ご予算の目安について

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 ときたま非常に低廉なご予算で見積もりのお問い合わせをいただくことがあるため、ここでご予算の目安について書かせていただきます。もっとも、低廉なご予算をご呈示される方は、プロフィール欄等に明記してある報酬目安などお読みになっておられないでしょうから、ほとんど意味のない記事ともいえますが。

 まず、ご存じだとは思いますが、日本には最低賃金というものがあります(最低賃金法参照)。最低賃金は地域毎に(同法10条1項)時給を定めるというものであり(同法3条)、現在は900円~1000円前後となっています。これを下回るような賃金で契約したとしても、最低賃金で契約したものとみなされます(同法4条2項)。
 もちろんこれは雇用関係にある場合の労働者への給与の最低水準ですから、ココナラでの取引関係には当てはまりません。しかし、一応の目安にはなります。

 そうすると、「知ってるよ。1000円払ってるんだから最低賃金程度は満たしてるだろう」とお考えになる方が出てくるでしょう。
 しかし、これはあくまで最低水準ですのでこれで引き受けなければならないものでもないですし、これを下回るような作業をさせようというのは不当です。
 何より、忘れないでいただきたいのは、ココナラの場合は手数料22%を取られるということです。仮にサービス価格を1000円とすると出品者に入ってくるのは780円です!ということは、1時間かかる作業をココナラで1000円で引き受けたら最低賃金を下回るということになります。

 そして、最低賃金程度で契約するような作業というのは、高度な知見や技能は不要で、誰にでもできるような作業であるということです。これに対し、ココナラの場合は、単に得意であるという作業のみならず、得るのに何年もかかる高度な知見や技能を必要とするサービスというのも普通に出品されており、それに対して最低賃金程度の報酬では十分なはずがありません

 先日、法科大学院修了者ということで法学のレポートについてご相談くださった方がおられましたが、3時間以上かかりかねない作業に対して2000円(受取額1560円)のご予算しか提示されませんでした。誰にでもできる作業レベル(最低賃金程度)で行うとしても、数時間の作業量に対して1時間半分の報酬しかご用意いただけないという時点で割に合いませんし、ココナラ手数料を取られないとしても足りませんし、法科大学院で学んだということを見込んでのご依頼であるならば、なおさらそのような低廉な報酬で足りるはずがありません。ご予算に応じた作業時間(15~30分)では、東大出身でも完了するのは物理的に不可能です。
 「どの程度時間がかかるかなんかわからないよ」とお考えかもしれませんが、私にもわかりません。ただ、作業量が少ないご依頼の場合の目安額を予めサービスページ等で(小説添削サービスのみブログでも)明示しているのですから、最低限のいくらかかるかご想定できるはずです。こういったことはお問い合わせ前にお考えいただきたいです。

 このケースでは、ご予算が不足するということを丁寧に説明いたしましたが、結局ご理解いただけなかったようで、しつこく別作業のお見積もりも同様の低予算でいただき、見積もり額を提示したところ、両方とも成約にいたらず、私は時間を無駄にさせられました。

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