コラム47 足の動脈硬化に対するEVTとは

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 最近EVTも症例が多くあって治療に励んでいます。EVTとは(Endo Vascular Therapy)の略で血管内カテーテル治療のことです。特に狭心症のカテーテル治療はPCI(Percutaneous Coronary Intervention)と呼んで区別されるため、EVTはその他の血管内治療のことを指します。皆様閉塞性動脈硬化症をご存知でしょうか。閉塞性動脈硬化症は下肢の動脈硬化が極度に進むことによって生じる病気です。程度が軽いうちは歩行時に足が重くだるくなって、休むと良くなるといった間欠性跛行の症状をきたしますが、極度に進行してくると爪先の壊死や安静時疼痛を伴って、最悪の場合足を切断しなければならなくなります。足を切断すると日常生活にかなり制限がかかってしまうため、閉塞性動脈硬化症はとても恐ろしい病気です。良く脊柱管狭窄症と症状が似ているため腰の治療をしても良くならない場合にこちらの閉塞性動脈硬化症も疑わなければならない疾患です。 
 閉塞性動脈硬化症に対するEVTは現在最も一般的な治療法で安全性や成功率なども高く、盛んに行われています。当院でも循環器内科や心臓外科が協力して治療を行っています。
 太もものあたりの血管(浅大腿動脈)は動脈硬化によって高頻度で完全閉塞します。詰まるともう足が全く動かなくなったりするわけではなく一般的には徐々に徐々に詰まっていくため、周りの毛細血管が発達してきて不十分ながらも膝下に血流を供給します。歩いた時などに足先が重くなる原因はこの不十分な血流です。EVTでこの状況を打破するために詰まった血管の血流を再開させるような治療を行います。
具体的なEVTのやり方ですが、まずカテーテルを血管の中に入れ治療するルートを確保します。次に細いwireを通して閉塞した血管の遠位部を目指します。ここが一番大変なところです。様々なテクニックがあってここでは割愛しますが、最近はエコーガイド下に硬いwireで血管内を掘るように通過させるのがfirst choiceでしょうか?我々の施設ではエコー技師とタッグを組んでうまくやっています。先日も30cm以上の長い閉塞病変を頑張って治療しました。Wireが通過した後はバルーンカテーテルで閉塞部位を動脈硬化を押し除けるように拡張し、再狭窄予防の薬剤を塗ってきたり、ステントという網目状の金属の筒を留置してきたりして手技を終了します。これによって十分な血流が足全体に行き渡るようになれば間欠性跛行などの症状が消失するわけです。
このEVTは術者によって様々なテクニックがあり、しばしば全国規模の講演会などで医師達は知識や技術の共有を行い日々の診療に役立てています。皆様も歩いて妙に足が重だるくなるとか、腰の治療をしたけど足の痺れが良くならないなど、閉塞性動脈硬化症の症状を疑った場合には専門家の診察を受けることをお勧めいたします。

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