今から5年前、愛すべき男が亡くなりました。皆さんも知っている人だと思います。
サッカー少年だった彼は、大学を中退して舞台俳優を志しますが鳴かず飛ばずの生活が続き、ピンク映画の俳優として活路を見いだそうとしたそうです。
その後も10年程は仕事が少なく、Vシネマへの出演で収入を得る暮らしをしていたのですが、40歳を迎えたころに、あるコメディアンからチャンスをいただいて映画に出演し、あっという間に映画界の賞を受賞するなど、その後は俳優として地位を確立していきました。
私が彼を知ったのは、その頃のことです。映画の中で、それまでに見たことのない俳優が渋い役を演じていました。「この俳優は誰だ?」と思いましたが、それ程、気にもとめませんでした。しばらくするとテレビドラマの刑事役などで彼を見掛けるようになっていました。
彼は様々なドラマで脇役として登場していましたが、6年前に、脇役たちが活躍する物語で主役を演じました。いろいろなことを考えさせてくれる素晴らしい作品でした。
私たちは日々の生活において、ほとんどの人が主役であり、また、脇役でもあると思います。でも他人から見ると、大多数の人は脇役にあたると思います。
このドラマを見ていて、そんな脇役の素晴らしさを感じることができました。
そのドラマの続編を撮影していたときに彼は急逝されました。
関係者により追悼のホームページが開設されていますが、今年の命日を機に閉鎖となることを聞きました。
彼はサッカー解説や、バライティでも活躍し、今でもたくさんの方に愛されています。
私は、サッカーをしている彼の姿を偶然見かけたことがあります。サッカーには40歳以上、50歳以上、60歳以上と年齢によってランク分けされたリーグもあるのですが、そのときまで彼がサッカー愛好者とは知りませんでした。
彼の没後、彼の地元のJリーグチームが勝利の後に彼のユニフォームを掲げたので、彼がチームに関わっていたことが分かりました。
誰もが主役であり、そしてバイプレイヤーです。
あらためて大杉漣さんの、ご冥福をお祈り申し上げます。