【FPが解説】住宅ローンの事前審査、本審査とは?注意点について

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現役銀行員、1級ファイナンシャルプランニング技能士のFPまっくです。

住宅ローンを申し込みする場合、なぜ、事前審査からなの? 審査は1回だけではないの? 

初めての住宅ローンでわからない事だらけで不安です。

この記事では住宅ローンの事前審査と本審査の違いや、住宅ローンの審査を進めるうえで注意いただきたい点などについて実務ベースで思いつく限りお伝えいたします。

一般的に知られていない内容もありますので、ぜひ最後までお読みくださいませ。

事前審査とは

そもそも「事前」とはなんの事前なのでしょうか?

それは、不動産購入の売買契約の「事前」にするから事前審査と言ってます。

仮審査というのも同じです。

購入物件の売買契約をするためには、不動産会社は時間をかけて契約書や重要事項説明書を作成し、買主、売主双方ともに署名捺印します。

あと、買主からは手付金も支払います。

正直、売買契約をするためには結構な手間がかかるのと、お金が絡んできます。

そこで、せっかく売買契約したのに住宅ローンの審査が落ちてしまったら、全ての手間が台無しになってしまいます。

全てはなかった事になるのです。

本当にあちゃーーってなります。

このような事のならないためにも売買契約する前に住宅ローンの事前審査が必要となるわけです。

不動産会社に行く前に事前審査を済ませておく

少し裏技ですが、不動産会社へ行く前に住宅ローンの事前審査をする事も可能です。

一部の銀行やネット銀行では、まだ物件が決まってなくても事前審査を申込する事が可能です。

物件以外の審査で承諾をもらうという事になります。

もちろん、銀行からは「事前審査の承諾書」を発行されます。

その承諾書を持って不動産会社へ行くと、対応が違ってきます。

不動産会社も先に事前審査の承諾書があれば安心して案内できますし、また力の入れようが違ってきます。

物件が決まったら、あとは住宅ローンの心配がないので不動産会社としても安心して取引ができるのです。

デメリットは、あくまでも物件の審査をしてないので、本申込で購入物件の問題でダメになる可能性がある事が一つあげられます。

住宅ローンの審査はどのくらいかかる?

通常、事前審査は銀行にもよりますが早いところで朝審査申込を提出たら夕方には結果がでる銀行もあります。通常は1週間を見とけば大丈夫です。

ネット銀行だと1か月かかる銀行もあるなど銀行によって審査期間にばらつきがあります。

特に、1月2月は3月引き渡し分の住宅ローン申込が多い時期となりますので通常の2倍日数がかかったり申込が多すぎて、受付自体をクローズする銀行もあります。

本審査については、早い銀行でも3日、遅い銀行だとこちらも1か月かかる銀行もあります。

日程に余裕がない場合は事前に「どのくらい審査に時間がかかるのか」を銀行に問い合わせしスケジュールに問題がない事を確認しながら進めてください。

事前審査は出しすぎても問題ないのか

事前審査の出しすぎに注意!
と、不動産営業マンから言われたり、書籍に書いてある場合があります。

結論として、今はほぼ気にしなくていいです。

以前は一度にたくさん審査申込をすると「個人信用情報機関」に照会履歴が多く記録され、住宅ローンの審査に影響すると言われていました。

個人信用情報機関とは、クレジットカードで何か購入したり、消費者金融などでキャッシングした情報はその都度、全て個人信用情報機関に記録されます。

銀行が住宅ローンの審査をする際は必ず、その情報機関からカード利用状況、延滞状況などを情報照会する必要があります。

その際、銀行が情報照会したら、その時点で情報機関に「照会」記録が残ります。

例えば3つの銀行で審査申込した場合は情報機関に照会履歴=3 
と記録されます。

では、なぜ事前審査の出しすぎに注意と言われていたのか?

銀行の目線では、照会履歴が多い=他行で断られたので複数の銀行に申込していると判断され、審査に影響する場合がありました。

審査するのも人なので、その審査担当者の心証が悪くなるという事です。

しかし今は、個人でもネットでも気軽に住宅ローンの審査をする時代で、複数の銀行に審査を出すのは当たり前になっています。

そういった背景もあり、今の銀行はそこまで照会履歴を見ていません。

それよりも、申込人の職業、年収、勤続年数、勤務先などを見て安定収入が見込めるのか?

カード利用状況で延滞がないのか?など優先順位が高い審査項目がたくさんあります。

たくさんある審査項目の中で、照会履歴の件数という項目は感覚としては2,3%くらいしか影響しません。

では、どのくらい住宅ローンの審査を出せばいいのか?

私としては少なくとも3つ以上の銀行に審査を出していただきたいです。

たまにですが、事前審査がOKで本審査でダメになるケースがあるので、保険の意味でも複数の銀行に申込するほうが良いと言えます。

健康に不安がある人

住宅ローンには団体信用生命保険(団信)の加入が必須という銀行がほとんどです。
この団信はもし借入人が死亡、高度障害になった場合にその保険で住宅ローンが無くなるという保険です。

ちなみに保険料は金利に含まれています。

団信の一般的な申込タイミングは本申込の時点です。

しかし、本申込が承諾になっても団信が通らなかった場合、住宅ローンの融資を受ける事はできません。

そこで、あまり知られていませんが、ほとんどの銀行で事前審査と同時に団信を出す事が可能です。

不動産業者も事前審査申込の段階では健康状態のことはそこまで確認しませんので、健康に不安がある場合は自分から不動産会社へ伝えるべきです。

よく不動産会社に一番最初に出向いたら、アンケート記入を依頼される場合があります。

その中に健康状態についての問いがあるのはこのためで、スルーせずに記入してください。

不動産会社に支払う斡旋手数料について

住宅購入の諸費用一覧の中に「住宅ローン斡旋手数料」「住宅ローン取扱手数料」などの項目があれば注意が必要です。

これは住宅ローン申込を不動産会社に任せるための手数料で、多いところで10万円も請求されるところもあります。

事前に、不動産業者から「自分で銀行手続きをするか?」「私どもに全て任せるか?」任せるなら手数料として〇〇万円頂戴します。と案内があればまだ良心的です。

しかし、何も説明がないまま、流れるままに「事前審査の申込書はこちらですので記入してください」などと、あたかも決まってますという雰囲気で進められ、最後に手数料を請求される場合があります。

住宅ローンは不動産会社が勧める銀行から借りるもの?

と勘違いされている方が結構いらっしゃいます。
そんな決まりは全くありません。

自分で銀行を選び、審査申込してもいいのです。

不動産会社経由か、自分で直接銀行とやりとりするかだけの違いです。

少し手間ですが、自分で銀行とやり取りすれば不動産会社に支払う手数料がまるまる浮かせる事ができます。

また、審査申込の手続きも銀行が丁寧に案内しますので安心して申込ができます。

内心、銀行員としてはこの手数料は不動産会社の事務量からすると少し疑問です。
やる事は、事前相談、申込書および物件資料の受け渡し、審査状況確認、くらいなものです。

決して数万円もすることではないと思われますが、暗黙の了解でスルーしてます。

中には、自分で銀行手続きしてもらう事に難色を示される不動産業者もあります。
それは、手数料が入らないという事もありますが、銀行の審査状況が不動産会社では分かりづらくなるからです。

不動産会社経由で審査申込した場合、審査状況、審査結果についても不動産会社に知らされます。

そのため、今後のスケジュールの見通しが立ちやすいですし、審査結果がダメであったら、そのお客さまは早めに見切りをつけやすくなるためです。

銀行の審査をお客さまに任せにしてしまうと、場合によってはお客さまの腰が重いがために審査が遅れて、買える物件も他の不動産業者に持っていかれたりして買えなくなる場合があるためです。

例えば、1つの物件で複数の購入希望者がいたら、ケースにもよりますが先に住宅ローンの事前審査が承諾になった人が優先的に購入権を取得するという場合もあります。

そんなとき、不動産業者が審査状況が全く分からないとかなり不都合が出てくる事になります。

しかし、あえて不動産会社に審査手続きを任せたほうが良い場合もあります。

例えば、勤続が短い、購入物件に問題があったりと審査が厳しいと想定される場合。

それ以外にも審査結果を早く出してほしい場合です。

それこそ不動産業者の腕の見せ所なので、任せたほうが結果良いケースもあります。

何が正解かはケースバイケースとなりますので、よく検討のうえで手続きをしていただけたらと思います。

本審査はなにをする?

事前審査が承諾になると、次は不動産の売買契約となります。

無事、売買契約が終了すると、次はいよいよ住宅ローンの本申込となります。

本申込は何を審査するのか?

原則として申込人自体の審査は事前審査で終了しているので、本審査では売買契約書や重要事項説明書の内容チェック。収入証明などで、事前審査の申込内容に間違いがないかなど、おおむね確認の作業がメインとなります。

そこをクリアすると、私の感覚ですがよっぽどの事がない限り99%審査は通ります。

では、よっぽどの事とはいったい何なのでしょうか?

一例として

・前回の事前審査から本審査の間にクレジットカードの延滞が発生した。
・購入物件に問題が発覚した。(越境や増築未登記など)
・売り主が反社会的勢力であった。

以上のように、本当にイレギュラーなケースがほとんどです。

ちなみに、購入物件の問題は不動産業者が、問題を問題として捉えていないか、知ってて言わなかった場合があります。

特に中古物件を購入する場合は事前審査を出す前に、よく物件に問題がないかを不動産業者へ確認するようにしてください。

銀行が嫌がる物件は、一言でいえば「売れない物件」です。

売れない物件とは、例えば再建築ができない物件や増築しているが登記していないなどの違法建築など、例を出せばきりがありません。

ほとんどの不動産業者はそのような問題がある事実を隠すような事はしません。

しかし、悪質な不動産会社が全くないとは言えませんし、正直あります。

不動産会社が言う事だから間違いないと完全に信じるのではなく、必ず確認するようにしてください。

本当に怪しいと思われたら、各都道府県に宅地建物取引業協会がありますので、相談されてみてはいかがでしょうか。

まとめ

この記事は、これから住宅ローンを検討される方のために事前に知っておいたほうが役に立つであろう事をお伝えしたつもりです。

全ての方に当てはまる事ではないかもしれませんが、この記事をご覧いただき少しでもお役にたてればと思い執筆しました。

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