑張るんだよ!彼女さんにもよろしく伝えてよね!」
私:「はい。…色々と、ありがとうございました。」
こうして再び地元へ戻り、今度こそ「普通」の生活を覚悟する私。
「これで、いいんだ。…これで良かったんだ。俺は、ここまでだったんだ。」
そうやって、自分に言い聞かせていました。
正直、私は地元での仕事生活で良い思い出が一つもありません。
閉鎖的な空気、疲れ果てた職場の仲間。
いつもイライラしている上司。
難癖をつけてくる客。
「金がない。金がない。」と毎日嘆いている周り。
唯一の「癒し」が彼女との時間でした。
ですが、当時の彼女の精神年齢は「子供」のままでした。
要するに、相手の事を思う前に「自分の欲求」を満たす事を優先する
どこにでもいるありふれた「ティーンエイジャー」でした。
自分のそばに「好きな人」がいる事の願いが叶うとそれまで。
私の事情など知ったことでは無いと言う態度。
おまけに、彼女の両親(特に母親)は私の事を良く思っていませんでした。
「夢なんか追っかけて、フラフラとしている落ちこぼれ。
なんでウチの娘は、こんなロクでもない男の事を好きなんだろう。
大事に育てて、ここまで順調に親の言う事をちゃんと聞いてきたのに!
こいつのせいで、私の計画が台無しになる!」
口で言われなくても、態度を見ればわかります。
出てるんですもの、態度や言葉の端々にちらほらと。
それでもいつか、彼女と時間を共にしていくうちに彼女自身も両親も
「理解」すると信じていました。
そんなある日です。
地元の楽器店を営んでいる「T」オーナーからの一本の電話が。
Tさん:「音屋の〜君、元気?今話できる?」
私:「あ、はい。何でしょう?」
Tさん:「あのね、実は紹介したい人がいるんだけど…。」
ここから、本当に…
本当に「最後バンドマン武者修行生活」へと向かっていきます。
音屋のkatsu