これは僕の人生の一部を小説風に描いたものです。
僕は大阪のとある田舎で生まれました。祖父は会社社長で、父は専務でした。
少しお金持ちの部類に入るような家で、周りの家は医者や弁護士、会社経営者などが住んでいる田舎の高級住宅街にありました。
僕は生まれる前から友達がいました。母が妊婦の時から仲良くなった近所の奥さんが、僕と同じ歳に生まれる子供がいたのです。
僕が生まれて、近所の子が生まれて、母は近所の奥さんとお茶をしている間、僕たち赤ちゃんは並べられて面倒を見られていました。
しばらくして、他にも友達ができていました。近所の奥さんで、僕と同い年の赤ちゃんがあと2人いました。
だから、僕は子供の頃に、友達がいなくて寂しい思いをしたことはありません。2、3歳になってからも、僕、女の子、男の子2人の4人はいつも仲良く遊んでいました。
僕は3歳の頃から、自分の身体がおかしいと思っていました。ぺ○スが友達比べて、極端に小さいと悩んでいたんです。
お風呂に入るたびに、自分の股間をチェックして
「まだ大きくなってないなぁ。友達はもう大きいのになぁ」と、待ち侘びるかのように、成長を待っていました。
期待通り大きくなってくれないことを不思議に思って、
「いつになったら、おちん○ん、大きくなるの?」と母に聞きました。
僕はもうずっと、成長を待ち侘びていて、この身体にずっと我慢していた。
母は驚いて「あなたは女の子なんだから、おちん○んは生えないよ」
と答えた。
それを聞いた途端、僕は絶望的な気持ちになり、ギャン泣きしたのを今でも覚えています。光が消えたような、未来への夢が消えて、闇の中に叩き落とされたような気持ちでした。
もちろん、僕にも女友達がいたし、上には姉がいるので、「女の子」という人間が存在していることは知っているんですが、
僕はどうしても自分が「女の子」だなんて信じられない。
そんなはずがないくらい、自分とは違う種類の人だという意識が当時からありました。
「自分は男だ」なんてわざわざ意識して生きていないと思うんですよ、みんな。
僕も、当たり前に男すぎて、あなたは女の子よと言われた時、とんでもない現実を押し付けられたような気がしました。