コラム19 絶滅危惧種

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 循環器内科(心臓内科)といえば医者の中ではかなり忙しい方の科です。内科外来に加えて入院患者の診察、カテーテル治療などの手技、心筋梗塞などの緊急対応、夜間の呼び出しなどを担わなければならず、手技が少ない科や緊急呼び出しがほとんど無い科と比べればかなり人生が仕事寄りの生活になっていると思われます。その循環器内科をさらに上回る忙しさを極める科と言えば心臓外科だと個人的には思っています。心臓の手術は1日掛り、術後は集中治療室で24時間管理が当たり前、夜間には大動脈解離の緊急手術の呼び出しなどはっきり言って休む暇がありません。
最近総合病院の心臓外科医が徐々に減ってきている気がします。循環器内科も研修医終了後入局(働く科を選ぶこと)してもらえなくなってきていますが、それ以上に心臓外科も入局者が少なくなってきていると思います。このままでは心臓外科医が日本からいなくなってしまうのではと思うくらい。私の周りの心臓外科医は減っている気がしてなりません。
『忙しいから心臓外科医にならない』この現象は当たり前のように聞こえるかもしれませんが、一方で忙しい分だけの「何か」があるはずでは?と思う方が実際には多いかもしれません。ところが医者の世界、特に勤務医の世界ではなぜか給料が経験年数のみで決まることが多いです。また、時間外労働による手当もとても少なく、全く働きに見合っていません。つまり、心臓外科であっても9時―17時の暇な科であっても給料がほとんど一緒なのです。心臓外科を選択する人は何か特別心臓に関心を持っているか、自己犠牲の精神が豊かであるかであると思います。しかし、どんなに心臓に関心があって、かつその外科医の自己犠牲の上に医療が 成り立っていたとしてもやはり人ですので、社会生活が立ち行かなかったり、精神的にひどく疲れてしまったりもします。最近心臓外科として勤務医を続けるのを断念していく医師を多くみます。このままでは心臓の手術をできる施設が減っていくのでは無いでしょうか?医師の待遇など私自身は科によって変わるべきだと思います。忙しい科の給料が高い、もしくは売り上げが高い科の給料が高い、それは病院以外の一般社会では当たり前です。もう少し勤務医も働きに応じた報酬体制など整って欲しいものです。

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