コラム4 補助人工心臓って知ってますか?

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心不全の末期は心臓が止まります。そして人は死を迎えます。「心臓が悪い人が亡くなる。」それは何となく最終的には受け入れざるを得ない事実として認識されているように感じます。しかし補助人工心臓を体内に植え込み、体から出たコード一本を充電器に繋げば、心臓が止まりかけていた患者さんであっても買い物に行ったり、プールで泳いだり。日本にもそのように生活をされている重症心不全の患者さんがいらっしゃいます。現在2022年8月の時点で本邦において植え込み式補助人工心臓は、心臓移植を待つ間のブリッジユースとしての保険適応しかなく、心臓移植が必要な患者さんにしか使用が認められておりません。心臓移植件数は本邦において非常に少ないため、それまでの橋渡しである補助人工心臓使用例も非常に限られているのが現状です(図)。しかし、海外には補助人工心臓を植え込んでそのまま心臓移植を待たずに、補助人工心臓とともに生活するいわゆる「Destination Therapy」も保険適応となっている国があります。日本もいずれはこの「Destination Therapy」が保険適応となる日が来るらしいです。そうなれば植え込み式補助人工心臓を使用して生きていく重症心不全患者さんが増えてくるでしょう。 
 ここまで読むと、「あれ?心臓だけが悪い人は死ななくなるのかな?」とも読み取れます。しかし、心臓移植ができる年齢が基本的には65歳以下に限られているように、植え込み式補助人工心臓も際限なく使用できる代物ではありません(機械だけでも数千万円、維持費も多額であるため)。基本的には①現在心臓移植を日本で待ち続けている多くの患者さん(2018年時点で平均待機年数3年以上)が心臓移植を待たないという選択肢を持てる、②心臓移植の適応までわずかに及ばないような心不全患者さんに補助人工心臓の適応を拡大できる。③2つ以上の臓器障害があり心臓移植の適応とならなかった患者さんの、心臓機能を補助人工心臓で補える、と言ったことが「Destination Therapy」が保険適応となることのメリットでしょうか。
 IPS細胞によって各種臓器を作り移植により臓器不全を治療する未来、人工臓器を移植し機械によって臓器不全を治療する未来。様々なイノベーションが医療界でも現在進行形で生じています。


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